日本国内のダイエット熱は留まるところを知らないようです。最近だと糖質制限ダイエットが隆盛を極めます。しかし画一的なダイエット手法は、個々の身体の本質(DNAや細胞の質)にあったものとは必ずしも言い切れません。更に、実際には肥満でないにも関わらず「自分は太っている」と感じている人も多いようです。住む場所の風土や個々人の体質毎に理想的な食事を取り健全な身体を維持しましょう。
雑誌は話題作りのため新たな流行を産み続ける
私は20年前位から、いわゆる「健康雑誌」の月刊誌を中心に、リンパ療法を中心に取材されたり原稿を依頼されてきました。
美容や怪我や病気の改善は、身体の70%(60%説もありますが、骨組織内水分も含み)を占める体液(リンパと血液)の浄化と、循環を高めることにあると主張してきました。
リンパ療法を掲載してくれた健康雑誌は、年代別にターゲットを絞り「○○」「○○○」のように漢字やひらがなで名称をつけて発行していますが、今年はこれを流行にしようと編集部が合意の上取材しています。
「野菜スープ」「チャガ茶」「プロポリス」「アガリクス」「紅茶キノコ」「ゴボウ茶」など聞き覚えはありませんか?
未熟な研究者が健康長寿訴えても説得力はない
毎年流行させる目玉商品が無いと「健康雑誌」は売れないので、やむを得ないのですが、創り出された「健康法や美容法」以外に、突然大ブームになるものがあります。
例えば、加山雄三が映画デビューして、そのお母さん小桜葉子の健康体操が流行しました。
「私の体操をやっていれば若くて長生きしますよ。」と言っていた人が突然死去し、ブームは終焉しました。
『やせたい人は食べなさい』の著者・鈴木その子氏は、高炭水化物ダイエットで有名になり、連日TV出演して色白のお顔とスタイルをアッピールしていましたが、急逝されました。
近年ブームになった「糖質制限ダイエット」の推進者である桐山秀樹氏の悲報が報じられたことも、糖質ダイエットが利用の仕方によっては健康効果をあげられるのに、残念なことです。
私も含め、まだ未熟な研究者が「健康長寿法」を唱え、出版しても説得力がないわけです。
長生きする人は特別なダイエットを行わない
例えば、医師の日野原重明先生や塩谷信男先生のように90才を過ぎてから著書を出され、まだ現役で治療に従事されたり、講演活動をされた先生の健康法なら納得がいくというものです。
彼らは健全な身体を維持していますが、何かを急激に摂取制限するような特別なダイエットは行いませんでした。
私の父は、去年お盆に帰省した時は元気でしたが、あっという間に亡くなりました。96才の時、五行歌の福岡全国大会に山形県庄内町から一人で特急、上越新幹線、東海道新幹線と乗り継いで参加し、1泊だけして次の日に帰ってきて、家族をあきれさせました。
青年の頃から、農村通信社に原稿を書いていて、高齢になってからも自費出版して田舎の人達にプレゼントしていました。そのうちの一冊が『長生きしたい人の読む本』で、90才で出版しました。
この本の中で「太らない食事の取り方」について書いてありましたのでご紹介します。
- 食材には注意し、タンパク質は脂肪酸の少ない魚類や牛乳・大豆・貝類から採る。
- 栄養素のバランスを取るために野菜は大量にとる。
- 果物では繊維がおおくて腹持ちのいいバナナを食べる。
- 一番先に食べたものが先に消化されやすいので、初めに野菜を食べて、後から肉や魚を食べる。
- 朝、コップ一杯の水を飲み、お風呂の前も水を飲み、毒素を体外に出すために1日中水を飲む。
など、なんのことはない、こちらも当たり前のことを書いてあります。
長生きした人は、何も特別なダイエットなどしていません。
全ての人に適応するダイエットなど存在しない
それでは正しいダイエット法とは何なのでしょうか?
日本人は全ての流行に右往左往する民族と言われていて、その中に迎合して一員でいると安心する傾向があります。
しかし人間は其々顔も違い、指紋も異なるように、体の本質(DNAや細胞の質)にあった健康法やダイエット法があります。
その為に一番参考になるのは、両親であり祖父祖母です。どういう生活をし、どんな健康状態で、何才まで生きたかですね。
もし、病気で死去された身内がいたら、その原因を除去する生活をすれば、その人よりは10才長生き出来ますね。
例えば、食べ過ぎの脳梗塞で亡くなった親がいるとしたら、食生活を注意という具合にです。
肥満と思い込んでいるだけの人は多く存在する
一般的に太る原因は「や(夜食)た(多食)ら(楽する)に(二食)ふ(フラストレーション)と(糖質)り(両親)」と言われています。
確かに二食は、お相撲さんが体重を増やすために、間を開けて吸収を良くするために取り入れていて、明治以降の横綱の殆どは短命で終わっています。
両親が肥満の場合、子供の70%は肥満になりますが、それでも両親が健康であれば別に気にしなくてもいいわけです。それは体質です。
しかし、そんなことよりも事実確認すべきことがあります。
貴方は本当に肥満なのでしょうか?実際にはそうでもない可能性が高いのではありませんか?
