WEB制作会社との間で起こるトラブルの多くは、クライアントとWEB制作会社のコミュニケーションが、うまく行っていないことに起因します。
そこで本日はWEB制作業界にありがちな傾向と、彼らとのコミュニケーションの取り方をご紹介したいと思います。
WEB制作会社との間で起こるトラブルは主に5つの項目に集約される
SEOコンサルタントとして、様々な業種業態のクライアント様と接していると、多くの方から「WEB制作会社との間でトラブルを起こしている」という声をお伺いします。
私がヒアリングしたところでは、WEB制作会社とのトラブルは、おおよそ以下5つの項目に集約されます。
1)サイトのデザインが気に入らない
思ったイメージのサイトが納品されなかった。一番よくあるトラブルです。
2)サイトの完成が遅くなった
納期が延びてしまい、予想よりも何ヶ月もサイトオープンが遅くなった。このトラブルも頻繁に起こります。
3)サイトからの売上が全く無い
サイトオープン後にある程度売上が増えると思ったが、一向に売上が増えなくて困っている。契約前の営業担当者の話だと、かなり上手く行くようなことを言っていたが、それと全く話が違うと感じ悩んでいる。
4)予想以上に費用がかかった
サイトオープン後に、デザインの修正やページの追加を依頼したが、追加料金がかかると言われた。
5)制作会社の担当者の対応が悪い
契約前の営業担当者の対応はとても良かったが、契約後に制作担当者に代わり、その後対応が悪いと感じるようになった。
特に、5番目のケースは言語道断という方も多いことでしょう。
実際にWEB業界に関わっている私ですら、対応が悪いな…と感じるWEB製作会社が沢山あります。
とはいえ、WEBマーケティングは、もはや企業の顧客開拓からは切っても切れない関係にあるため、WEB制作会社と良い付き合いを持つことは、WEBマーケティング成功の必須要素です。
そこで本日は、WEB制作会社をうまく活用するために、業界特有の事情を知り、どうすれば上手なコミュニケーションを取れるか、考えてみたいと思います。
WEB制作会社の実情:経営者とそこで働く人達にありがちな6つの傾向
1)業界が新しいためビジネスのやり方が未成熟
WEB制作業界自体は、比較的新しい業界(1998年頃にスタート)なので、通常の取引先企業の人達と比べると、ビジネスのやり方が未成熟な傾向があります。
そのため印刷業界、広告業界、金融業界、士業業界など古い産業で働く人達と同じ成熟度を期待すると、驚かされることがしばしばあります。
2)社会人としての常識に欠けている人が多い
他の古い産業で働いた経験がほとんど無い人達が多く、社会人としての礼節など、常識に欠けている人達も多い傾向にあります。
更には、仕事に追われているので、人材教育にかける時間が少なく、しかも制作単価が下がってきているので、人材教育に投資する余裕も無い会社も多いです。
3)とにかくメールでコミュニケーションしたがる
WEBでのやり取りに慣れていることもあるからか、対面のコミュニケーションや、電話でのやり取りを避ける傾向があります。
コミュニケーションルールは自分達が決めると考え、とにかくメールでコミュニケーションをしたがる人が多いです。
4)業界用語で横文字を多用するも顧客にとっては「?」
インターネット自体が、海外から輸入されてきたものであるため、英語由来の専門用語、カタカナの業界用語を多用する傾向があります。
アクセシビリティ、ユーザビリティ、フリークエンシー?言っていることがわからず、後々トラブルに発展することが多々あります。
本人の中では、一生懸命説明しているのかもしれませんが。
5)上から目線のコミュニケーションになりがち
WEBに関する、顧客との知識に大きな差があるため、サービス業としての接客ではなく、上から目線のコミュニケーションをする人達も多い傾向にあります。
確かに、WEBの知識は専門的なものが多いのですが、なんだかなぁと残念に思う方もいらっしゃることでしょう。
6)離職率が高いため担当者がコロコロと変わる
受注したさに、調子の良いことを言う営業マンが制作を受注して、約束しても実現できない仕事を、スタッフに丸投げしている制作会社も多く見られます。
そうした会社は、社員の定着率が悪いので、コロコロと担当者が変わり、取引先もそれに左右されがちです。
WEB制作業界とのコミュニケーションを取る際に気をつける3つの点
WEB制作会社の全てが上記に上げたような会社ではありませんが、業界全体の傾向としては、上記のような傾向が至るところで見られます。
いやはや、常識の通用しない困った業界だな!と思われるかもしれませんが、確かな技術を彼らが持っている場合も多いことが現実です。
ここは敢えて「彼らをうまく活用する」ために、以下のようなコミュニケーション対策を取ることをお勧めいたします。
1)相手がコミュニケーション下手であることを前提に付き合う
Web制作会社で働くスタッフはビジネスマンとしての経験が少なく、他の業界と比べるとマナーが良くないことが多いことを前提に付き合いましょう。
契約前の営業担当者は比較的、社会人としてのコミュニケーション力があります。
対して、契約後に接することになるデザイナーやディレクター達の多くは、パソコンの仕事が多いので、仕事を機械的にこなそうとすることが多く、クライアントに対して、サービス業に従事するものとしての接客が苦手な人が多いです。
そのことを理解しないと、むかっ腹ばかり立ち、お互いの仕事に支障をきたすことになります。
こうしたことを感じた時は、相手は未熟な社会人なので、こちら側が、言葉ではなく熱意と態度で、良い社会人としての見本を見せてあげる、という大らかな気持ちで接すると良い結果につながりやすいでしょう。
2)連絡はこちらから積極的に行う
制作会社へは、こちらから連絡をするように心がけましょう。
そうしないと何週間も、何ヶ月も放って置かれることがありますから、本当に注意が必要です。
というのも、相手の視点から見ると、クライアント側からの連絡を待っていて、連絡がないのは「クライアントが忙しいのだ」と思い込んでいることすらあるからです。
これを防止するためには、積極的にこちらがコミュニケーションの主導権を握る必要があります。
ただし、ストーカーのように一日何度も電話やメールをしたり、「すぐに事務所に来い!」という態度だと、高額な料金を払っていたとしても、古い業界の厳しさに慣れていないWEB制作会社のスタッフに嫌われてしまい、納期が遅れたり良い作品が出来ないこともあります。
3)WEBの知識を自ら身につけ言われるがままを避ける
クライアント側にWEBの知識が少ないと「言われるがまま」になり、自分の会社らしいサイトが出来なくなるので、普段からWEBの勉強をする必要があります。
かなり、寛容の心を持たないとWEB制作を発注することが苦痛になり、WEBサイトを使った集客が上手く行きづらくなるので気をつけるべきでしょう。
次回以降は、これらWEB制作業界の現状を踏まえながら、どのようにWEB制作会社を選べば良いか?について、ご紹介しようと思います。