幾ら他人を救おうと思ったところで救えない
メディアでの露出を経て認知度が上がることによって、私の元へはよくメッセージが寄せられるようになりました。
お仕事の依頼が多くなる一方、自らの困窮する状況を訴え、「黒坂さん、何とかなりませんか?」「今の状況から救われたいです。」というメッセージも増えています。
私にも困窮する時期があったので、出来る限り丁寧で迅速な回答をしているのですが、正直言いますと救われない人のほうが圧倒的多数です。
お金に困っているのでビジネスを立ち上げてなんとかしたい、という方であれば、元手がほとんどかからないので、まずはネットで10万円稼げるノウハウを無料でご紹介しましょうか?と言ったこともあります。
考え方で苦しまれている方なら、「このように考えると気持ちが楽になるのでは?」「このようなデータもありますので、参考にしてみてください」と提案もしたことがあります。
こちらとしては、出来る限りの事はやったわけですが、返ってくる答えは大抵、私の想像の上をゆくものであることが多いです。
もちろん悪い意味で。
「いや、それはやったことがないから出来ません」「時間がありませんので…」「専門外なので分かりません」
こんな具合に、親切で示した提案に対して帰ってくる返答は、10中8,9以上が「出来ない理由」です。
それを言われてしまうと、私にはそれ以上何も出来ません。彼ら、彼女らのために私が代わりに作業をしてお金を稼ぐ、お会いして話をするということは不可能ではないでしょう。
しかし、そうしたところで未来は見えています。
お金や悩みの本質が解消されていませんから、時間が経つとまた「困った状況」に逆戻りして、再び同じ状況になるだけ。
「ご相談をしたことで負担をかけてすみませんでした」で、やり取りが終われば、まだマシですが、親切を示したはずが「黒坂はいじわるだ」となることも多々あります。
今後も相談をされたら、私に出来る限りの事はしたいと思いますが、トボトボ立ち去っていく人を見ると「本質的に自分が他人を救えることなどない」と思わされます。
他人の助けは「自ら救われるきっかけ」に過ぎない
このように、私が「他人を救えない」と思う一方、出来る限り手を差し伸べることを止めないのにも理由があります。
それは、時に人との出会いや、言葉によって人が救われるケースもあるからです。
実際、私も数々の人の教え、導きによる気づきに助けられてきました。
つまり、人の助けで救われる人、救われない人が存在し、そこには明確な「差」があります。
その「差」とは「自分で自分を救いたい」と強く思っているか否かにあります。つまり、心が独立している人は人の助けによって変わる可能性があるのです。
過去の私を引き合いに出すと、私を変えたのは一冊の本による教え、そこから得た気づきでした。
その本とは、野口悠紀雄さんの「超勉強法」という本です。
「超勉強法」を読んでからの私は勉強の重要性に目覚めて、そこから人生を好転させる事が出来ました。
ニートから独自に語学を学び、海外留学を経て、外資系メーカーへ就職し、起業家となったあとは、投資家、著述者へ転身。
こうやって書くと華々しく見えるかもしれませんし、他の人から見たら著者の野口悠紀雄さんの言葉で私が勉強に覚醒したように思えるでしょう。実際、そうだと思います。
中には、この本を読めば同じようになると考える方もいることでしょう。
しかし、その本を手に取った後、最後まで読み、内容を理解し、実際に本の内容を実践し勉強をスタートし、勉強に基づき徹底的に行動しなければ、今も私はニートのまま。
つまり、他人の言葉はきっかけに過ぎなかったのです。
この経験からも、私は、人に救われる人というのは、「自分自身を救おう」と強い想いと独立心を抱いている人だと考えています。
依存する人は絶対に救われません。
魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という格言がありますよね。
出典元は明らかではありませんが、紛れもない名言です。
困窮した人に魚を与えることで一日飢えをしのげるでしょうが、魚を食べてしまったらまた困った状況に戻ります。で、あれば本質的に救われるためにも、相手は釣りの仕方を教わるしかないのです。
釣りの仕方を教わるには、その人に「教わりたい」という気持ちがなければなりません。
いくら首にナイフを突きつけて、「魚の釣り方を理解せよ」と無理強いしたところで、当人に「魚を釣ることで自分で生きていくんだ」という独立心が無ければ意味がないのです。
私は人の人生を好転させ、人生を変えるビジネスをしたいと思っています。しかし、そこでしたいことは魚を延々と与え続けることではありません。
そうではなく、独立心を養い、釣りの仕方を教える…お金を稼いで心豊かに生きていける方法を伝えたいと思っています。
そのためにも「人は他人を救えない」という真理を、これからも堅く肝に銘じていくつもりです。