「逃げるは恥だが役に立つ」で注目される家事代行サービス
「逃げるは恥だが役に立つ」、通称「逃げ恥」というドラマが大きな話題を呼び、12月20日(水)に最終回を迎えます。
就職活動に失敗した主人公・森山みくり(新垣結衣)が、家事代行サービスを始めて契約結婚し(家政婦になる)、やがては相手と本物の恋に落ちていく、というストーリーです。
女性の社会進出が進み、結婚して専業主婦というだけでなくそのまま働き続けるということも一般化してきました。
共働きの家庭では、家政婦を雇うというのはまだハードルが高いにしても、家事代行サービスの利用というのはかなり広がってきているようです。
晩婚化が進んでいることから、ドラマでもう一人の主役である、独身会社員・津崎平匡(星野源)のような環境にいて、家事代行サービスを利用する人も増えています。
また、ドラマを見て「俺も星野源みたいになりたいっ!」という独身サラリーマンが社内にいるかもしれません。
企業が福利厚生の一環としてこれらの費用を負担することは可能か?
家事代行サービスはカフェテリアプランで福利厚生導入が可能
まず、会社が直接的に費用を負担した場合、あるいはその費用分の金銭を支給した場合には、給与もしくは賞与として源泉税の対象となります。現実的には、月々の給与に家事代行サービス分を上乗せして源泉税を計算しますし、もちろん雇用保険や社会保険も考慮する必要があります。
もう一つはカフェテリアプランとして導入するというケースが考えられます。
カフェテリアプランとは?
カフェテリアプランとは、企業があらかじめ用意した様々な福利厚生メニューの中から、従業員が自分に必要なものを選んで利用する制度です。
企業は従業員に一定の“福利厚生ポイント”を付与し、従業員はポイントを消化する形で制度を利用する、というのが一般的です。通常、福利厚生メニューは外部のサービス(福利厚生代行会社)を利用します。
メニューは、人間ドックやスポーツクラブ・各種スクールなどの費用補助、旅行・宿泊補助、映画等のチケット補助など様々ですが、このメニューの一環として家事代行サービスの費用補助を導入します。
実際にメニューの一部として、家事代行サービスを取り入れている会社もあるようです。
カフェテリアプランで家事代行サービスを福利厚生費扱いする方法
このカフェテリアプランでは従業員に“ポイント”が付与されますが、このポイントの税務上の取り扱いはどうなるでしょうか?
これは国税庁のHPに照会事例として回答が公開されています。
それによると、まずポイント付与時ではなく、各々がサービスを利用したときに、その内容によって所得税の課税・非課税を判断すればOKとなります。
また、企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、
- 役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員や職務上の地位、報酬の額などで付与されるポイントが上下するような場合には全てのカフェテリアプランが課税対象となる
- 課税されない経済的利益は企業から現物給付の形で支給されるものに限られるため、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となる
という点を考慮しなくてはなりません。
つまり、逃げ恥のような家事代行サービスのカフェテリアプランを、福利厚生費で導入する際は、
- 社内の全員が公平にポイントを与えられる
- ポイントが換金性の高いプランとならない
という2要件を備える必要があります。
さて、ドラマは最終回を迎えますが、果たして、みくりと津崎はゴールインなるのか!?
現実の世界でも、このドラマを契機に家事代行サービスへ殺到する独身男性が増えることでしょうから、社員の幸せを願う企業側としては、もう一度カフェテリアプランを見直したいところですね。
画像:「逃げるは恥だが役に立つ」公式HPより引用