もう加入している?確定拠出年金で節税しよう

確定拠出年金

 確定拠出年金とは私的年金の一つで、現役時代に拠出した掛け金をの運用によって生じた損益が反映されたリターンを、老後の受給額として支払われる年金のことを言う。個人型と企業型の二種類があり、節税効果の範囲が若干異なっているため、どのような人がどちらの「型」で加入するべきか考える必要がある。デメリットについても十分考えたい。

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確定拠出年金制度の内容をおさらいしよう

 確定拠出年金とは私的年金の一つで、現役時代に拠出した掛け金をの運用によって生じた損益が反映されたリターンを老後の受給額として支払われる年金のことを言う。アメリカの年金制度の名称401Kの流れを真似たため、日本版401Kとも呼ばれる制度だ。

 約15年ほど前に全国の企業が採用したことは記憶に新しい。

 確定拠出年金には、”年金と名の付く退職金制度”、”自分で自由にコントロールできる年金制度”という2つの性格がある。

 毎月一定の金額を掛けてプールされた掛金を、加入者が自身で「運用指図」によりリスクや安定性をはかって投資することで、将来受け取れる年金の額を増やせる反面、運用内容によっては掛金の100%を割る可能性もある。

 この確定拠出年金には2種類のパターンがある。

・企業が採用する「企業型」

 退職金代わりとして毎月の掛金を「企業」が払う様式の確定拠出年金制度。平成24年時点の加入者数は約422万人である。

・個人で加入する「個人型」

 「個人自身」で毎月の掛金を払う様式の確定拠出年金制度。。国民年金、厚生年金の被保険者のみが加入でき、年金の2階建てと言われるように、年金受取額を増やすための1つの手段である。平成24年時点の加入者数は約14万人である。

 これら2つの確定拠出年金は節税効果の範囲が若干異なっているため、どのような人がどちらの「型」で加入するべきか考える必要がある。

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2種類の確定拠出年金が持つ節税メリット

 「企業型」と「個人型」にはどのようなメリットがあるか把握することで、加入すべき確定拠出年金を選択することは賢明だ。以下提示する。

「個人型」の”節税”メリット

  • ・将来の資産、運用となる→目減りする年金ではなく、自分の頑張りで増やせるかもしれない年金
  • ・掛金が全額所得控除となる→年間で81万6千円の所得控除&所得税・住民税・国民健康保険料で最低で年間20万円以上の節税が可能。

 上記のように「個人型」は節税範囲や額が限られているため、創業したばかりで売上の限られた個人事業主に対してメリットが大きい制度である。

「企業型」の”節税”メリット

  • ・加入している従業員には個人型と同様の節税メリットがある。会社も掛金を全額損金として節税可能である。
  • ・加入している企業は、各種社会保険料の節約ができる。→厚生年金や健康保険の額は従業員の所得によって決まり、安いほど額は少なくなる。確定拠出年金に加入している従業員は拠出金が所得控除されるために、厚生年金と健康保険料を決定づける”標準報酬月額”が少なくなればその分それぞれ節約できる。

 「企業型」の最大のメリットは、厚生年金制度における健康保険料の節約に現れる。厚生年金は会社と従業員で折半で支払う制度のため、その節約は個人のみならず、会社にも節約メリットがあるからだ。会社と従業員、どちらかが痛みを伴う制度であれば導入は難しいかもしれないが、確定拠出年金は会社と従業員のどちらもがwin-winの関係になれる制度なのだ。

 筆者の場合も前職で企業型確定拠出年金に加入していたが、退職して個人事業主となったため、現在は個人型に変更している。現在は掛金は払っておらず、プールされたお金の運用のみを行っている。いずれは”節税”面から、掛金を拠出し老後に備える予定だ。

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確定拠出年金のデメリットも知って節税する

 確定拠出年金には代表的なデメリットもいくつかあるのでご紹介したい。

・基本的に一度拠出したお金は出せない

 筆者は企業型に加入しており退職したが、プールしてあるお金を引き出すことはできなかった。あくまでこれは60歳から受けられる年金だからだ。お金はあるのに出せない、という状態である。一部例外はあるものの、企業型・個人型どちらの場合も60歳になるまで脱退することはできない。ただし掛金の支払いが難しい場合は支払いを中止し、運用のみを行うという方法は可能である。

・社員に納得してもらう知識が必要

 確定拠出年金のメリット・デメリットを従業員へ正しく説明できる知識が必要なため、導入を考える際、場合によっては専門家と連携を取る必要がある。

・万が一の解雇のときに退職金が用意できない

 企業型確定拠出年金は退職金の意味合いが濃いため、この制度を導入すると退職金制度は通常なくなる。中小企業などは特に業績によって従業員をやむをえず解雇する可能性もあり、退職金という「ありがとう」の意味を込めた手切れ金が用意できないことになる。

 終身雇用制度が終演を迎え、人材の流動化が進んだことで、今後もこの制度を活用する企業は増え続けることだろう。

 しかし確定拠出年金制度の中身は複雑で、社員もなかなか理解しづらい。メリットデメリットを社員も含めて十分理解した上で活用する必要がある。

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