契約書にケチをつける取引先…実は信頼に値するその理由

営業

 契約書を軽く見がちな人は多いですが、実はとても大事なものです。なぜなら一方にのみ有利な契約書の起案は、取引関係を悪化させてしまう可能性があるからです。こちらが作成する場合、相手先がどこに引っかかるかで、その現状を推し量ることもある程度はできますし、支払いにシビアな相手先は、決していい加減な会社でないことも確認出来ます。契約書を大事にしましょう。

A4一枚の基本契約書で全てをまとめる案件

 顧問先からの依頼で、商品売買の基本契約書を起案しました。こちらは売主側です。

 通常なら十数条にはなるところ、A4一枚に収まるように、との条件付きの依頼です。

 我が身とは間逆に「余分な贅肉を削ぎ落とし」、かと言って、取引上のリスクは回避できる内容が求められます。

取引先が契約書にケチをつけた時の思考方法

 私が作った一文に対して、相手先から疑問が投げかけられました。

『(通常の支払サイトは月末締めの翌月末払いだが)乙の発注額が多額になる場合には、甲乙協議のうえ、乙は代金の一部の前払いを行う。』

 
 という主旨の但し書き部分への疑問でした。

 前払いには応じたくないのが取引相手の本音で、当然、ここに引っかかられることは想定内の事案です。

 しかし、あくまでも両社の協議に委ねられるのだから、合意が出来なければ前払いの必要はありません。

 一方で多額になれば、顧問先も注文を受けられないことは十分にあり得る話です。

 売掛債権の発生は、不良債権のリスクやキャッシュ・フローに影響するので極力避けたいため、商行為としては当然の判断です。

 顧問先社長は、この条文の持つ意味と前払いは義務ではないことを相手方に説明して欲しいと言うので、相手先役員宛てに直接電話して説明を行いました。

 ポイントは『甲乙の協議により』の部分でした。

 快く了解していただけましたが、ここに引っかかりを持たれることがどういうことかも、こちらは考えています。

 そう…一方にのみ有利な契約書の起案は、取引関係を悪化させてしまう可能性があるからです。

 しかし、相手先が どこに引っかかるかで その現状を推し量ることも ある程度はできますし、支払いにシビアな相手先は、決していい加減な会社でないことも確認出来ます。

取引の相手がシビアなら信用できる証拠となる

 取引の成功は 契約の成立ではありません。全額受領(回収)して初めて「成功」と言えるのです。

 創業者や経営者は回収に注力しますが、営業担当の中には回収を疎かにする人もいます。

 そのような営業担当が売れば売るほど、実際には会社に損害を与えかねません。しかも契約時にガッポリ給与を取って。。

 取引の現場では シビアな相手先の方が、信用に値すると言えるかも知れませんね。

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行政書士 泉つかさ法務事務所

行政書士 泉 司 (兵庫県行政書士会会員)
京都府宮津市 1958年生まれ
京都産業大学法学部卒業
在学中は『司法研究会』に在籍。2年生からは選抜試験の結果『法職講座(上級)』として、教授および外部講師(弁護士)の特別授業を受ける。
卒業年に行政書士および宅地建物取引士試験合格。
卒業後10年間、民事専門の法律事務所(大阪市)に勤務し、民事訴訟全般の手続きを経験。
さらに企業内経験を積むため10年を区切りに一般企業へ転じ、注文住宅メーカー(営業本部・法務担当・上場準備委員)、コンクリート製品メーカー(広報IR・法務担当)、ソフトウェア開発会社(総務部長・管理本部副本部長)、貴金属リサイクル・産業廃棄物処理業(法務・M&A等)の上場企業勤務を経て、2012年3月、神戸市灘区に個人事務所開設。
開業後は、会社設立・法律顧問・法務コンサルティングのほか、個人のお客さまからのご依頼に幅広く対応。
数少ない廃棄物処理法の専門家として、遠方県の法人顧問を含め、地域を限定せず全国からのご相談に対応しています。
※行政書士のブログ 日々更新中
 http://ameblo.jp/tsukasa-houmu/

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