「起業するなら若い時の方がいい」というのが、起業に対する一般的なセオリーです。
その理由は、たとえ失敗してもやり直しが効くから。これも正に真実です。確かに若い時の方が体力はありますし、発想も豊かであり、行動力もあります。
でも、本当に中高年からの起業は遅いのでしょうか?
中高年で見事に転身した3つの事例を見ると、そんなことも無さそうです。
40代を過ぎた起業〜世間は誰もが辞めろと言う
「起業するなら若い時の方がいい」という話は良く聞きますね。その理由は、たとえ失敗してもやり直しが効くから。
確かに若い時の方が体力はありますし、発想も豊かであり、行動力もあります。
また、孫正義、堀江貴文、ビル・ゲイツなどは20代で起業していますし、柳井正や三木谷浩史などは30代で起業しています。
40代を過ぎた場合はどうでしょうか?
失敗したら、家族を路頭に迷わせることになりかねません。
だから、40代を過ぎたあなたが「起業する」と言ったら、家族は反対するでしょう。友人や知人も「やめとけ」と止めるでしょう。
だからって中高年起業は止めた方が良いのか?
私は、過去8年間にわたって400人以上の起業相談を担当してきました。その内訳をみると、40代以上の人の相談が圧倒的に多いのです。
ある年齢を過ぎると確かに体力は落ちるでしょう。
でも中高年には、さまざまな経験や人脈があります。今までの仕事の中で培ってきた交渉力や知恵もあります。
これは若い人にはない大きな財産だと言えるでしょう。
中高年世代による起業が増えているのはなぜか?
中高年の起業が増えている理由の一つには、平均寿命が延びたことが非常に大きいと思います。
ここ最近、日本老年学会、日本老年医学会が、高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきと発表したのは、皆さんの記憶にも新しいところではないでしょうか?
しかし、中高年世代の起業が増えている理由は、これだけではありません。
中年と言われる年齢に達すると、次のような疑問や意向を抱く人が多くなります。
- このまま会社にいてもせいぜい課長どまり。これで自分の人生終わってしまっていいのだろうか?
- 今の会社勤めのままで、本当に自分のやりたいことができるのだろうか?
- 会社でのノルマに追われる日々から抜け出し、自分のペースで仕事をしたい。
- 定年だからといってリタイアしたくない。だったら今のうちに起業して、自分の可能性をもっと活かし、年齢に関係なく働きたい。
つまり、人生を充実させるため、起業という選択肢を選ぶ人が増えているのです。
ここからは、中高年で起業した人々の例を皆さんと共有したいと思います。
最先端ファッション業界から庭師へ転身した事例
ファッション流通企業で部長だった私の知人の話です。
彼はある日突然、奥さんに対して「会社をやめて庭師をやる」と言い始めました。
奥さんは目が点になったそうですが、当然ながら奥さんの気持ちは分かりますよね。
いつも流行を気にしなければならない仕事より、植物を相手に、もっと自分らしく生きたいというのが庭師をやりたかった理由だったようです。
その後、彼は庭師として立派にやっています。起業して本当に良かったと思っているそうです。
IT業界から介護のできる美容師に転身した事例
IT業界で一貫して営業畑を歩いてきたある人は、施設で暮らす92歳の老女の新聞記事を目にしました。
終日ベッドに寝たきり、医師が診ても活力を取り戻しません。
ところが、ある日ボランティアの美容師グループが来て、きれいに髪をカットし、セットしたところ、その日からあちこちの部屋に顔を出し、施設内を元気に歩き回ったという話です。
この記事に触発され、「介護のできる美容師」を目指したいと思うようになりました。
それからすぐ、美容専門学校の通信教育を受講、毎週土曜日には紹介された美容院で働き、週に2日間は、夜9時から11時半までの実技の勉強会に参加しました。
美容師の免許を取得したのは55歳のときでした。
次には、ホームヘルパー二級の資格に挑みました。
こうして60代に入って美容院を開業、「介護のできる美容師」に転身しました。
「何の目的もないから老けるのよ」女優・岸恵子の事例
「わりなき恋」という官能小説を書いて話題になった、女優の岸恵子が小説家になったのは80代のことです。
若さの秘訣を聞かれて「何の目的もないから老けるのよ。新しいことに挑戦していれば老ける暇なんかない。言葉をかえれば、もっと苦労することが必要なのよ」と答えたということです。まさに脱帽ですね。
〜確かに何歳になっても挑戦し続けることは大切だと思うけれど、年齢とともに体力も脳の働きも弱くなるし、もし失敗して多額の借金を背負って家族を路頭に迷わすわけにはいかない、だから起業といっても、やっぱり考えてしまう。
こんな風に思っている方も多いと思います。
そこで次回は、この点でどんなリスクヘッジを行えば良いのか?考えていきたいと思います。