あおば会計コンサルティングの田中です。
今回は、300万円で会社を買うと破産してしまうのではないか?という問題提供をさせていただきます。
300万円で会社を買うリスク
300万円で会社を買いたいサラリーマン
テレビを見ていたら、300万円くらいで小さな会社を買うようなセミナーになんと1000人も参加したということです。
というのも、サラリーマンの人たちも会社を買えば老後も結構安定収入で得られる、といった内容の本が10数万部も売れています。
サラリーマンの方というのは、自分でやりたい会社を立ち上げるよりは、売ってある会社で取引先が付いているとか、従業員がついているとか、そういう会社がほしいのかなと思って見ていました。
普通の企業買収というのはだいたい大企業がベンチャー系企業を買収して、大企業の一部門にするようなケースがほとんどで、買い手はそもそも企業です。
どんなことがあっても企業以外が買い取るというのはおかしな話で、そもそも個人が買うというのはその構図自体がおかしいです。
中小企業の仲介をしているTRANBIさんの中には300万円以下で買える会社もあって、ここはこの店ではないかと特定できるもありましたけれど、事業をしている人から見れば、ただでもいらないようなものばかりです。
ですから、そのような会社を実際サラリーマンが経営できるか?と聞かれたらら、まず無理ですと言ってます。
10年持つ会社は1割
もともと資本金1000万円ぐらいまでのスモールビジネスで10年持つ会社は、本当に1割しかありません。
要するにこれはボロを買っているもので、なかなか立て直していくというのは実務的にはかなり難しいと言わざるを得ません。
TRANBIさんでも多かったのは、私が見た感じではいいところ100万円程度の黒字のチョイ黒会社、借入金があるために赤字決算とか、あるいは損益トントンであれば良いという会社が殆どです。
私も赤字のお店を買って立て直しをやったことがありますが、実務というのは人が動かしていますから、その事業体を買うというよりは、いいスタッフがいれば小さな店ぐらいであれば、立て直しが出来るイメージです。
そういう感じでやるのであればいいですが、事業体として考えたときに、ちょっと黒字かトントンぐらい、あるいは実際は赤字の会社には価値がありません。
更には会社の立て直しを行う時には、まともな人材を連れてきて立て直さなければいけませんが、その時の正社員は時給3000円はかかります。
労働基準法を守って、社会保険制度に入れて、少しばかりのボーナスを払って、有給休暇を与えると、まともな正社員で時給3000円かかります。
つまり、まともな従業員を雇う覚悟をしていますかという話です。
サラリーマンははめ込みの対象だと自覚すること
サラリーマンは調査をしない
私が今回言いたいのは、借金がついている会社にせよ、ついていない会社にせよ、サラリーマンの方は、自分がはめ込み対象だと割り切って、世の中を見た方がいいということです。
先日もかぼちゃの馬車事件のように、5000万円ぐらいの価値のシェアハウスを1億円ぐらいの価格でサラリーマンにはめ込む事件がありました。
M&Aの世界でも、わざとサラリーマンにはめ込んでやろうと悪意はなくても、世の中のサラリーマンの習性を知っていれば、サラリーマンは常にはめ込み対象だとわかってしまうものです。
というのも、サラリーマンは基本的になぜか買い物をする時に、専門家にお金を払って調査をしてもらうということが全くありません。
サラリーマンはお金を稼ぐのにもともとお金を使うということがないので、専門家にきちんと調べてもらうようなことをせずに、結果としてはめ込み対象になってしまうということです。
お金を稼ぎたいならお金を使って調査すること
300万円弱でも1000万円でも2000万円でも、もし会社を買うことを検討しているのであれば、審査を会計屋さんとか会社の社長に頼むべきです。
経験豊富な会社の社長は、だいたいこれは全く価値がないとか、価値がわかります。
調査をきちんと専門家に頼まないと結局、結果的にはめ込み対象になるのではないかと思います。