通信教育大手ベネッセコーポレーションから、個人情報が大量に流出した事件から一年が経過する。ベネッセの事件は表の個人情報漏えい事件であるが、裏の名簿業者は絶えず私達の個人情報を抜き取ろうとしている。その手段は人間の欲望に直結したウェブサービスの運営によりメールアドレスを抜き取る方法だ。欲望に付け込む個人情報の抜き取りから自分を守ろう。
ベネッセ情報漏洩事件から一年が経過する
通信教育大手ベネッセコーポレーションから、個人情報が大量に流出した事件から一年が経過する。
名簿の販売自体が違法行為ではないとはいえ、ベネッセの情報を買い取った名簿業者、そしてその他の名簿業者にも社会的な非難が集まったことは、皆様の記憶にも鮮明に焼き付いていることだろう。
ベネッセの事件では、容疑者の直接関与として判明しているだけで760万件のデータ流出が確認されており、容疑者は250万円で販売したと供述している。
実はこの金額は名簿業者の世界で、かなり安い値付けがされたとささやかれている。ベネッセが持つような「優良」データは価値が高いため、少なくとも数千万円の値がついたはずだからだ。
名簿業者とひとくちに言っても、実は名簿業者の世界には「表」と「裏」の2種類の業者が存在する。
今回のベネッセの件で登場したような「表」の名簿業者(合法の範囲で名簿を取引している業者)については、新聞やテレビで情報が沢山出てくると思われる。
そこで今回はなかなか語られない「裏」の名簿業者について触れてみたいと思う。
裏の名簿業者は欲望を煽り個人情報を抜く
まず、裏の名簿業者はアンダーグラウンド世界の住人が大半である。
彼らは、出会い系、競馬予想サイト、情報商材、アダルト動画サイトといった人間の欲望に直結したウェブサービスの運営により、利用者達の個人情報を入手する。
では裏の名簿業者達がこれらの情報をどこに売るか?というと、答えは迷惑メールの発信業者達である。
迷惑メールの発信業者達は、合法のインターネットサイトに広告掲載できない違法性のある商品やサービス、あるいは違法行為そのものである詐欺サイトのリンクを、不特定多数の相手に無差別送信する。
パソコンとインターネット環境、そして名簿さえあれば、きわめて低コストで大量のメールを送信できるため、例え送信した向こう側で0.1%の人しか商品やサービスを購入しなくとも(騙しの架空請求などに応じるのも含め)、巨利を得ることが可能なのだ。
もちろん、迷惑メールは“相手の承諾なしにメール送信すること自体が個人情報保護法に対する違法行為”である。
これらの事実を私達は対岸の火事のように考え、引っかかるはずがないと高をくくってはいけない。
実はこれらの仕組みが一番組み込まれているのは、誰しもが閲覧したことがあるはずの「アダルトサイト」だからだ。インターネット上に無数に存在するアダルトサイトの多くは、業者に売るアドレスを集めるために運営されている。
「メールマガジンの会員になってキーを取得し長時間動画を見る」「メールマガジン会員限定のロックがかかった動画」など人間の欲望を煽った形の情報入手がその手口である。
最近ではメールマガジンを登録しなくても長時間動画を見れるサイトもあるが、これらのサイトから動画を抜き取ったまとめサイトの中には、アプリをインストールさせて個人情報を抜き取ろうとするものもあるため、決してアプリのダウンロードを行ってはいけない。
迷惑メールが来ても徹底的に無視すること
もしも遠い過去にアダルトサイトへアドレス登録したことが原因で、自分のメインアドレスに迷惑メールを受けとっている場合、対策は以下の通りだ。
まず迷惑メールは徹底的に無視しよう。
もっともやってはいけないのがそのメールに返信することであり、返信するとあなたのメールアドレスがアクティブであることが知られ、さらにたくさんの迷惑メールが届く可能性が高まってしまうのだ。
また、文中のリンクはクリックしないでほしい。例えば迷惑メールの配信停止を誘導してくるケースもあるが、これは配信停止手続きを装った落とし穴だ。
迷惑メールと思しきものはタイトルから判断し、明らかにおかしいものは開封しないという習慣をつけるようにしよう。できることならばアドレスを変更することが望ましい。
欲望に付け込む個人情報の抜き取りから自分を守ろう。