終身雇用制度の崩壊を大企業が宣言する
トヨタですら「終身雇用制度の維持は困難」
あおば会計コンサルティングの田中です。
2019年の4月に統一地方選挙の期間であるにも関わらず、経団連の会長さんから終身雇用制を維持するのは難しいというような話がありました。
それから矢継ぎ早に、売上30兆円・利益2兆円のトヨタからも、終身雇用制度を維持できないというコメントがありました。
この不穏な動きはリーマンショックの後は、しばらく鳴りを潜めていましたが、2018年ぐらいから45歳定年制とも言えるほど、一流企業から早期退職制度の発表がどんどん始まっています。
内部留保を沢山抱えている東証一部上場企業でさえ、45歳で割増退職金を払うから辞めてくれと、社員さん達に伝えているのです。
45歳は賃金カーブのピーク世代
というのも、厚生労働省の平成30年における賃金カーブによると、どの産業もだいたい45歳前後で賃金カーブのトップが来るという統計を発表しています。
45歳で賃金カーブのピークがくるので、割増賃金を払うからここで辞めてください、というような残酷な話が上場企業からどんどん出てきたということです。
情報革命時代を生きるために認識すべきこと
情報革命は産業革命以来のビッグバン
歴史を紐といて考えてみると、かなり昔のことですが、ヨーロッパで農業革命が起きて、休耕地がなくなって、食料が爆発的に取れるようになると、今度は人口爆発が起こったわけです。
そして、イギリスで産業革命が起こって工場の機械化が起こると、遅れて100年ほど後に日本でも工業革命が起きます。
そこから150年ほどの間、日本は製造業が非常に強い時代でした。
そして今、情報革命によって農業革命や工業革命と同じような変化が起こっているわけです。
情報革命を簡単に説明するとコンピューターが制御していると考えればいいと思います。
農業に使う機械も今はコンピュータで制御していますし、工場もほとんどコンピューターが制御していることが多いわけです。
情報革命時代の主役は知識集約型産業
社長さんには、自分の会社がどのあたりに位置しているのかを考えてほしいのですが、今は知識集約型産業というのが生き延びやすい社会になっています。
それを1957年に最初に唱えたのが、顧客創造で有名なドラッカーさんです。
ドラッカーさんは、資本主義の後には知識社会が来ると発表します。知識社会が来ると、知識集約型産業というものができやすくなったわけです。
労働集約型産業と知識集約型産業の違い
この知識集約型産業の反対にあるのが、手作業の労働集約型産業です。
労働集約型産業で必要なものはマンパワーです。
人数を投入しないとどうにもならないのが労働集約型産業ですが、それが知識社会に代わり、コンピューターとコンピューターをインターネットでつなぐだけで世の中が大きく変わりました。
そして、大きく世の中が変化することによって、労働集約型産業で生まれた終身雇用制度が崩壊し始めているわけです。
先端企業ではもはや単純労働者が不要
先端企業の比率は中小零細企業のほうが高い
それでは今皆さんの会社の中で単純労働者がどのくらいの割合いるかというと、多分、最先端の会社というのは単純労働者はほとんどいないと思います。
大企業には失礼ですが、実は中小零細企業のほうが先に最先端の知識集約型産業の方に移行しているというか、もともと最初から知識集約型産業としてスタートしていたりします。
先端企業には既にセールスマンがいない
ここ十年で消えたのは外回りのセールスマン、特に飛び込みセールスマンです。
先端の会社では仕事のやり方が変わって、その仕事のやり方についていけなかった人は、すみませんが辞めてくださいという話ですから、ダーウィンの進化論そのものなんです。
結局、世の中の流れが変わってしまって、環境が変わったわけです。
その時に適者生存で、進化論でいうと、生存したのは最も強い者でも、最も賢いものでもなく、ただ環境に適したものが生き残ったということです。
環境に応じることができなかったら、自然淘汰されていくだけの話ですが、私は45歳でバッサリ切るのは、ちょっといかがかなと思います。
45歳を過ぎた場合でもきちんと生き残ったわけです。
じゃあ、彼らが生き残るために何をやったかというと結局、コンピューターに仕事を教えたんです。
45歳で生き残れる人・残れない人の分水嶺
未だに労働集約型な会社は危機感を持て
世の中では必ず引き継ぎという作業があって、前任者が辞める場合に、1カ月なり2ヶ月なり後任の人と一緒に仕事をして引き継ぎ作業をするものでした。
ところが今、最先端の会社は引き継ぎ作業がありません。全部コンピューターに教えてあるからです。
今、多くの会社を眺めてみると、単純労働者が多くてちょっと怖いことをやっています。
産業革命前の家内制手工業は基本的には手作業で道具を使いますが、その道具を使いこなすには熟練技が必要です。
自分の会社に置き換えてみて、今でも自分達が産業革命前のことをしているという中小企業は本当に危険です。
先端企業は既に労働の形態が知識集約型になって、結局コンピューターに制御させていますから、誰でもボタンを押せば何とかなるという会社も沢山あります。
コンピューターワークができる人のいる会社は定年制もなくなる
逆に言うと、個人レベルがコンピューターワークをすることによって、大企業と変わらない付加価値を上げることができる時代になっています。
ですから、45歳定年制のようなことが大企業から発表がありますが、逆に中小零細企業というのは定年なしという制度にもできます。
従業員みんなでとにかく自分たちの知識や経験をコンピュータに教えて、そしてコンピューターに制御させれば、定年制も要らなくなると思っています。