「辛口一筋」のキャッチコピーでも有名な老舗酒蔵・菊正宗が新たに挑んでいるのは、基礎化粧品市場である。清酒メーカーの多くがこの市場に参加しているが、菊正宗の化粧品「日本酒の〜」シリーズはこれらと一線を画し、幅広い女性の世代層から支持を得ている。理由は基礎化粧品に対して女性が求めるニーズを満たしたからである。詳細は記事にて。
日本酒市場は底打ちし微増ではあるが拡大へ
日本酒市場が2011年を境に底打ちし、全体の売上を伸ばしている。2016年度に清酒メーカーの総売上高は4,416億強まで回復した。
これを牽引するのは、プレミア価格もつく獺祭の酒蔵である旭酒造だが、他にもユニークな取組によりヒット商品を生み出した清酒メーカーがある。
「辛口一筋」のキャッチコピーでも有名な老舗酒蔵「菊正宗」だ。
ただ、菊正宗が新たなチャレンジとして挑むのは、清酒ではない。むしろ、辛口一筋の文句からは程遠い市場である。
「辛口一筋」菊正宗が挑むのは基礎化粧品市場
菊正宗が2011年から挑んでいる新たな市場、それは化粧品市場、正確に言えば基礎化粧品市場である。
もともと、日本酒は基礎化粧品のなかった時代から女性の肌の手入れに使われてきた経緯があり、近年では含有されるアミノ酸やセラミド成分などに科学的な美容効果も認められている。
これらの背景をもとに、日本盛、白鶴酒造などの清酒メーカーも基礎化粧品市場に参入しているが、菊正宗の化粧品「日本酒の〜」シリーズはこれらと一線を画し、幅広い女性の世代層から支持を得ている。
売り上げランキング: 85
その理由は、他社が高価格・高パフォーマンスの基礎化粧品を販売しているのに対して、菊正宗の基礎化粧品が低価格・高パフォーマンスであることに起因する。
基礎化粧品、特に化粧水に対して女性が求めるもの、それは肌の潤い保湿など品質要素、肌のキメを整えるなど効果要素に加えて、毎日肌の手入れを行うため、たっぷり惜しみなく使えることにある。
他社の化粧水は化粧品メーカーのものも含め、いずれも100〜200mlで1,000円〜数千円という相場であるのに対して、菊正宗の「日本酒の化粧水」は500mlで本体価格600〜700円程度と、1/3〜1/4程度の圧倒的な低価格で販売されている。
低価格に抑えることで、化粧水を全身に満遍なく塗布して日常使いとしたい女性の市場を、一気につかむことに成功したのだ。
2012年から化粧水の出荷数は累計500万本に
実際にアットコスメやアマゾンのレビューを見ても、同社商品のランキングは常に上位であり、レビューも高評価であり、
- 全く減らなくてビックリしています。コスパは非常にいいです。保湿もきちんとされます。
- リピートです。大容量で半年くらい使えたー。顔だけじゃなくて、体にも思いっきり使えます。スベスベになるし、しっとり。乾燥肌の私にはかなり合ってます。
- 酒造系の化粧品は好きな商品が多いし、こちらは価格も控えめなのでコストパフォーマンスの良さ前提で購入してみました。ジャバジャバと好きなだけ贅沢に使っています。
など、品質に対するコストパフォーマンスの良さが受けていることがわかる。
日本酒の化粧水は、2012年9月の初出荷から出荷数が累計で500万本を突破となり、大ヒット商品となっている。※
※菊正宗酒造 「日本酒の化粧水シリーズ」でハローキティとコラボ
http://www.jyokai.com/?p=8087