中小企業の社長の中には、法人税を払いたくないからと言って、給料をどんどん上げて会社を赤字にしている人もいます。しかし、冷静に法人税の実効税率を見てみると、個人の所得税支払いと比較して法人税の支払いのほうがオトクになる場合があります。その給与水準は、月給40〜50万円がボーダーラインと見積もられています。
利益に対する税金と利益に関係ない税金を知っておこう!
会社が納めなければならない税金は、法人税や事業税、固定資産税や源泉所得税など、本当に多岐に渡ります。
大きく2つに分けるとするならば
- ▼ 会社の利益(所得)が基準となるモノ
- ▼ 利益とは関係なくかかるモノ
に分けることが出来ます。
では、会社の利益に対してかかる税金とはどういうものなのでしょう?
会社の利益に対してかかる税金の代表は法人税
会社の利益に対してかかる税金の代表例は、何と言っても法人税です。
法人税は会社が出した利益を基準として計算されます。
実務的には会社が出した利益を基準として「課税所得」というものが計算され、その課税所得をベースにして税金の金額を計算します。
利益が増えれば連動して税金の金額も増えていきますので、儲かれば儲かるほど増えていくのが法人税なのです。
利益に連動して増えていく税金は、法人税以外にも法人地方税、法人事業税、法人住民税などといったものがあります。
会社の規模や利益の金額によって税率は変わっていきますが、中小企業の場合は大企業よりもかなり優遇されているんですよ。
利益を出すと会社はどれくらい税金を払う必要があるのか?
法人税など利益に連動してかかる税金の負担がどれくらいあるか?という指標に、実効税率という指標があります。
実効税率とは「会社がこれくらい利益(所得)があれば、法人税や法人事業税、法人住民税がこれくらいかかるよ~」という割合を示すものです。
中小企業の実効税率を計算していくと
- ▼ 課税所得が400万円以下・・・約21%
- ▼ 課税所得が800万円以下・・・約23%
- ▼ 課税所得が800万円超・・・・約34%
という割合になってきます。
例えば年間の会社における所得が300万円だった場合には、
400万円 × 21% = 84万円
となり、この会社が払う必要がある法人税、法人地方税、法人事業税、法人住民税などの合計額は、控除を差し引くと63万円前後になるということが分かりますね。
個人の所得税支払いと法人税支払いを比較
ただ、この数値を見ただけでは「法人税とかの負担って重いのかなぁ?」ってよく分からないですよね。
個人事業の場合でも、利益(所得)に対して払う必要がある税金に、所得税や住民税、個人事業税というものがあります。
個人の場合の実効税率(所得税+住民税)は、所得控除などの影響も考えると、
- ▼ 課税所得が195万円以下・・・約15%
- ▼ 課税所得が330万円以下・・・約17%
- ▼ 課税所得が695万円以下・・・約22%
- ▼ 課税所得が900万円以下・・・約26%
つまり、所得が増えれば負担が増えていくカタチになります。
法人税と所得税は、課税の方法が若干異なるので一概には比較できないのですが、例えば個人で400万円の課税所得があった場合には、
400万円 × 22% = 88万円
という結果になります。
課税所得400万円というと、サラリーマンの年収でいうと600万円くらいの人。
もちろん、個人の場合には家族構成や社会保険料の負担額によっても税金の金額が変わってくるので、単純に比較はできません。
ただ、一つだけ言えることは「法人税は所得税と比べて高いわけでは無い」ということです。
しかも、個人の場合には所得が増えれば、年金や健康保険などの社会保険料の負担も増えますし、子ども手当などの支給額も減額されます。
収入が増えていくほど、個人の方が負担は大きくなるわけです。
社長の月給が40〜50万円に達したら会社に利益を残して法人税を支払ったほうが得
中小企業の社長の中には、法人税を払いたくないからと言って、給料をどんどん上げて会社を赤字にしている人もいます。
でも、ある程度のお給料を取れるようになってきたら、会社にもそこそこの利益を残してあげた方が、税金の負担を抑えることが出来るのです。
ボーダーラインとしては、月間の給料が40~50万円くらいというところでしょうか。
給料や役員報酬を上げる前に、どうすれば一番お金を残すことが出来るのか?というコトも考えていきましょう~♪