起業時の情報収集は必要不可欠な準備作業ですが、キリのない情報収集は有限な時間を起業家から奪い、結果として起業家を情報コレクターに変えてしまいます。なぜ起業家が情報コレクターとなってしまいやすいのか?起業家にとって本当に必要な情報とは何なのか?を考えてみましょう。
キリの無い情報収集が作り出す情報コレクター
起業するには様々な情報が必要とされ、これから起業しようとする方にとって、情報収集は必要不可欠な起業準備の作業です。
しかし、情報収集にはキリがありません。
情報を集めても集めても、まだ情報が足りないのではないかと不安になり、さらに情報収集に没頭する方をよく見かけます。
特にネット社会になってからは、ネット上に多くの情報が溢れかえっていますし、次から次へと情報教材も登場しています。
情報(ノウハウ)コレクターに陥ってしまい、それにお金を使い過ぎて破産してしまったという話すら聞きます。
「起業」のお題が付く本を片っ端から買って読む人もいます。買って読むならまだしも、読まずに積んで置くだけの人もいます。
なぜ多くの人が、このように情報収集に明け暮れるようになってしまうのでしょうか?3つの理由を説明いたします。
起業家が情報コレクターになってしまう3つの理由
情報コレクターになる理由1:「不安感」
情報コレクターになってしまう第1の原因は「不安感」です。
起業にはリスクが付き物であり、不安がいっぱいです。
どんなに情報を集めても、まだ足りないのではないか?この点が弱いのではないか?と考えてしまいます。
情報を集めれば、いったんは安心するのですが、すぐまた不安になります。
その結果、情報の洪水の中で溺れてしまい、情報収集や情報教材のためにお金を沢山使ってしまいます。
そして、そのための出費は未来への投資だと自分を納得させます。
情報コレクターになる理由2:「必要な情報を理解してない」
第2の原因は「必要な情報を理解してない」からです。
起業に当たって、何が必要な情報かが分かっていないために、闇雲に情報収集してしまう人がいます。
例えば、起業するからには法人化しなければならないと考え、法人化のための本を3~4冊買って読んでいる人がいます。
確かに、法人化の知識は必要な情報かも知れません。
しかし、時間は誰にも平等に与えられたものであり、もっと言えば、法人化の具体作業は外部に行ってもらえるため、知識としては優先順位の低い情報かもしれません。
起業を成功させるにはどんな情報が大切か、優先順位を付ける基準がなければ、知らぬ間に情報コレクターとなってしまうのです。
情報コレクターになる理由3:「自分で考えて判断し行動していない」
第3の原因に「自分で考えて判断していない」ことがあげられます。
目に付くものは何でも食べて、腹いっぱいになるでも、食べたものをしっかり消化しないと栄養にはなりません。
これと同じようなことをしていませんか?
例えば、次から次へと本を読む、読んだ本の内容をノートにまとめる、等など…
これだけだったら、腹いっぱい食べてもそれをしっかり消化していないのと同じことです。
集めた情報を自分の起業にどのように活かしていくのか、これをしっかり考えていくこと、もっと言えば「実践する」必要があります。
情報収集したら、それを自分なりに消化する作業を行っていない人がいかに多いか、創業相談を行っていると、このことを実感させられます。
起業時に優先順位の高い3種類の情報とは?
上記にあげたような理由で情報洪水の中で溺れないためには、必要な情報を明確にして優先順位を付けることが必要です。
優先順位は以下のとおりです。
必要な情報1:生き残るための情報
起業の現実は厳しいものがあります。
起業して、3年後まで生き残れるのは3割、10年後まで生き残れるのは、たった4%と言われています。
私たちは生き残ることを考えなければならず、起業に当たって一番必要な情報は、生き残るための情報です。
その情報とは、市場性と競合です。
あなたが起業しようとしている事業には果たして、どの程度の市場性があるのか?をしっかり捉えておく必要があります。
市場性があったとしても、その事業分野の競合が激しい場合、新規に参入してもうまくいく可能性は少なくなります。
市場性と競合の情報、これはまず第一に優先すべき情報です。
必要な情報2:専門分野の情報
自分が起業しようとする分野の専門的な情報やノウハウの優先順位が高いことは言うまでもありません。
この分野の情報やノウハウを知らずに起業する人はまずいないと思います。
しかし、これにも落とし穴があります。それは、「情報の鮮度」という問題です。
会社員時代、長年にわたってこの分野の仕事をしてきた大丈夫と思っていても、どの分野でもビジネスは日進月歩で進歩しています。
自分の知っている情報やノウハウが古くなっていることは多々あります。
実践現場での意見交換を含めて、この点については、最新の情報を仕入れられるよう、しっかりチェックしておくことが必要です。
必要な情報3:マーケティング情報
売上がなければ、その事業を継続させることはできません。
売上をあげるためには、集客につなげるマーケティング情報が必要となります。
しかし、これが曲者です。
いわゆるノウハウコレクターは“集客”についての情報教材を次々に買い込んで“情報貧乏”に陥っているケースが多くなっています。
この方法がいいと聞けばそちらになびき、あの方法がいいと聞けばあちらになびく、といった具合でいくら情報収集しても不足感が残ります。
マーケティングの情報収集は、自分の事業の“集客”には何が効果的かを取捨選択し見極めた上で行う必要があるのです。
自分の限られた時間で有効な情報を効率的に収集し、実践の時間を最大限に確保できるよう、組み立てていきましょう。