自動車業界とソフトウェア業界におけるM&A観測報道が頻発しています。
しかし、自動車業界とソフトウェア業界の組織形態や風土は現時点では全くかけ離れたものです。
しかし、技術的優位性を持つソフトウェア業界の自動車業界への侵入(M&A)はもはや止められないものです。
同じことが全く違う業界でも起こり得る時代に突入しています。
自動車業界とソフトウェア業界のM&Aが進むワケ
ルノーがフランスのソフトウエア会社を買収し、アップルがマクラーレンの買収交渉をしていると報道されているように、自動車業界とソフトウェア業界におけるM&Aニュースが盛んに報道されています。
マクラーレンは40-50代の方であれば、マクラーレンホンダとして、セナ、プロストでF1の世界を席巻したよくご存知の企業です。
なぜこの2つの業界でM&Aが頻発しているのかというと、自動車はソフトウエアの固まりになっていますが、今後は自動運転が当面の軸になり、ますますソフトウェアの開発力が重要な鍵となるからです。
自動運転に求められる技術に自動車業界は技術も開発スピードも追いついていない
ソフトウェアの進歩はマウスイヤーと言われるほど開発スピードが加速度的であり、業界自体もトライアンドエラーが推奨される横断的な組織風土を持ちます。
対して、自動車業界の各企業は、未だに縦割りの組織体制のままで、開発に時間をかける風土が残ります。
今回のM&A報道についてだけ言及すれば、アップルはこれまでに培ってきたノウハウをベースに、自動車産業にも触手を伸ばそうとしているのでしょうが、グーグルマップでの情報収集を世界規模ですでに進めているグーグルと比較すると、対応が後手後手に回っている印象です。
マクラーレンという自動車メーカーを買収すれば、それで解決する問題とも思えませんし、本来であればソフトウエアメーカーとして、すべてのメーカーと台頭に付き合い、サービスを提供していきたいのでしょう。
アップルはそれを目指すには出遅れ過ぎてしまったのかもしれません。
それを示すかのように「アップルのマクラーレンに対するM&Aは頓挫する」という報道も既に出ています。
予想し得ない方向から異業種によるM&Aが起こり得る時代に突入している
これまでにない組み合わせが新しいビジネスに必要になった場合には、M&Aでその問題を解決せざるを得ません。
今後同じような現象が起こることが予想されるのは、金融業界です。
中でもフィンテックなどがまさにそういうエリアですが、あまり目立ったM&Aが今のところ日本では起きていません。
これは既存の金融業界の力が圧倒的なことが原因です。
フィンテックの進展は既存の金融業界にとっては衰退を意味することから、既存企業だけでは大幅な進展は難しいと思います。
しかし、将来を見据えた破壊者(ディスラプター)が出てこないと、結果として自分たちの産業の将来の目を摘んでしまう可能性もあります。
そういう意味では出遅れてしまったが、勝負に出ようとしているアップルの姿勢は評価できます。
こういった動きを他山の石とすることなく、日々のビジネスに活かしていきましょう。
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