ビジネスにおいて敬語の使い方は、生命線と言えるほど重要だ。
的外れな敬語を使う人間に、大きな信頼を寄せるのは非常に難しい。意外に多く見かけるのが、間違った敬語を「正しい敬語」だと思って使い続けている場合である。
間違えだらけの敬語ランキングベスト10を見て、自分の敬語が間違っていないかチェックしてみよう。
日本語の敬語は煩雑で使用の難易度が高い
日本語の敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語、と3つの種類があり、それぞれ以下の様な意味を持っている。
- 尊敬語:他人や他人に付随するものに対して敬意を払う表現
- 謙譲語:自分や自分に付随するものについてへりくだった表現
- 丁寧語:他者に対する敬意を込めて使用する表現
例えば「行く」という言葉も、3種類の言葉に分けると表現が変わる。
- 尊敬語:いらっしゃる
- 謙譲語:参る、伺う
- 丁寧語:行きます
敬語を発する際にいちいち種類を整理するわけにも行かないので、私達は殆どの場合感覚で敬語を使い分ける。
的外れな敬語を使う人間に大きな信頼を寄せるのは非常に難しい。ビジネスにおいて敬語を正しく使えているか否かが、時として商談の行方を左右するからだ。
間違えだらけの敬語ランキングベスト10発表
以下間違った用法の敬語ランキングベスト10をご紹介しよう。
10位)お名前・電話番号をいただけますか
名前・電話番号はもらうものではないため、正しくは「お名前を伺えますでしょうか」。
9位)お座りください
訪問客に笑顔で「ようこそいらっしゃいました。お座りください」と言ってるとすれば、訪問客は飼い主に「お座り」を命じられる犬の気分となるだろう。正しくは「お掛けください」である。
8位)お世話さまです
電話で挨拶代わりに言っている人が多い。言葉を略さず正しくは「お世話になっております」と言おう。
7位)ご苦労さまです
「ご苦労様です」は目上の人間が目下の人間に対して、自分の命じた用を果たした後に苦労を労う言葉なので、「お疲れさまです」と言ったほうが良い。
6位)おわかりいただけたでしょうか
「わかったか?」という強制口調が効いた言葉で失礼な言い方となってしまう。正しくは「ご理解いただけたでしょうか」である。
5位)了解しました
便利なこの言葉だが、相手に対する敬意はこもっていない。謙譲語にも属していない。正しくは「承知しました」「かしこまりました」という必要がある。
4位)どちら様でしょうか
一見丁寧な言葉に見えるが「誰だ?」という意味を持つため、「お名前を伺えますか?」といった言い方にしたほうが物腰柔らかくなる。
3位)すいません・すみません
ビジネスでは使うべきでない言葉だ。「ありがとうございます」「申し訳ございません」と言う言葉で伝えたほうが良い。
2位)なるほど・なるほどですね
相手に同意する時、深く相槌を打ちながら”なるほどですね”と言ってないだろうか?”なるほど”は目下の人間に使う言葉である。正しくは「おっしゃるとおりです」だ。
1位)よろしかったでしょうか
使いやすいこの言葉は「バイト敬語」から始まり、多く耳にする言葉だ。無意味な過去形が含まれており、相手に強く迫る形となってしまう。正しくは「よろしいでしょうか」と言う必要がある。
敬語は使えないより使えた方が絶対に良い
言葉は時代の移り変わりとともに、マイナーチェンジを繰り返していく。
定年を前にしている年代と新入社員とでは、敬語に対する考え方が大きく異なっているだろう。
それを受け入れ、言葉も個性として「敬語なんてあまり気にしない」と考えている顧客や上層部も多い。
ただし文字を美しく書ける人が何においても良い印象を持たれるのと同様に、正しい敬語を使える人は相手へ良い印象を与える。
敬語は相手への礼節だ。しっかり敬語を使える人は加点されることがあっても、マイナス点を付けられることはない。
ビジネスマンとして高みを目指しているなら、敬語を積極的に覚え自らのツールとしよう。