任天堂「スイッチ」がライバルを突き放すため守るべき圧倒的な技術

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3月3日に任天堂が待望の新型ゲーム機「スイッチ」を発売開始します。 同ゲーム機には任天堂の最先端テクノロジーが詰め込まれており、同社にとってまさに真剣勝負の大一番と言えるでしょう。本稿はスイッチの技術の中でも、技術視点で突出した分野に光を当てたいと思います。これを守ることができれば、任天堂が再度脚光を浴びる可能性が高くなると言える技術です。

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任天堂の新型ゲーム機「スイッチ」に熱視線

3月3日に発売開始される任天堂の新型ゲーム機「スイッチ」の話題で、世間が賑わっています。

私の子供もスイッチの動画にかぶりつきで、つられて私も何度も見ています。

わくわく感が伝わり、とても面白そうなゲームです。

スマホゲームにゲーム市場で主役の座を奪われて以降、辛酸をなめてきた任天堂にとって、まさに真剣勝負となる新型ゲーム機と言えるでしょう。

それゆえ、同ゲーム機には任天堂の最先端テクノロジーが、非常に多く詰め込まれています。

任天堂「スイッチ」は、Wiiを超えられるのか

任天堂は、3月3日に新型ゲーム機「Nintendo Switch」(スイッチ)を発売する。

スイッチは液晶画面のついた本体と左右に分割されたコントローラーで構成される。コントローラーには各種センサーが内蔵され、さまざまな操作に対応。微細な振動で手で触った感触を再現する機能も採用した。テレビに接続したり、携帯機としてプレーしたりすることも可能だ。希望小売価格は2万9980円。ゲーム機単体でも利益を出せる。

東洋経済「任天堂「スイッチ」は、Wiiを超えられるのか」

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スイッチが死守べき突出したコア技術とは?

さて、「スイッチ」で気になって任天堂の特許を調べてみました。

1,475件も特許を保有しているのですね。

この中には「スイッチ」のコア技術に関する特許もあるのでしょう。

特に、体の動作をゲームに適切に反映するためには、体の動作を正確に検出しなければなりませんが、これは相当難しい技術です。

ジャイロセンサー、加速度センサー、HD振動などがこれに当たります。

ユーザによって体の大きさも異なるし、ユーザの体に接しているのはコントローラーだけで、コストの面からセンサーの精度や数にも制限があるでしょう。

節約社長
スイッチにはコントローラーから伝わる動作を適切に反映する技術が集約されている。Nintendo Switch 紹介映像

スイッチでは上記画像のように、左手のコントローラーがコップを持つ手で、右手のコントローラーが水の入ったボトルを表す場合、左手には水がコップに入る感覚、右手には水がボトルから流れる感覚が伝わり、その手の角度も画面に反映されます。

これは、特許の取りがいのある技術分野です。

任天堂がこのコア技術について特許を取得しているのであれば、「スイッチ」がもし大きく当たった場合に、他社の追従を牽制することができます。

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新技術を市場に受け入れてもらえるかは未知数

私個人の率直な感想としては、新しい価値を作りだそうとする任天堂の取り組みに熱い思いを感じました。

画面ではなく相手の目を見て体を使ってゲームを楽しむという、「Wii」のコンセプトの更に上をいく新しい価値を提供しようとしています。

「今までになかった価値を新しく作り出す」と簡単にいいますが、新しい価値を消費者に受け入れてもらい、それをビジネスに載せるということは、どれほど大変なことでしょうか。

特許の仕事を通じて、企業の新しい取り組みに触れる立場で見てきた経験で痛切に感じます。

市場に新しい価値を提供し続けることは事業において必須といってもよいでしょう。

しかし、新しければいいというわけではなく、それには条件があります。

提供する価値を消費者に受け入れてもらえること、です。

受け入れられなければビジネスとして成立することはありません。

消費者は新しいものを求めますが、自分が持っている価値観を基準にその良さを判断します。

消費者の価値観から遠すぎる価値は受け入れてもらえません。

消費者は新しいものを求めると同時に、自分の価値観と共感できる安心も求めているのです。

これを考えると、任天堂の「スイッチ」のコンセプトは、今までの概念から大きく踏み出しています。

ビックリする価値を提供するものですので、大きく当たるかもしれないし、さっぱり当たらないかもしれない。

任天堂が大きなカケに出たのではないかとの印象を受けました。いずれにせよ「スイッチ」が大きく化けることを期待したいと思います。

Photo credit: mugwumpian via Visual Hunt / CC BY

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弁理士 渡部 仁

新卒で特許事務所に勤務し、生粋の知的財産専門家として20年以上の実務経験を有しています。
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日本知的財産仲裁センター事業適合性判定人候補者
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2014年 かわさき知的財産スクール 講師
2015年 かわさき知的財産スクール 講師
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2016年 かわさき知的財産スクール 講師
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2016年 経済産業省・特許庁主催の知的財産セミナー 講師

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