自社にとっては消費税支払額の節税対策が可能となり、独立を目指す社員にとっては独立準備の期間が用意可能となります。ただしこの方法を節税のみのために悪用しないようにしましょう。
独立を目指すかわいい社員には旅させろ
本気で独立を目指して働く社員が貴方の会社にいるとしたら、ぜひ彼または彼女を応援しよう。
きっと貴方は客観的に聞いたプランのどこかに穴を見つけるはずだ。文字通りうまく行かなそうだったり、キャッシュが考慮されていなかったり。
1,000の事業を立ち上げても、うまく行くのはイチかゼロというのが独立や起業の現実。
彼が有能かつ、不備を指摘しても向かってくるなら、独立前のテスト期間として「業務委託契約」の締結を提案してみてはいかがでしょうか?
業務委託契約を結ぶと消費税で節税できる
業務委託契約で社員(契約を結んだ後は元社員)に支払う金銭はいわゆる「業務委託費」です。業務委託費は仕入れ項目として費用計上が可能です。対して給与には消費税が課税されません。
消費税の納付税額
例として以下の条件で仕事をした場合に、人件費が外注費か給与かで消費税支払額がどう変化するのか、比較してみます。
- 売上:1,000万円
- 仕入れ等費用:300万円
- 人件費:500万円
- 給与支払の場合:(売上にかかる消費税)80万−(仕入れに係る消費税)24万−(給与に係る消費税)0=消費税支払額56万円
- 外注費支払いの場合:(売上にかかる消費税)80万−(仕入れに係る消費税)24万−(業務委託費に係る消費税)40万=消費税支払額16万円
単純化した上記の例では、企業にとって社員が業務委託契約となった場合、消費税の支払額は40万円もダウンするため、節税が可能となります。
企業にとっては節税対策のみならず、元社員が完全にいなくなった後の人的リソースや体制をを準備する期間を設けられるというメリットもあります。
社員(元社員)も職務規定から外れ時間に縛られる責務がなくなるため、自分の時間を最大限独立の準備期間に当てられます。個人事業主となるか会社を持つことにより、同じ報酬単価で自分自身のペースに合わせて仕事をすすめていくことも可能になります。
制度を悪用せず社員が望むなら業務委託する
上記の例は「社員の雇用に会社がコストをどれだけ支払っているか」を説明する節税対策とも言えます。コストが合ってうまくいくならば、会社にとって外注や業務委託のほうにメリットがあって、社員を抱えることは本来リスキーなのです。
近年では悲しいことに、この節税対策を悪用したケースも散見されます。
人材採用時点ではアルバイト給与を支払うかのように装い採用集客し、実際には業務委託費として支払いを行っていたブラック企業(牛丼チェーン店S)の例は、記憶に新しいです。
あくまでも独立を志望する社員がいて、社員が望むなら契約形態を変えることで、お互いがメリットを享受できる節税対策であることを忘れてはなりません。