2014年の4月に、消費税が5%から8%へ切り替わり、もうすぐ1年が経過する。国全体ではGDPが2四半期連続して下落、再増税の延期、衆議院を解散に追い込むなど大きな影響があった。ロイヤリティマーケティング社の調べによると、消費者心理はやっと増税に対して落ち着くものの、節約志向は強まっており、景気の不透明さを示す結果となった。
消費税の増税からまもなく一年が経過する
2014年の4月に、消費税が5%から8%へ切り替わり、もうすぐ1年が経過する。
去年の今頃、世間では、増税前の「駆け込み需要を狙う企業・個人消費者の動き」がニュースで取り上げられ、”増税”の話題で一色だった。
国全体で考察すると、消費税増税が景気に与えた影響は、アベノミクスの躍進へ大きな陰りをもたらした。景気動向を示すGDPの値は、増税後2四半期連続して下落。昨年10月~12月期でようやく微増に転じた。
増税に伴う「駆け込み需要の反動で消費が減少している」と言い張っていた政府も、これだけ減少が続くことは想定していなかったようで、8%から10%への増税引き上げ時期は、2015年10月目標から2017年4月まで一年半延長せざるを得ず、やむなく政権は衆議院を解散した。
増税に対して心理落ち着くが財布の紐は固い
消費税が5%から8%に増税されて一年、皆様の生活に増税はどのような影響を与えただろうか?
株式会社ロイヤリティマーケティングが今年2月に行った「Ponta消費意識調査」によると、消費税増税の影響を「非常に実感している」と答えた人は47.5%となり、2013年9月の調査開始以来で初めて減少したことが分かった。
増税を敏感に感じ取ってきた消費者の感覚が、ようやく「落ち着いてきた」といえる。
一方で、消費税とは関係なく、「節約したい」と考えている人は67.1%に及び、これは調査開始以来「最高」となる数値だという。
消費税が増税された瞬間だけ節約するのではなく、毎日の生活で節約をたえず意識する、という習慣を持つ人が増えたということは、今後の景気予測が決して楽観視できないことを示す。
大企業では春闘でベア(給与のベースアップ)が目立ち、ボーナス支給額もバブル期以来過去最高という報道もある。
しかし日本企業のうち99.7%に及ぶ中小企業に在籍する国民は、景気がよくないと感じているのが実情のようだ。
消費税の再増税まであと2年しかない現実
解散総選挙に先駆け安倍政権は10%への増税を延期したが、「2017年4月の増税延期はない」としている。
再増税まであと約2年。
景気が大幅に回復しないまま増税が決行されれば、国民の消費は大幅に悪化する可能性がある。
経営者としては、自社商品やブランド、自社サービスについてきっちりとしたセグメントとマーケティングを行い、再増税時に市場から葬られないようさらなる努力が求められている。