アシアナ航空機の事故に象徴されるように、LCC(格安航空会社)など低価格運賃競争が進み、安全性が軽視されやすい傾向が見受けられるのが昨今の航空業界だ。オーストラリアで運営されているサイト「Airline Ratings.com」は、プロ目線で世界中の航空会社について格付けを行う。搭乗を検討する航空会社の便があるなら、チェックしてみることをお勧めする。
低価格運賃競争で軽視される飛行機の安全性
4月14日、広島空港でアシアナ航空機が着陸に失敗し、多数の乗客が負傷した。
機体は車輪が外れ、主翼も裂けるなどあちこちを損傷していた。滑走路の東端から約325メートルにある着陸誘導用の無線設備に損傷があったという。
今回の事故については、死者こそ出なかったのが不幸中の幸いだった。
一方でLCC(格安航空会社)など低価格運賃競争が進み、安全性が軽視されやすい傾向が見受けられる航空業界の現状が浮き彫りとなった。
もちろん運賃が安いに越したことはないが、自分が乗る飛行機の安全性を確保することが、トータルで見た時に節約となる場合もある。
各社の安全性を調べる手段はないだろうか?
Airline Ratings.comはプロ目線で評価する
現時点で日本語に対応した「各航空会社の格付け」や「各航空会社の安全性を比較」する資料はない。
そこでおすすめしたいのが、オーストラリアで運営されているサイト「Airline Ratings.com」を見ることだ。
「Airline Ratings.com」はプロの目線で、世界中の航空会社について格付けを行うサイトだ。
Safety rating(安全評価基準)は、各航空会社の安全評価の総合的な分析や、世界の航空管理機関からの情報を利用し、政府やクラッシュデータに基づいており、すべての航空会社のために7つ星安全性評価基準がある。
IOSA(運航安全監査)に認定されていない場合は、星が授与されない形態となっている。IOSAは、国際的に認められた監査の原則を使用し、標準化され、一貫した方法で監査が実施されているため、公平性も高い。
もうひとつの基準はIATAだ。、IATAは、国際路線をもつ世界の航空会社の団体。安全確実で経済的な航空輸送を目的としている。ICAO(国際民間航空機関)への協力、国際航空運賃の設定などを行っている。※3
もし自分がどこかへ向かう際に飛行機を利用するなら、同サイトで搭乗を検討する航空会社について、客観的な評価をチェックしてみよう。
運賃だけで航空会社を決めることのリスク
航空機事故で死亡する確率は、自動車事故による死亡確率より低いと言われている。
しかし航空機事故は、さまざまな原因や条件が重なり合って発生するものであり、一度事故に遭遇すると自らのコントロールで、命を守ることは非常に難しい。
安全性の問題が、航空会社に一方的にあるとは必ずしも言い切れないが、航空機事故を引き起こすリスクの多寡は航空会社やその運航地域によって異なっており、一般に先進国では低く、発展途上国では高い傾向が見られる。
航空運賃の安さだけに注目せず、しっかりと安全性の評価が高い航空会社の便を選び、自らの身を守ろう。