「あのお客さんまるで自分のことを下僕のように扱いやがる。」「なんでこんなにクライアントにペコペコせにゃならんのだ」こんな状態で貴方は仕事をしていませんか?自営業は客層と立場を間違えると、最悪な仕事の選択となってしまいます。自らの苦しい経験を踏まえ、客層と顧客に対する立場の大切さをキミアキ先生が教えてくれます。
客層と立場を間違えると自営業は最悪の選択に
今日は、「自営業という最悪の選択」というテーマで、お話してみようと思います。
今回、「自営業」の範囲に含めるのは、個人企業も小さな法人も、自分で起ちあげてみよう!っていう人たち全てです。
自営業って客層と立場を間違えると、最悪の選択ともなり得ることが沢山あります。
どういうふうに最悪かと言うと、金銭面だけでは無くて、精神面でも最悪だったりするんです。
私自身、自営業として精神的に病んだことがありましたので(笑)
夫婦で食いつなぐのがやっとだった起業当初
私と妻が独立開業したのは、2001年のことでした。
妻の方は、セブンイレブンのお向かいにあるブティック跡で、税理士事務所を開きました。
私はちょっと離れた所に、ワンルームマンションを借りて、不動産会社を設立しました。
当時は自宅も賃貸で借りておりましたので、賃貸で自宅・税理士事務所・不動産会の3ヵ所を借りていたことになります。
だから賃料も沢山払っていまして、今考えると起業当初なのに結構ムリもしたわけです。
それで、この不動産会社の方で賃貸の仲介をやっていたんですが、あの時に賃貸仲介で初年度に稼いだ300万が無かったら、今考えると死亡確定でした。
税理士事務所の方は、お客様ゼロですから、ほんと大変だったんです。
お客様が少なくて、新規を取っても、初年度はたしか…10件くらいしか取れなかったので、到底食べていけるような状態では無かったです。
そんな状態ですから、妻もアルバイトをしていたんですよ。青色申告会のアルバイトがあれば、すぐに行ってました。税理士会経由のアルバイトですね。
確定申告で、ダァーーーーっと長い列が出来ますでしょ?あれをどんどんさばいていくやつです。
それから住宅メーカーさんの税務相談会のアルバイトへ行ったりね。
あとはヘルプというのも有るんです。他の忙しい事務所さんのヘルプに行って、アルバイトしたり。
そうやって、どうにか初年度を食いつないだ。という夫婦なんです(笑)。
不動産の元付業者としてヤクザのような客層と付き合った日々
一方の私はというと、不動産の仲介業をやっていたんですが、立場が結構良かったんです。
不動産の賃貸仲介って2種類あって、大家さん側の方につく元付け、それから「借りたい」というお客様側につく客付けってあるんです。
大きめの駅、ターミナル駅とか、駅前に出店しているようなお店は客付け業者です。
私は元付業者の方、大家さん側の方だったんですけれど、どうして私が契約を取れたかっていうと、当時私しか出来ないような契約形態をとっていたんです。
ですから、契約自体は元付業者の私がやらないといけないんですね、お客様(大家さん)とね。
そのとき、虐げられているような人っていうのは、「おまえ業者だろうがよ〜コラァ!!!」とかなんとかね、とにかく高圧的なんですよ。
その時の心境は、「こういう人たちが相手の商売なんてやってられっかよ!」って思いましたね。
それもですね、みんな家賃が月額10万円以上の大家さんですよ。
そういう人たちが、自分より相手の立場が弱い、自分の方が強いんだって分かった瞬間に、どれだけ理不尽なことを言い出すか…本当に信じられませんよ。
もともと私は、資格学校の先生をやっていた期間が長かったんで、普通のサラリーマンの方達と、普通に「生徒」と「先生」で上手くやっていけてたわけなんです。
ところが、不動産業者になった瞬間に、以前教えてた生徒みたいな人たち、昔は仲良くやっていた人たちみたいな人間が、いきなり「おめぇ業者だろうがぁ〜!!!」みたいに、高圧的になって893みたいになっちゃうんですよ。
ところが、お客様の中には社長もいたんですけれど、社長が黒塗りの車で運転手付きでバァーっと乗り付けてきて、「どうもこんにちは ♪ じゃあ早速、契約しちゃいましょう ♪」みたいな感じなわけですよ。
自営業の人たちの方が、よっぽど付き合いやすいと思いましたよ。
不動産業者を辞めて会計事務所に注力し客層チェンジ
それもあって私は、会計事務所に注力しようと決めました。
会計事務所の仕事の方がマシ。なぜなら、会計事務所の仕事の方が、客層が良いんですよ。
