創業時はとにかく資金調達面の苦労が尽きないもの。創業を検討しているなら、創業前にどのような形で資金調達したら良いか入念に下調べし、創業と同時に資金調達活動を行う必要があります。創業時の融資としては、新創業融資や創業融資が有名ですが、これ以外にも優れた資金優遇制度が沢山あります。代表的な3つの制度を税理士の山田さんが紹介してくださいます。
創業するなら創業前に資金調達方法を整理せよ
こんにちは。税理士の山田です。
今日は、東京都で創業される方向けに、創業時期に限って利用出来る制度で、金銭面で大きなメリットがある制度を3つご紹介したいと思います。
とはいえ、制度は毎年少しずつ変わっています。
そこで本日は、「平成29年度版・東京で創業する際に必ず受けておきたい三大優遇制度」と題し、改めて整理した最新バージョンでご紹介いたします。
応用すれば、他の地方自治体にお住まいで創業をお考えの方でも活用することができるものもあるので、まずはご一読ください!
平成29年版・東京で創業するなら受けておきたい三大優遇制度
①創業前に確認して会社設立時のコストを半額にせよ!認定市区町村制度
読者の皆さんは、認定市区町村という制度をご存知でしょうか?
これは平成26年1月20日に施行された産業競争力強化法に基づき、地域における創業の促進を目的として、国が認定している制度です。
平成28年12月時点で、日本全国1,200以上の市区町村が認定されています。
この認定市区町村において、1ヶ月以上かつ計4回以上の創業支援を受けることで、会社設立時の登録免許税(株式会社は15万円)を半分に減免することが出来ます。
この創業支援とは、各自治体が指定する創業支援事業者から支援を受ける必要があり、各自治体によって体制が異なるのですが、セミナー等を実施している事業者が多いです。
つまり、自治体側はいつでも受け入れ態勢がある訳ではなく、基本的には予約制となりますので、創業することを決めたら、まずはすぐに問い合わせましょう。
また、この制度は自治体から証明書を発行して貰い、その証明書を添付して登記をすることで登記費用が半減できます。
事前に証明書の発行が必須ですので、早めに準備を進めましょう。
※ 例えば墨田区の創業支援の概要はこちらです⇒すみだ創業支援ネットワーク
②0.2%の超低金利融資を受けて創業時期の資金手当を確保!自治体の制度融資
創業時に使える融資制度としては以下の二つが非常に有名なものです。
- 日本政策金融公庫の新創業融資
- 東京信用保証協会の創業融資
しかし、各市区町村においても実は制度融資というものが存在します。
しかも、この制度融資は非常に低金利な制度が多いです。
※例えば墨田区のチャレンジ支援資金は、自己負担0.2%の超低金利融資制度です。
認定市区町村に認定されているような自治体は、創業支援について一定の計画書を策定していますので、このような創業時における低金利の融資制度は必ず準備しています。
しかも、この低金利の融資については、①の自治体からの創業支援を受けていれば、そのまま事業計画書が作成出来ますので、融資制度の申込みもスムーズに行えます。
このように現在は、国や自治体が企業の経営活動に対して支援制度を非常に充実させています。
知らなければ何も受けられませんが、知っていれば非常に有利な状態で事業をスタート出来ます。
東京都以外の方も、「ご自分の本社がある地方自治体+制度融資」で検索されることを、ぜひオススメいたします。
③創業から5年以内なら最大300万円ゲット!東京都の創業助成金
東京都が主催する助成金で創業期の企業に最大で300万円が支給されるものです。
採択企業数は50社程度とハードルは低くはないですが、是非チャレンジしましょう!
参考:創業活性化特別支援事業(創業助成事業、インキュベーション施設整備・運営費補助事業)
今までは国が主催する創業補助金という制度をお勧めしておりましたが、平成28年の募集より採択率が大幅に下がり、最難関レベルの補助金となってしまいました。
平成29年度の募集はまだ開始しておりませんが、例年5月頃に申請を受け付けております。
こちらの助成金の特徴は、以下の通りです。
- ・創業経費の2/3を補助する⇒最大で300万円まで補助!
- ・対象となる経費の範囲が広い⇒人件費、賃料、備品代、広告費も対象に!
- ・創業から5年以内の企業が対象⇒創業後でもチャレンジ可能!
- ・自治体や保証協会が実施する指定の創業支援を受けている企業が対象
少し複雑な制度となりますので、上記の参考リンク先に記載された募集要項をチェックしましょう!
創業前から資金調達の準備があれば憂い無し
創業期は資金面で困っていらっしゃる企業を本当に多くお見かけします。
資金調達には時間がかかるものも多く、すぐに融資を受けられるとは限りません。
また、代表者個人の状況や信用情報で融資を受けられないことも多々あります。
創業前からちゃんと準備をしておくことで、上記のような有利な制度を使えたり、より将来を見据えた経営を進めていくことが出来ます。