リオのメダリスト達は報奨金から税金を支払う必要があるか?

福利厚生

 日本のメダルラッシュとなっているリオデジャネイロオリンピック。こうなると気になるのが、メダリスト達の報奨金事情です。メダリスト達はJOCやJOCの加盟団体から報奨金を受け取ることが可能ですが、これらについて税金の支払いは発生するのでしょうか?企業から貰う賞金も含めて、解説いたします。

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気になるオリンピックの報奨金と税金の関係性

 リオオリンピックが開幕し、毎日熱戦が繰り広げられています。

 しかも、大会の前半戦を終えて、日本は既に金メダルの数で、前回ロンドン大会に並ぶメダル数へ到達。

 「オリンピックは参加することに意義がある」とも言われますが、やはり自国の選手がメダルを取るシーンには感動させられます。

 こうなってくると気になるのが、メダリスト達の報奨金事情です。

 オリンピックのメダリストにはJOC(日本オリンピック委員会)から金500万円、銀200万円、銅100万円の報奨金が支払われます。

 更にメダリストが企業に所属している選手であるなら、会社から報奨金が出される場合もあります。

 そこで本稿では、

  • メダリストはもらった報奨金をどのように税務処理するのか?
  • 報奨金を支出する会社側はどのような会計処理を行うのか?

 という2つの疑問にお答えいたします。

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報奨金をもらったメダリスト側の税務処理は?

JOCからのオリンピック報奨金

 通常の報奨金は所得税法上の一時所得とされるのですが、なんとオリンピック報奨金は非課税とされ、所得税はかからない形となります。

 ちなみにJOCの報奨金に関する非課税扱いは、遡ること24年前にバルセロナオリンピックにおいて、僅か14歳で競泳平泳ぎで金メダリストとなった岩崎恭子さんの報奨金が、一時所得として課税されたことに対する、世論の批判を受けた平成6年の税制改正が起源となります。

 同様に、JOC加盟の競技団体から報奨金が出る場合でも、金300万円、銀200万円、銅100万円までは非課税とされています。

 この取り扱いはオリンピックに限定され、世界選手権やワールドカップ等で報奨金が出る場合には、課税対象となります。

一般企業からの賞金や贈与

 実際にオリンピックのメダリストになると報奨金だけではなく、様々な企業などからも賞金や商品がもらえることがあります。

 アマチュア選手は、基本的に企業などに所属している場合が殆どなので、所属企業からの賞金はボーナス(賞与)として給与所得の一部となります。

 簡単な記念品などは課税の対象とはなりませんが、高額なものや換金価値のあるものは、同様に賞与として課税の対象となります。

 他の企業や地方自治体などからは、各競技団体のアマチュア規定などとの兼ね合いもあり、表彰と記念品等で済ますことも多いですが、仮に金額的な価値で課税対象と判断されれば、一時所得として取り扱うことになるでしょう。

 プロであれば制約はありませんので、記念品等で済まされるもの以外は、全て事業所得として申告します。

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報奨金を支出する企業側の会計処理方法は?

 一方で、賞金や商品を提供した企業側は、どのように支出を会計処理するのでしょうか?

 相手が自社所属の従業員であれば、賞与としたうえで源泉徴収をしなければなりません(簡単な記念金であれば福利厚生費)。

 プロや外部者であれば基本的に広告宣伝費となりますが、こちらも源泉徴収が必要です。

 その際、賞金等の額から50万円を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出します。支払う賞金等の額が50万円以下であれば源泉徴収する必要はありません。

 また自社商品などの商品を渡す場合、その商品を金銭価値で評価しなくてはならないのですが、その評価は、原則としてその物品の処分見込価額です。

 例えば、株式・貴金属又は不動産等はその受けることとなった日の価額、商品券やギフト券などはその券面額となります。それ以外のものについては、その物品の通常の販売価額の60%相当額で評価することとされています。

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腹が減っては戦はできぬ・報奨金は大事なモチベーション維持の手段

 最後に余談ですが、リオオリンピックの金メダリスト達が受け取れる国別報奨金ランキングベスト5は、以下のとおりです。

  • 1位:シンガポール(約7,600万円)
  • 2位:インドネシア(約3,900万円)
  • 3位:アゼルバイジャン(約2,600万円)
  • 4位:カザフスタン(約2,300万円)
  • 5位:イタリア(約1,900万円)

 JOCも、今回のオリンピックでは、選手たちのモチベーションを上げるため、金メダリストへの報奨金のみ、300万円から500万円に増額しました。

 選手自身は純粋な目標のもとで戦いを繰り広げていますが、「やはり腹が減っては戦はできぬ」のも事実です。

 これらの公に認められた税制優遇を一つのモチベーションとして、次のオリンピックでも更に多くのメダリスト達が生まれることを楽しみに待ちましょう。

Photo credit: p_a_h via Visualhunt / CC BY

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