プログラミングも知らず、投資の勉強を学生時代にしたわけでもなく、オマケに自分でインターネットサービスを作ったこともないのに、IT業界の大投資家となったクリス・サッカをご存じですか?彼がどのようにしてインスタグラム、ウーバー、キックスターターへの初期エンジェルとなっていったのかご紹介します。
IT分野のウォーレン・バフェットと呼ばれるクリス・サッカ
投資の神様といえば、ウォーレン・バフェットのことを、私達はすぐに思い出すことができるだろう。
バフェットが数十年に及んで投資している、コカ・コーラ、P&G、ウォルマートは、約40年間の投資で年利22.7%の利回りを、バークシャー・ハサウェイにもたらした。
バフェットがIT嫌いで、比較的「実業」と呼ばれる分野への継続的な投資で成功しているのに対して、同じように個人投資家からはじまり、後にベンチャーキャピタリストとして、IT分野への投資において大成功を収めた男がいる。
彼は、ツイッター、インスタグラム、ウーバー、キックスターター、といった誰もが知るIT企業へ、初期時点で投資を実行し、創業者達にとってかけがえの無い存在となった。
その男は、ロウアーケース・キャピタルを運営する、クリス・サッカ(以下:サッカ)という男である。
プログラミングも出来ないのにクリス・サッカが大投資家となった理由
サッカは40代に入ったばかりの現時点で既に、アメリカ合衆国のITベンチャー投資において、約1,500億円に上る個人資産を築き上げることに成功している。
彼は今や、インターネット業界の重鎮であり、グーグルのラリー・ペイジにすら意見することができる、数少ない人材でもある。
IT業界のウォーレン・バフェットと呼ばれるクリス・サッカ
しかし、驚くことにサッカは、プログラミングも知らず、投資の勉強を学生時代にしたわけでもなく、オマケに自分でインターネットサービスを作ったこともないのだ。
というのも、彼の経歴は弁護士から始まったからだ。
最初に勤務した弁護士事務所は、ドットコムバブル破綻により、あっさりと彼を解雇した。
その後に潜り込んだのが、まだ収益の立っていない創業期のグーグルであり、彼はそこで法務をこなしながら投資について学んでいった。
最初の投資は、2007年に彼がグーグルを辞めた後すぐに行った、ツイッターの創業者エヴァン・ウィリアムズへの2.5万ドル(約250万円)の出資だった。
サッカは投資家に留まらず、ツイッター社のために資金調達用のファンドを立ち上げ、出資者達に50億ドルものリターンをもたらすことで、伝説の投資家となっていく。
自らリスクを取るだけではなく、自らが惚れ込んだサービスへの惜しみない資金調達を行うことで、サッカは起業家達にとっての「良き友」となり、彼もそれに応えて、自宅を起業家達へ開放するなど、創業間もない彼等を援助する。
そこに集まってきたのが、ウーバーであり、キックスターターだった。
今の日本で求められるクリス・サッカのような投資家の存在
今もサッカは総額数十億ドル規模の運用を行い、起業家達の資金調達を援助するベンチャーキャピタリストとして君臨している。
かたや日本では未だ、創業期におけるメインの資金調達手段は、銀行の融資が主流である。
サッカのように、個人投資家として、資金調達プレイヤーとして、ベンチャー企業を援助する人材の数は圧倒的に少ない。
ビジネスを立ち上げて多少失敗したとしても、それを乗り越えて前に進む起業家が増えるためには、サッカのような個人投資家が今の日本には必要だ。
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