従業員のヘルスケアを充実させるため、会社が負担する前提で、一定年齢に達した従業員に人間ドックを受けてほしい、と考える経営者の方はいらっしゃいませんか?
福利厚生費としての費用支出が認められるためには、原則的に従業員や役員などを含めて、そのサービスを全員が受けられる必要があります。果たして、一部従業員への人間ドックの福利厚生導入は可能なのでしょうか?
従業員のヘルスケア充実に人間ドック検討?
企業が従業員を雇用すると、年に一回の定期健康診断を受診するよう、国に義務付けられています。
これと同時に、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できる」という健康経営の考え方も浸透しつつあります。
従業員のヘルスケアを充実させるため、会社が負担するので一定の従業員に人間ドックを受けてほしい、と考える経営者の方もいらっしゃることでしょう。
ただし、人間ドックに一回かかると費用が数万円かかることもあり、全従業員を対象とするのは現実的ではないかもしれません。
一定年齢以上の社員限定だと福利厚生費は利用できる?
上記のようなケースで、「35歳以上の社員限定で、会社が人間ドックの費用を負担する」などの制度を設けることを考えたとします。
費用負担は福利厚生費で行おうと思うのですが、一つひっかかる部分が生じます。
福利厚生費としての費用支出が認められるためには、原則的に従業員や役員などを含めて、そのサービスを全員が受けられる実態が無ければいけないからです。
そうでなければ、人間ドックを受けた費用を、従業員や役員に給与課税がかかり、更には会社も源泉徴収を行わねばならなくなるからです。
この場合、「従業員含めた全員が一定の年齢に到達した時に、人間ドックを検診できるならば福利厚生費扱いは可能」となります。
なぜなら、年齢を重ねることにより、病気のリスクが高まることは社会通念上の一般常識であり、更に一定の年齢に到達したなら「誰もが」人間ドックを検診できるという、分け隔てない制度設計が行われているからです。
社内規定で人間ドックの受診内容も設定すれば完璧
ただし、この場合においても注意すべきことがあります。
それは、人間ドックの検診費用が「妥当」なものか否かという点です。
会社によって一人あたりに支出できる人間ドック費用にも開きがありますし、通常の人間ドックは土日祝祭日の費用が高く設定されるなど
このような場合は、社内規定で年齢ごとに定期健康診断と同じく、どこまでの範囲で人間ドックを受けるのか(内視鏡、胃カメラ、PETなど…)を定めておけば良いでしょう。