ダイバーシティ(多様な人材を活用すること)の推進や、労働時間の短縮、人件費の削減及び生産性の向上を目指して、フレックスタイムを導入する企業が増えています。フレックスタイムにはもちろん良い面もありますが、導入を検討するなら、デメリットも踏まえておく必要があるでしょう。フレックスタイムのデメリットを2つ提示します。
フレックスタイムにはメリットもあるが反面…
フレックスタイム制度の導入は、従業員が出社及び退社の時刻を自由に決めることができるため、労働時間の短縮、人件費の削減及び生産性の向上効果を有します。
ダイバーシティ(多様な人材を活用すること)に対する、社会からの要請に応えることができるため、優秀な人材を採用しやすくなる効果もあると言われます。
その半面、フレックスタイムはデメリットも踏まえた上で、導入を決めなければ、思ってもいなかった困難に見舞われる可能性があります。
どのようなデメリットがあるのか、以下解説していきます。
フレックスタイムが抱える2つのデメリット
1)チームプレイが損なわれやすい
出社及び退社の時刻を自由に決めることができることは、従業員にとってはメリットの大きいものです。
その代わり、従業員全体での会議等が行いづらくなります。
朝礼や早朝の打合せに全員が参加しないことが考えられるため、連絡事項等が従業員全員に正確に伝わらない危険性があります。(意味がない朝礼や打ち合わせはやること自体に意味がないのだが)
また、大きなプロジェクトをチームで遂行する時に、分担できる仕事(もっと言えば誰がやっても出来る作業)は個々の時間で行えますが、より高度で創造性を求められる仕事を行う時は、顔を突き合わせて真剣に議論を重ねることに対して、時間を惜しんではなりません。
確かにスカイプやチャットワークなど、連絡ツールは発達していますが、創造性の高い仕事や技術力を集結させなければならない仕事が、ネットワーク通信だけで完結することは、殆どの企業ではあり得ません。
フレックスタイムの導入により、チーム一丸の力が必要なアウトプットがいざというタイミングで出来ないのでは、本末転倒です。
2)コアタイムの設定次第でコストが高くなる
フレックスタイム制度では、「この時間帯は必ず在籍しなければならない」というコアタイムを設定することができます。
ただし、コアタイムを長くしすぎたり、始業時間を早くすると、実質的にフレックスタイム制度の趣旨が損なわれてしまいます。
更に、コアタイムを午前又は午後の偏った時間に設定しまうと、一定の時間には、社内に従業員が誰もいなくなってしまう時間帯が発生しまう可能性も出てきてしまいます。
大企業なら、コアタイムの空白を埋める人材を専用で用意すればしても(例:電話受付)、コストが合うかもしれませんが、中小企業が誰もいない時間帯に人を配置しなければならない場合、規模に対する人件費がかかり過ぎ、かえってコストアップとなる可能性が生じます。
デメリットにストレス感じる経営者には不向き
このようにフレックスタイムは、労働時間短縮の効果が期待できるメリットがある反面、会議等がやりずらくなってしまうデメリットがあります。
それに付随して、何時に取引先の所へ行くように、といった指示も出しずらくなってしまいます。(原則、コアタイム以外の時間帯に業務命令が出さないこととなります。)
業種によって導入することで、恩恵を受けることができる場合、逆に、業務に支障が生じてしまう場合とに分かれてしまうと言えます。
従業員の一部にのみ適用することもできますので、導入するのであれば、社内において、一部の従業員にだけフレックスタイムを導入することも要検討かもしれません。
ただし、月曜から水曜は、通常の勤務体系で、木曜及び金曜をフレックスといった曜日単位での導入はできません。
こうしたことにストレスを感じる事業主の方や、フレックスタイムより業務に大きな支障が出る会社の場合は、導入を見送った方が良いと言えます。