優秀な人材を雇うことは、採用において大きな課題ですが、能力はもちろんのこと労務管理の観点から、従業員採用を考える必要もあります。なぜなら雇用した社員が重大な問題を起こす人間である場合、会社は大きな損害を被らざるを得なくなるからです。どうやって、この問題を回避できるか?労務のプロが解説してくださいます。
問題を起こさぬ従業員の雇用という視点も必要
従業員を雇用する際は、如何に優秀な従業員を採用できるかが、非常に重要なポイントとなります。
ただし、当たり前のことですが、人材不足と言われる現在の状況で、中小企業が従業員を選ぶ余裕は無いのも現実。
ですから「優秀な従業員を雇用する」ということを目標にするのは、それはそれで正しいことなのですが、それと同時に「いかに問題を起こさない従業員を雇用するか」
という視点を持つことも、非常に重要だと言えます。
極端かもしれませんが、あってはならない犯罪を犯す人間、コンプライアンス違反を平然と繰り返す人間を雇って、問題が起きてからでは洒落にもなりません。
優秀でも、これらの問題を出すことで生じる損害を、彼らが埋めて有り余るのであれば良いのですが…
大抵の場合、そんなことはあり得ません。
つまり、採用の過程では、能力はもちろんのこと労務管理の観点から、従業員採用を考える必要もあるのです。
選考入社時に提出してもらう書類を充実させる
実際、雇った従業員が優秀かどうかは、働かせてみないとわからないところがありますが、問題を起こしそうな従業員を雇わない、ということはある程度可能となってきます。
ここで有効な手段となるのが、入社選考や入社後に提出させる書類を充実させることです。
入社面接の場合は、履歴書を持参させ、それに基づいて面接をすることが多いと言えますが、そもそも履歴書は本人が書くわけですから、極端な嘘や偽りで飾られたモノを提出される可能性は否めません。
入社後に履歴に重大な偽りがあった場合には、解雇することも可能ですが、一度従業員を雇用してしまうと、労働基準法等の制限を受けてしまうので、解雇までに労力と時間がかかってしまいます。
事前に、履歴書の他に前の会社での退職証明や、厚生年金保険の加入履歴等を提出させると良いでしょう。
運転免許証は、入社後に提出させる場合が多いのですが、例えば、ドライバーで雇った従業員が、いざ仕事をさせようとしたら免停だった、というケースも考えられます。
免停を隠して運転を続けた、吉本のイケメン芸人が逮捕されたのは、記憶に新しいところですね。
免停での運転と逮捕は、重大なコンプライアンス違反であり、風評被害の源です。入社選考の段階で、運転免許証の提出を求めることも必要となってきます。
情報提出の旨を就業規則へ事前に記載しよう
このように、本人から多くの事前情報を取得する際は、注意しなければならない点が一つあります。
これらの書類は個人情報にもかかってきますので、提出させる根拠が必要となってきます。
根拠は就業規則で作りましょう。
就業規則で、入社選考時や入社後に提出させる書類が必要な旨を記載し、いかに問題を起こさない従業員を雇用するか、という視点が必要になります。
記載する際は、可能な限りの書類を提示しておきます。
「場合によっては、一部書類の提出を省略する場合がある」といった一文を入れておけば、従業員毎に提出させる書類を選ぶことも可能になります。
ぜひ、自社の就業規則をもう一度見返してみてはいかがだったでしょうか?