福利厚生・福利厚生費とは?
福利厚生とは、企業から従業員に給付される給与以外の対価・報酬のことを言います。
社員の生活の質や労働意欲を高めることを目的として企業が導入します。
その際にかかる費用を「福利厚生費」と呼びます。
福利厚生費と法定福利費・法定外福利費の違いとは?
さて、福利厚生費を把握するにあたり、福利厚生費と法定福利費・法定外福利費の違いがいつも混同されがちです。
これら3つの費用について明確に整理しておきましょう。
福利厚生費と法定福利費
福利厚生費は「法定福利費」と「法定外福利費」を合わせたものです。
法定福利費とは
法定福利費は、法律で義務付けられている福利厚生にかかる費用のことを指します。
法定外福利費とは
法定外福利費は、会社が任意で提供しているサービスにかかる費用のことです。
つまり、法定福利費・法定外福利費はいずれも福利厚生費ですが、その範囲が違うということですね。
福利厚生費を経費として計上するための要件
それでは、福利厚生費を経費として計上するための要件について、ここからご紹介します。
社員全員に対して平等に支出
社員全員が利用できるサービスである必要があります。一部の従業員等しか使えない場合、福利厚生費として計上することはできません。
社会通念上の範囲内の金額
福利厚生費は、サービスにかかる社会通年上の妥当な金額の範囲内でなければなりません。
現物給与
福利厚生費は現物である必要があります。金銭の支給は認められません。
福利厚生費はアルバイトや役員も使うことができるか?
福利厚生は、すべての従業員に公平に支給する必要があるのでアルバイトや役員でも利用することが可能です。
福利厚生費として認められる代表的な6つの費用
それでは、福利厚生費として経費計上を認められる代表的な費用についてご紹介しましょう。
具体的には、事業主負担分として義務付けられている法定福利費は福利厚生費として認められます。代表的な費用は以下の6つです。
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険
・こども・子育て拠出金
これらの社会保険や労働保険は、福利厚生費に該当します。
福利厚生を導入することの効果は?
それでは次に、福利厚生を導入すると得られる効果についてご紹介しましょう。
従業員の満足度の向上
福利厚生が充実すれば、従業員の満足度が上がり、結果的に企業の利益を出すことにつながります。
人材の確保
企業が人材を募集する際に福利厚生が充実していると有利です。そのため福利厚生に力を入れている企業が多いです。
企業のイメージの向上
福利厚生の注目が高まっている今、福利厚生を充実させることは企業イメージの向上になります。
福利厚生を導入する際の注意点
なお、福利厚生を導入する際には、以下の点について注意しながら導入する必要があります。
個人事業主は利用できない
従業員がいない個人事業主は、仕事と生活費の線引きが曖昧になるので、福利厚生費を計上することができません。
コスト・管理負担がかかる
企業にとって福利厚生の施設の維持や管理には負担がかかります。また費用面でも充実させればさせるほど大きい負担になります。
従業員のニーズに合うか注意
福利厚生を導入しても利用されなければ意味がありません。従業員のニーズに合う内容か事前によく検討しましょう。
従業員のニーズが高い福利厚生サービスベスト10
健康関係
健康診断や人間ドックなどで従業員の健康を守ります。
食事補助
食事代を支給することで従業員の経済的負担を減らせます。
住宅手当
会社による社宅の提供や家賃補助などが一般的です。
慶弔金
見舞金や出産祝い金、結婚祝いなどが企業から支給される嬉しい制度です。
育児関係
ベビーシッターや保育園の料金負担など、育児中の従業員にとって助かる制度が多いです。
介護関係
従業員の両親の介護に関する費用などを会社が補助します。
旅行
社員旅行・慰安旅行などの費用を会社が負担します。
通勤費・交通費
出社に必要な交通費を会社が負担します。
社内環境
無料の保養所や社員食堂など、社員が働きやすい社内環境を作るために提供されるサービスです。
レクリエーション
新年会や忘年会、歓送迎や運動会といった従業員の親睦を深めるためのイベントです。
企業が福利厚生費を計上する際の注意点
最後に、会計帳簿上、福利厚生費として費用を計上する際の注意点をご紹介します。
勘定科目は「福利厚生費」
福利厚生を目的とした費用の支出は「福利厚生費」としましょう。
その際に明確な目的がないと計上が認められない可能性があります。
会議費・交際費と区別する
福利厚生費と会議費・交際費は似ている部分が多いです。
取引先との接待は交際費になります。
税務上、経費にできる条件が違うので目的別に判断しましょう。
判断できない場合は国税庁のタックスアンサーで確認しましょう。
経費にどこまで計上できるか判断する
福利厚生費は税務上、具体的に経費計上できる限度額や条件が細かく決められています。
すべてが損金に算入できるわけではありません。導入する福利厚生の要件を確認しておきましょう。