通常、知的財産は出願してから権利を取得できるようになるまで、長時間が必要となります。かたやビジネスや研究開発は日進月歩、明日はどうなっているかもわからないほどのスピードで進展します。どのような手段を講ずれば、知財取得をビジネスの戦略に組み込むことができるのでしょうか?4つの柔軟な方法をご紹介します。
知財取得スピードとビジネススピードの差は埋まらない?
弁理士の後藤です。
つい先日、ある経営者の方とお話をしている時に、こんなお話を伺いました。
「後藤さん、特許って出願してから権利になるまで時間かかりますよね。実際に使おうとするころには、ビジネスの方が先に進んでいるということが起こってしまうんです。」
確かに、特許を含め、特許庁で取り扱う知的財産は実用新案を除き、特許庁での審査を経て権利が付与されるため、どうしても所定の時間がかかってしまいます。
一方、製品開発やビジネス展開には「待った」はありません。
機を逃さず商品を市場に投入しなければなりませんし、販売促進もいち早く行っていかねば、すぐに陳腐化してしまいます。
では、この「ビジネス展開のスピードと知的財産取得のスピードの差」は埋まらないものなのでしょうか?
決してそんなことはありません。
知財取得スピードとビジネススピードの差を埋める4つの方法
ビジネス展開のスピードと知的財産取得のスピードの差を埋める代表的な方法を、以下4つの悩みと共にご紹介します。
既存商品のアップデートだから処理を簡便にしたい!
対象商品の機能が従来の改良であれば、無審査で登録される実用新案で登録し、出願後約半年で権利化をすることが可能です。
最高のデザインだから真似されぬうちに権利をもらいたい!
対象商品のデザインが斬新であれば、比較的早く登録される意匠で権利化することも一つの策です。
遅いのは嫌!もっと早く特許を取りたい!
特許庁が行っている支援策(早期審査制度、特許審査ハイウェイ等)を活用することが可能です。つい先日も、特許審査ハイウェイ制度は、その要件が緩和されました。
まだ実用化してないけど絶対に凄い技術だから守りたい!
2~3年後に搭載する機能を想定し、先んじて特許で権利化を図ることが可能です。
ビジネスの戦略さえ立てれば様々な手段が講じれる
このように、堅苦しくて動きが遅い知財制度に対して、私達はこれをビジネスのスピードに合わせるため、様々な手段を講じることができます。
ビジネス戦略に応じて適切な対策をすれば、ビジネス展開の速度に合わせて、知的財産の活用ができるということです。
知財活用のスピードが遅いからといって、活用をあきらめる必要は全くないのです。