厚労省の調査で標準的な体重の女性なのに「自分は太っている」と思い込んでいる人は47%おり、その7割は実質肥満ではありませんでした。
肥満度は、日本肥満学会が提唱する「体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った数値(BMI)を採用すると22が理想です。
USA生命保険協会の「肥満度と死亡率との関係」では、やせ過ぎは消化器系疾患、自殺、癌が多くなり、太り過ぎは脳血管疾患、心臓疾患、肝硬変、不慮の事故が多くなっています。
貴方は本当に太っていますか?
フラットな視点でもう一度、自分を客観的に見てみることをお勧めします。
日本人が一番バランス良い健康状態だった時代
実は私、3年前に最高年齢で「健康運動指導士」の資格を取得しました。
そこで、やっぱり痩せたいという人には、こんな話もしましょう。
毎日その通りに栄養バランスを採るのは大変ですが、理想的な食事を日本人が取っていたと言われる年代があります。
それは終戦後、毎年その年の平均的食事と二十歳の人の健康状況の追跡調査の中で、昭和37年前後の食事だったと言われています。
しかも、昭和30年代後半に、30代から50代の男性の間では、BMIの理想数値であるとされる22前後という数値が実現していました。
その内容は和洋中のおかずをバランスよく、ちょっとずつ盛った食事でした。それ以前は和食中心、それ以後は洋食中心でした。
当時の政府は、国民の栄養調査においてその状態を「栄養摂取量は体格,体質,気候条件、生活環境等のほかに経済条件によっても大きく左右されるものであるから,単なる比較はできないとしてもわが国の摂取量は欧米諸国に比べて著しく劣っているといえよう。」と述べています。
現代人が羨ましがるBMI22を実現していたにも関わらず、炭水化物ダイエットをする必要もなかったにも関わらず、これじゃ駄目だと言ってしまったんですね。
実にもったいない。
今はどうでしょう?
欧米人並に肉を食べるようになった今となっては、やれ炭水化物が悪い、脂が悪い、と一方的に何れかの栄養成分を敵対視したダイエットがもてはやされ、矛盾している気がしませんか?
食べ物の基本的三要素は、炭水化物・タンパク質・脂質ですが、それをまんべんなく摂取することが大切だと考えられます。
この三要素の一つを摂取しない食事法は、未だ未熟な科学の力で解明されない”自然界の節理”に反するものです。
ご先祖様がそれを統計数値として教えてくれている点も、無視できませんね。
糖質制限には一定の効果あるが最適とは言えぬ
「糖質制限ダイエット」で納得出来る部分もあります。炭水化物は糖質と食物繊維であり、腸で分解されてブドウ糖になり、血液に入り血糖値が上がり、「インシュリン」が出て中性脂肪に変えて脂肪になります。
糖質制限をすると、体内の脂肪を分解してエネルギーに変え、タンパク質からブドウ糖を生み出します。ダイエット効果は確かにあるでしょう。
ただし、既知の医師である友人の話を引用すると、糖質制限ダイエットを行っている期間は、ゆったりとした動き方だと脂肪の代謝が進むのに対して、激しい動きを伴った動きや激務によって筋肉を使うと、インシュリンが大量に分泌され、筋肉にダメージが加えられます。
この動きを続けると、自分の意志で自由に動かしたり、止めたりすることのできない不随意筋(心筋)で動く心臓に負担がかかるため、咄嗟のきっかけで死の遠因につながる可能性は否めないといいます。
私自身は、これらの助言を受けて無理なダイエットは提唱しません。なぜなら、主食として勧めている玄米や雑穀米は、吸収スピードが大変遅く、しかも栄養素が豊富で毒素の排除もしてくれるからです。
これらの主食は、日本が長い期間をかけて育んだ風土から取り入れることが可能です。炭水化物を止めてタンパク質だけの摂取にするより、玄海山菜(玄米・海産物・山のもの・野菜)を取り入れることのほうが、遙かに自然の理に適っているのです。
40年前に、日本初のホテル内ヘルスクラブでトレーナーをやっていた時のお客様達には、経団連会長の石川六郎氏(鹿島建設社長)や一流の会社社長がいましたが、運動と基本的三要素を取り入れた食事療法によって健康法の習得に努め、誰一人ダイエット法に興味はありませんでした。(というより、ダイエットをする必要がなかったのです。)
節約社長なら、極端なダイエット法で食事制限するよりも、健康法を習得しましょう。