実務も出来ましたしね。今はあんまり出来ませんけれど、当時はバリバリ出来たのでね。
ちょうどお客様である社長が、会計事務所の所長だった妻に言ったことがあって、「先生、あなたは営業はやらない方が良いよ。せっかく、旦那さんが居るんだから旦那に営業してもらいな?」って。
それから私が営業担当になったんですね。キッカケは、その電通出身の社長さんの一言だったんです。
私が本当に実感したのは、客層と自分の立場を間違えると自営は地獄です。
私が不動産業者になった途端に、講師時代には考えられないような態度をとられるんですから。
やっぱり、1番は客層ですよね。
客層が虐げられているような人達だと、うっぷんがあった場合って、業者は吐き出される側になっちゃうんですよ。
そうなれば、どんな理不尽なことでも言ってきますからね。
それもね、底辺の人たちだけでは無いんですよ。
一流企業に勤めている方だって、「今日 一体会社で何があったのよ?!」ってくらい、バァーーーーッと吐き出してくる時がありますから。
ですから客層を間違えると地獄だって、私は本気で思いました(笑)
そして、会計事務所の良いところっていうのは、お客様と対等なんですよ。だいたいは。
なので、そんなに嫌な思いをする事っていうのは無いんです。
私はランチェスターの弱者の戦略の話をする時にいつも、
まずは客層ありき
それから、
その客層に合った、商品・サービスを考えて行こう
っていうことを必ずお話するんですけれど、それだけ本当に嫌な思いをしたんですよ。
ですから、たとえ、元付側(大家さん側)だったとしても、ハッキリ言えば、大家さん側っていうのは立場は高いんですけれど、だとしても、もう不動産の業者はやりたくないっていうのが正直な気持ちです。
「見積もり出せ出せ君」と付き合うのは地獄
それから、これはフリーランスの方が多く経験していると思うんですが、「見積もり出せ!企画出せ!提案出せ!」って言う、「出せ出せ」ばっかりの「出せ出せ君」みたいな会社とおつきあいしたことありませんか?
だいたいサラリーマンがこういうことを言うんですが、会社の周りにいるフリーランスの方たちに「アレ出せコレ出せ」って言う。
じゃあ仕事が来るかって言ったらね、ほとんど来ないんですよ。
とにかく正しいことばっか言ってるように見えて、要するにダメなサラリーマンに捕まる。これも地獄なんですよ。
そんなの早く切っちまえ!ってハナシなんだけれど、あそこの会社さんとは長い付き合いだし、担当変わっただけだからって、なかなか切れないんですよね。
これも、地獄。
実際これで胃が痛い…死にそう…って言ってらっしゃるフリーランスの方も、けっこういますからね。
下請けという立場にいる限り会社は必ず潰れる
それから下請けという立場も、やっぱりキツイですよね。
下請けっていうのは、天国の時ってホント天国なんです。
億単位の仕事が上から流れて来て、ただ単に仕事していれば良い。
営業活動は一切要りませんから、上から流れてくる仕事だけでやっていけると。
ところが、そういう下請けに1回甘んじてしまうと、一生下請けなんですよ。
うちのお客様でも、下請けを脱却出来るのは、10社あればそのうちの1社くらいです。みんな脱却出来ないです。
そして、下請けは必ず潰れます。
というのも、親がダメになったら、必ず子がダメになるじゃないですか。
親がダメになってきたときに、子供の方が儲かることは絶対に無いんですよ。絶対に無い!
必ず下の方から先にシワ寄せが行って、そして上はどうにでもなる。子供を殺してでも生き残るんだから。
それが商売の世界ですからね。
ですから、この下請けを脱却したかったら、とにかく1社でも良いから、取引先を増やしていくんです。
これしか無いです。
この下請け地獄の辛さ、…も〜本当に、泣きそうな話になりますからね。
うちのお客様では無いんですけれど、とにかく裏金を要求されるとか。
裏金渡さないと次の仕事が来ないとか。本当にそういう世界がある。あれこそ地獄だよね。
こういう地獄があるっていうことを知っているだけでも違うと思います。
私、昔言われたことが有るんですよ。
「タナカさん、あなたみたいに本当に好きなこと出来る人なんて少ないんだよ。」って。
でも、この言葉を聞いたのは、裏金渡してた下請け地獄の社長さんとお酒飲んだときのことでしたから(笑)
そんなこと、言う経営者になりたくないですよね。
客層と立場の重要性、もう一度確認してみてください。