40代の日本人男性のうち、2人に1人が陥っているメタボリックシンドローム。国もこの事態を重く見ており、2008年からメタボ検診が始まりました。メタボ検診は任意で受診する制度ではありますが、メタボの該当者と見なされ一定の条件を満たすと、積極的な健康維持管理に関する指導を受けられます。気になる方は一度受けてみてはいかがでしょうか?
メタボリックに警鐘を鳴らす厚労省メタボ検診
厚生労働省「平成25年国民健康・栄養調査結果の概要」の発表によると、日本人男性の28.6%がメタボに当たり、メタボ予備軍の数を合わせると40代中年男性の場合は、2人に1人がメタボに気をつける必要が生じています。※1
メタボリックシンドローム(英: Metabolic syndrome)とは、内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態を表す言葉です。
放置しておくと、動脈硬化が発生しやすかったり、糖尿病にもかかりやすい等、文字通り「命」に関わる危険な症状です。
また、メタボの代名詞といえば「デコっ腹」ですが、夏にパーンと出たお腹を見て、みっともないと感じる人も多いようです。
厚生労働省も、メタボを重大な生活習慣病と考えており、2008年よりメタボ健診を始めました。
メタボによる身体的なリスクが高い人には、半年間の保健指導が待っています。そこで本稿では、特定健康診査での保健指導を解説します。
メタボ健診の概要と特定保健指導の対象者とは
メタボ健診は正式名称を「特定健康診査」と言い、現代人に増加している糖尿病や心疾患などの生活習慣病の予防を目的として行われるものです。
生活習慣病はその名の通り、不摂生な生活が発端となっているため、生活習慣を見直せば予防効果が高いと考えられています。
そこで、中年(40〜74歳)の人材を対象に、内臓脂肪値を調べるメタボ健診が実施されています。
現在、メタボ検診は国民健康保険などの医療保険者に実施義務がありますが、被保険者の受診義務はありません。
メタボ健診を受けた結果、生活習慣病(メタボ)のリスクが高いとされる方には「特定保健指導」が実施されます。
保健指導はリスクの程度によって、「積極的支援」「動機付け支援」という2つの方法が用意されています。
どのような人が指導されるかというと、
- 中年(40〜64歳)
- 腹囲85センチ以上
- 血圧が高い
- 喫煙者
これらの項目に該当すると、高リスクとされて「積極的支援」の対象になります。
特定保健指導の対象者は、以下の図でピンク色に囲んだ枠内の条件を満たす人が対象です。
参照図:厚生労働省「政策レポート(特定健康診査(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導)」より転載
メタボ健診の保健指導は面接から半年間は続く
メタボ検診で「メタボ」に該当した場合は、いよいよ保健指導を受けることになります。
保健指導とは、指導対象者が専門家との面談を通して、生活習慣の改善を自発的に行えるようサポートする取り組みです。
初回面接では、20分以上の個別面接あるいは8名以下80分以上のグループ面接があり、医師だけでなく、保健師・管理栄養士の方が生活習慣について多角的にアドバイスをしてくれます。
面接を受けて「はい、終了!」とは行かず、生活習慣病リスクが高ければ高いほど、積極的指導が専門家により実施されることになります。
定期的に面接や電話・メールを利用して現状報告を行うことになっているので、保健指導なんてめんどくさい! と思う方は、保健指導の対象になる前に、なるべく健康的な生活習慣を目指すようにしましょう。
積極的支援の該当者は医療費控除の対象になる
なお、メタボ検診や保健指導の費用は、通常のところ自己負担となりますが、生活習慣病が濃厚とされる「積極的支援」に該当した方は、医療費控除の対象となります。
日本高血圧学会(血圧測定)、日本動脈硬化学会(血中脂質検査)又は日本糖尿病学会(血糖検査)の診断基準を満たした人であれば、申請することで、医療費控除の対象となります。※2
メタボ健診はあくまでも任意の制度であり、受診する必要はありませんし、受診しなければ保健指導で食生活をとやかく言われることはありません。
一番良いのは、社員が自己管理の一環として、自発的に受診することです。
会社としても、無理にメタボ検診を社員へ受けるよう勧めるよりも、必要がある時に「周知する」ことが望ましいと考えられています。
※1
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106403.pdf
※2
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/080501/another.htm