4月1日から、経済刺激策として政府が打ち出した「食品機能性表示」制度がいよいよスタートする。生活必需品と言える青果や乳製品も科学的根拠を企業が届け出れば、特定の身体への効能を商品に表示することが可能となる。メインの購買層である主婦層への認知度はまだ低いが、商品があれば買いたいという潜在的なニーズは大きい。
機能性食品が4月から売り場にお目見えする
4月1日から、「食品機能性表示」制度がいよいよスタートする。
「機能性表示」とは、「食品について体の特定部位への具体的な効能をを表示できる」制度だ。
例えば「免疫強化」「目の調子を整える」といった風に、今まで医薬品にしか許可されていなかった表示ができるようになる。
対象となるのは、健康食品、加工食品、サプリメントなど食品全般に及ぶ。
食品の機能表示制度としては、国の承認を得た証の「特定保健用食品」(通称トクホ)、ビタミン・ミネラルなど栄養成分表示である「栄養機能食品」に続いて3番目の制度となる。
1)前述の2制度による市場拡大が成功したこと、2)アメリカで同じ制度で実績が出ている、という2つの背景を踏まえ、経済刺激策として打ち出すのが、政府の狙いであろう。
制度への認知はまだ低いが購買意欲は旺盛
一方で「食品機能性表示」という新制度について、消費者の認知はどうなっているのだろうか?
マーケティング・リサーチ会社・クロス・マーケティング株式会社の「食品の機能性表示に関する調査」では、消費を一番左右するであろう40代の女性における制度の認知度を問うアンケート結果が「制度の内容を知っている6.0%」「名前のみを知っている 37.5%」となった。機能性食品の認知度はまだ非常に低いと言って良い。
図:機能性表示制度の認知度(クロス・マーケティング株式会社)
一方で、機能性表示がされている商品の購入意向に対するアンケート結果は、「間違いなく購入する6.0%」、「試しに1回は購入するかもしれない56.0%」となり、半数以上の人が表示されている商品に興味・購入意向を持っていることが判明している。
図:機能性表示商品の購入意向(クロス・マーケティング株式会社)
また同調査では、トクホや栄養機能食品と比較すると、新制度では生活必需品が多く対象となるため、野菜・牛乳・乳製品などの購買意欲が高いことも判明している。
スーパーなど毎日の生活を支える売り場で、機能性表示食品が販売されれば、ある程度の購入が見込まれそうだ。
制度の認定が容易なので小売業者は有効活用
機能性表示食品は、商品を販売する60日前までに、企業の責任で、一般的な科学的根拠・実験データ等を情報として提出し、指定された商品情報を消費者庁に「届け出」するだけで販売可能となる。
対して特定保健用食品(特保)は、開発研究に数年を要し費用もかかる。更に、専門家からなる内閣府消費者委員会へ諮問がなされ、その答申を参考にして消費者庁が許可・不許可を決める手間もかかる。
制度活用の手軽さも相まって、中小規模の食品小売・卸業者にはチャンスとなるが、消費者を欺くような虚偽表示には、景表法の摘発や、消費者からの損害賠償リスクも生じる。販売側のモラルも問われる制度となりそうだ。