かつて、日本全体の消費量が右肩上がりの時代にあったときは、規模の経済性が物を言った分、販売数量を伸ばせば利益も自然に伸ばすことが可能でした。しかし、あらゆる国内市場が縮小している現在、最大利益をあげるためには、価格を上げなければ、効率的に利益を伸ばすことが出来なくなっています。そのために必要なのが、最大利益を得るための“値決めの仕組み”を会社に作ることです。
販売数量を伸ばして利益増を狙うのが困難な時代
営業経験者なら誰しも、営業先から「今までの◯倍買うから、値段勉強してくれない?」と言われた経験をお持ちかと思います。
かつて、日本全体の消費量が右肩上がりの時代にあったときは、規模の経済性が物を言いましたから、私達はこれに対して容易に応じることができました。
しかし今、地方では特に顕著ですが、昔のように「たくさん買うから値段を安くする」という販売手法には限界が来ています。
従って、「昨対比売上105%を目指す」など、根拠のない販売数量を上げる目標は、もはや実現されない可能性が高いのです。
私達はこの時代に、どのように最大利益をあげるため、営業活動を行っていけばよいのでしょうか?
販売数量を1%伸ばすと利益は約3%伸びるが、価格を1%上げると利益は約11%伸びる
アメリカの研究発表によると、価格をそのままに販売数量を1%伸ばすと、営業利益は3.3%向上するといいます。
一方、販売数量が同じだとして価格を1%上げると、営業利益は11.1%向上するという研究結果も出ています。
私の顧問先でもシミュレーションしてみましたが、販売数が同じと仮定したときに、価格を1%上げると営業利益が10.5%向上することが確認できました。
ある日本の大学の論文によると、販売数が同じと仮定したとき、価格を1%上げると、コカ・コーラで6.4%、富士フィルムで16.7%、ネスレで17.5%利益が向上するとのデータが出ています。
日本国内を見れば、市場自体が縮小している中で、販売数量を増加させることの難しさはどの企業も同じです。
そういった環境の中で、企業収益の面からみても、単価を上げることが、如何に重要であるかがお分かりいただけると思います。
最大利益を得るための“値決めの仕組み”を会社に作れ
このようなデータを考察すると、経営者の仕事が価格を決めることではなく、最大利益を得るための“値決めの仕組み”を社内に作ることだと理解いただけるでしょう。
とはいえ、既存顧客に対して従来の商品の値上げを迫ることは容易でないため、私達は常に新しい顧客を創出し、従来よりも付加価値の高い商品を提案していく必要があります。
つまり、最大利益を得るための“値決めの仕組み”は、顧客のニーズに沿った案件創出のマーケティング活動と、生産性の高い営業活動の両輪により、豊富な顧客を抱えなければ作れません。
以前寄稿した記事で、その具体的な方法について触れています。お時間のある時にでも、ぜひ参照いただければ嬉しいです。
参考リンク1:あなたの会社が新規営業を十分に行えていない5つの理由〜問題点と解決策