「助成金と補助金の違いを教えて」と言われたら、殆どの方は言葉につまるはずです。なぜなら、両者は法律などで明確な区分けがされていないからです。しかし、助成金と補助金は似て非なるもの。そこで本稿は、助成金と補助金の共通点をご紹介した上で、理解しにくい両者の違いについて、わかりやすくご説明します。
助成金と補助金で法的に明確な区分はない
「助成金の全て〜活用のイロハ」シリーズ第2回目は、「助成金と補助金の違い」についてご紹介しようと思います。
さて、読者の皆さんは、「助成金と補助金の違いを教えて」と言われたら、スグに答えることができますか?
多分、ほとんどの方が答えられないことでしょう。というのも、両者は法律などで明確な区分けがされていないのです。
国語辞典などで「補助金」を調べてみても、
- 不足を補うために出す金銭
- 国または地方公共団体が、特定の事業・産業や研究の育成・助長など行政上の目的・効果を達成するために、公共団体・企業・私人などに交付する金銭。補給金・助成金・奨励金・交付金などの名称がある。
と記載されています。
補助金という枠の中の1つの名称として助成金というものがあるということで、漢字の意味することもほとんど同じです。
そして、世間には数えきれないほど、多くの補助金や助成金がありますので、一般的に厚生労働省が主な窓口となる雇用・労働環境の改善等を支援するために給付される金銭のことを「助成金」、経済産業省が主な窓口となる経済・地域の活性化等を支援するために給付される金銭のことを「補助金」と呼んで区別しています。
そこで本稿は、上記の「助成金」と「補助金」の共通点をご紹介した上で、理解しにくい両者の違いについて、わかりやすくご説明しましょう。
補助金・助成金で共通している3つの点とは?
1)返済は原則不要
助成金も補助金も共に、融資と違って原則的に返済が不要です。
従って、助成金も補助金も給付を受けた後は企業の収益となります。
それだけ、返済不要な助成金と補助金には魅力があります。
2)原則的に後払い
助成金も補助金も、各省庁や自治体からの入金は原則的に後払いであり、先にお金をもらうことは殆どできません。
お金が入金されるのは早くて半年、場合によっては1年後に入金となる場合もあります。
3)国や自治体の政策で予算配分が変わる
国から出る補助金や助成金は政権が変わると、予算配分が政権の政策や意向の方針転換に合わせ、大幅に変わることがあります。
自治体から出るものについても、首長が変わることで、予算配分が変わりやすい傾向があります。
補助金・助成金で異なる4つの点とは?
次に、補助金・助成金で異なる4つの点についても見ていきましょう。
1)窓口
所管する役所が違うことにより窓口も異なります。
助成金を所管するのは厚生労働省なので、助成金の窓口は、労働局やハローワーク等の関連機関や厚生労働省系の外郭団体・市区町村の関連部署になります。
補助金を所管するのは経済産業省なので、補助金の窓口は、各地域の経済産業局や資源庁・工業技術庁・特許庁・中小企業庁、あるいは商工会議所や商工会等など経済産業省に関連する組織が多いです。
窓口の違いに伴い、両者の手続きにも違いが生じます。
2)申請時期
助成金が原則的に公募期間も限定されておらず、1年中の利用が可能なのに対して、補助金には受付期間(概ね年に1〜2回の期限を設ける)があり、受付期間が過ぎた場合は応募ができません。
助成金が原則的に公募期間も限定されておらず、1年中の利用が可能なのに対して、補助金には受付期間(概ね年に1〜2回の期限を設ける)があり、受付期間が過ぎた場合は応募ができません。
3)受給の可能性
助成金が基準になる要件さえを満たせば、原則として受給できるのに対して、補助金は公募したうえで審査が行われます。
従って、基準になる要件を満たしていたとしても、審査を通過できなければ、補助金は受給できません。
4)使途の自由度
助成金は受給すれば使途が自由です。会社の運転資金、設備投資、借入金の返済、何に使用しても構いません。
補助金を受給するためには、採択審査がありますので、原則計画に則った活用になります。
助成金と補助金の異なる点を一覧で比較しよう
いかがだったでしょうか?法律では明確に区分されていないものの、両者に明確な違いがあることはご理解いただけたかと思います。
異なる点をまとめてみると次のようになります。
助成金 | 補助金 | |
窓口の多さ | 少ない | 多い |
申請時期 | 原則周年 | 年に1〜2回 |
受給の可能性 | 条件満たせば原則もらえる | 条件満たしても審査を通過しないと受給不可 |
使途の自由度 | 原則的に自由 | 採択された計画に沿って |
助成金は「条件さえ満たしていれば」、非常に間口の広い支援金だということがご理解いただけたかと思います。