日本最強の個人投資家として知られるBNF(小手川隆)氏と思われる男性が、三重県伊勢市に1,500万円分のふるさと納税を行ったことが話題となっている。対価は純金製一枚30〜40万円の手裏剣が3枚である。企業でふるさと納税を行う場合、プレゼント以外にも損金算入による税務対策が可能なため、制度を知っておこう。
BNFも利用する ふるさと納税制度とは
「ふるさと納税制度」とは任意の地方自治体に寄付することにより、寄付した額のほぼ全額が税額控除される税制度である。
地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための制度として2008年に開始され、利用者数は2014年には10万人、納税総額は100億円を超えるなど、着実に裾の尾が広がっている。※1
個人の場合は、地方自治体に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、個人所得の約1割(2016年からは2割(予定))を上限として、全額が控除される。
例として、3万円を寄付すると2,000円を差し引いた28,000円が翌年の住民税と所得税の減税分として、キャッシュバックされる。(収入別に限度額がある※2)
ふるさと納税は個人で報酬が多い人ほど、節税対策となるため、富裕層向けのサービスと言われる。
最近、富裕層がふるさと納税を活用した例として、日本最強の個人投資家として知られるBNF(小手川隆)氏と思われる男性が、三重県伊勢市に1,500万円分のふるさと納税を行ったことが話題となっている。※3
BNF氏の場合、総資産が数百億以上に達し、年収も億単位になっていることが予想される。従って、減税対象制限額の190万円強を超える部分の寄付については、節税の対象とはならない。
お目当ては、500万円の寄付者に贈る、返礼品の純金をあしらった手裏剣3枚(1枚3〜40万円相当)だ。
金相場価格はここ一年下落しているものの、国内金取り扱い店の買取価格はグラムあたり5,000円前後と、ここ10年間では高値圏から底練りの動きを維持している。※4
レアな手裏剣ともなれば、工芸品としての価値が付加され数年で価値が増大する可能性もあり、節税以上に資産効果が生まれる。さすが伝説の投資家BNF氏、目の付け所が違う。
企業が利用する場合にも節税対策となる
ふるさと納税は、企業も利用することが可能な節税制度である。
ふるさと納税した寄付金は企業の場合、全額損金算入できる。しかも帳簿上、特定寄附金の「国、地方公共団体に対する寄附金」に該当するため、損金処理できる額に限度がなく、節税効果は高い。
寄付金の返礼として与えられる地域特産品は、社内の福利厚生に使用することも可能だ。
キャッシュカードを利用した支払いも可能なため、法人用カードを利用すれば、会社からキャッシュ・アウトするタイミングを、最大2ヶ月ほど遅くすることが出来る等、資金繰りのメリットもある。
納税を企業PRの場とすることも可能となる
ふるさと納税には、もう一つの特徴がある。
自分が応援したい自治体を選び、寄付金の使い道を、震災復興、自然景観維持、子供の教育支援、地域特産品の開発、など、複数の使い道の中から選択可能なことだ。
寄付することによって、自社が社会的責任を果たしていることや、特定の分野を支援していることを、効率よくアピールするきっかけにもなる。
熟慮の上、制度活用することをお勧めしたい。
※1 総務省 平成25年度寄附金税額控除に関する調査
http://www.soumu.go.jp/main_content/000278460.pdf
※2 総務省 全額控除される寄附額の目安
http://www.soumu.go.jp/main_content/000254926.pdf
※3 朝日新聞 2014年12月26日記事
http://www.asahi.com/articles/ASGDT5KF6GDTONFB015.html
※4 田中貴金属
http://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/d-gold.php