ドイツ航空機事故が教えるストレスチェックの必要性

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 ドイツのLCC航空会社「ジャーマンウィングス」の航空事故は、精神状態に異常を来した副操縦士が起こしたものだった。心身に問題のある社員を就業させていた会社側に重大な過失が認められるため、莫大な損害賠償金が想定される。日本でもうつ病になった社員を就業させると会社が過失を問われることになるため、ストレスチェック制度の導入を前向きに検討したい。

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ジャーマンウイングス墜落で会社は窮地に

 今年3月24日に発生した、ドイツのLCC航空会社「ジャーマンウィングス」の航空事故は、機体が木端微塵(こっぱみじん)になり、乗客乗員150人全員が死亡する、最悪の結果となった。

 その後世間は事件の原因に再度大きく驚かされた。機体は副操縦士によって意図的に墜落させられたからだ。

 発見されたボイスレコーダーからは、副操縦士の息遣いのみが録音され、コックピットの外から必死に開錠を求める機長の声だけが残った。

 報道により明らかとなったのは、副操縦士が重いうつ病に起因して事故が起こったことだ。失恋、仕事のプレッシャー、網膜剥離の視力低下による焦りなどを抱え、医師により乗務禁止を幾度も警告されながら、自分の状態を隠して業務を行っていたという。

 機体の予想できない故障などとは異なり、心身に問題のある社員を就業させていた会社側に重大な過失が認められるため、一人あたり賠償金額は莫大な額が想定されており、被害者遺族による訴訟も行われる可能性が高い。

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心身状態に問題ある社員を就業させるリスク

 日本の司法は、精神疾患を抱えた社員を就業させることについて、どのような判断を下しているのだろうか。

 判断材料として、2000年に最高裁が判決を下した「電通事件」がある。

 新入社員の男性が、慢性的な長時間労働の末、不眠症状や異常行動を起こしうつ病に罹患、入社からわずか1年5か月後に自殺に至ったという。

 遺族は会社の責任を追求する損害賠償訴訟を起こし、電通は「会社としての責任はない」と主張したが、最高裁の審議では、電通が約1億6,800万円にのぼる多額の損害賠償金を支払うことで和解が行われた。

 この裁判は、”企業側に社員の健康状態を把握し、適正に対処する義務がある”ということを明確にした点で、大きな判例だ。

 「うつ病になったのは個人の性格が原因」「従業員の自己管理能力がなかった」という言い訳は通用しないと、と司法が認めたことで、企業は従業員の自己申告があろうとなかろうと、心身状態を適切に把握し、処置対応することが求められるようになったのである。

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ストレスチェック義務化が今年からはじまる

 平成27年12月1日から、50名以上の従業員を持つ企業へストレスチェックが義務化されることが決定している。(詳細は「社員のストレスチェック義務化に対する企業防衛術」」を参照)

 航空機事故のように従業員の精神状態が異常を来した状態で、当該社員の手により会社に過失が生じてしまうと、全責任が会社にふりかかる。被害は、賠償金はもちろん、風評被害の波及など見えない部分にも及ぶ。

 企業の規模によりまだ義務化されていなくとも、できるだけストレスチェックを自発的に取り入れることをお勧めする。 

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