脳が、刺激や学習によって脳自体が活発に結合を繰り返し、年齢とともに成長を続けていくことは、自明の理となりました。
もはや年齢が起業の失敗における直接要因とはなりません。
しかしながら、年齢を重ねて起業に失敗する人には、共通の特徴が3つあります。
以下、解説いたします。
「年を取ったから脳の働きが衰える」はウソ
年齢とともに、体力だけでなく記憶力や知的能力が衰えていく。
だから、やっぱり若い人には敵わないと思っているあなた!
アメリカのジーン・コーエンは、長年の加齢研究の結果、「年長者の脳には、若年者と同等の学習能力は無く、年齢とともに創造性は衰える」という常識は、すべて間違いであると言っています。
ジーン・コーエンは次のように述べています。
- 経験や学習に応じて、脳は自ら変化する。
- 新しい神経細胞が生涯にわたって生成され続ける。
- 感情を司る脳回路は、年齢とともに成熟しバランスが良くなる。
- 年長者の脳は、若年者よりも脳の多くの場所を同時に使う。
つまり、刺激や学習によって脳自体が活発に結合を繰り返し、年齢とともに成長を続けていくことが、脳科学の最先端分野で明らかになったということです。
もう年齢だから脳が働かないというのは、脳に刺激を与え、学習をしていない言い訳にしか過ぎないのです。
上記のように、年齢が能力を阻害する直接要因とならなくとも、年齢を重ねて起業して失敗する人には、共通の特徴が3つあります。
シニア起業で失敗する人に共通する3つの特徴
特徴1:情熱を持って取り組めることで起業していない
まず第一にあげられるのは、本当に自分がやりたいことや、情熱を持って取り組めることで起業していない人です。
40代後半以上になると、今まで長年やってきた仕事のノウハウを過信し、会社をやめても同じ仕事で起業する人がいます。
それでも、本当にその仕事が自分のやりたいことや、情熱を持って取り組める仕事なら、成功する確率は高いでしょう。
しかし、本当にやりたいことは別にあるけれど、その仕事しかできないから、それで起業するということでは、成功する確率はグンと低くなります。
やりたい仕事ではないけれど、今までの延長で起業するならば、新たな刺激も無く、学習意欲も沸いてこないでしょう。そうすると、脳の発達は期待できません。
自分のやりたいこと、ワクワクすることをやっていれば、毎日が楽しくなり、楽しいからこそ工夫が生まれます。
また、仕事を楽しんでいる人は、同じような人を惹きつけることができます。
だから成功の可能性が高くなるのです。
特徴2:過去の実績や在籍した会社での肩書へのこだわりが捨てられない
二番目にあげられる起業に失敗する人は、過去の実績や会社での肩書にこだわる人です。
このような人は、「自分は過去にこんな実績があるから、その経験をうまく利用して、前と同じ通りにやれば成功するはずだ。」と考えます。
でも、過去の実績が通用するとは限りません。
協力者がいるとしても、起業したら最後は自分一人が頼りなのです。
会社にいた時は、自分は部長だったという意識から抜け出せない人がいます。
会社をやめたら、過去の肩書は関係ありません。
なんせ、過去の肩書を振り回す人は、鼻につくだけの存在。誰もついていかないでしょう。
特徴3:独りよがりな見方をして人の意見を聞かない
三番目にあげられる起業に失敗する人は、人の話を聞かない、マーケットを見ていない独りよがりの人です。
次のような人の話を聞かない人は、起業しない方が良いでしょう。
- 人の話を聞かずに自分の考えばかり主張する。
- 聞かれてもいないのに、昔の自慢話ばかりする。
- 同じことをクドクド繰り返す。
- 自分ばかりしゃべっていて相手にしゃべらせない。
こんな人が起業しても、うまくいかないというのは想像できますが、次のようにマーケットを見ていない人も多いのです。
私のところにも、「こんな商品を開発したけど、どこか売り先はないだろうか?販路を開拓したい。」と相談に来る人が多くいます。
商品開発が得意な人に、このような傾向が強いのですが、多くの場合は、その商品を使う人やマーケットについて、全くと言って良いほど意識していません。
しかも、商品開発にお金を注ぎ込んでしまって、もう資金がほとんど残っていないケースもあります。
これは絶対にいけると思っているから、お金を注ぎ込んでしまうのでしょうね。
事業とは顧客の抱えている課題を解決することです。
したがって、顧客がどんな課題を抱えているのか?という発想からスタートすることが、起業成功のための必須条件なのです。
年齢を重ねシニア起業する人が留意したい3つの点
以上3つの「年齢を重ねて起業した人」に共通する傾向をお伝えしました。
最後に、年齢を重ねた上に、起業に失敗して多額の借金を背負わないために、留意すべき3つのことをお伝えします。
1)在庫を抱える事業は控える
大きな在庫を抱えているけど、商品は少しも売れない。これでは経営は苦しくなりますね。
在庫商売は、在庫商品が動かなければ、資金繰りが大変になります。
起業に当たっては、在庫を抱える事業は控えることを心掛けてください。
2)なるべく固定費を低くする
売上げがあがらなくても、家賃や人件費は出ていきます。
このような固定費が高いと、やはり資金繰りが大変になります。
3)自己資金を全部使わず融資を活用
「起業に当たって借金はしたくないから、自己資金ですべても賄う。」
これは一見正しい選択に見えますね。
しかし、やがて売上げが順調に伸びていけば問題はないのですが、売上げが伸びないので運転資金が足りなくなる時が来たらどうすればよいでしょうか?
運転資金を埋めるために融資を受けようとしても、そのタイミングでは既に融資を受けることは困難になってしまっています。
これから起業する場合は、まだ実績がないので、創業資金として融資は受けやすいのです。
しかし、事業をスタートさせて芳しくない実績が出てしまうと、金融機関は厳しい見方をして、融資を渋るケースが多いのです。
借りたお金は返さなければならないので、借金はしたくない気持ちが理解できますが、芳しくない実績が出た後の融資審査が難しいことだけは、重々留意しておきましょう。