大手新聞社セールスフォースを大富豪が買収
タイム誌をセールスフォースCEOのマーク・ベニオフ夫妻が212億円で買収することが2018年に報道されました。
ちなみに、2013年の話になりますが、ワシントン・ポストはアマゾンのジェフ・ベゾス氏が買収しています。
紙面を中心とするメディアは、業績も厳しく、合従連衡、あるいは破綻をせざる得ないケースも多いはずですが、ビジネスで大成功している個人が、買収する例が増えています。
理由の1つは、古い体質のビジネスをITで成功した経営者が、立て直す余地は十分あると判断していることでしょう。
一方で、タイムもワシントン・ポストも企業ではなく、アマゾンではなくベゾス、セールスフォースではなくベニオフ個人が買収している点にも注目が必要です。
セールスフォースやアマゾンがメディアを買ってどうするのか?
その目的がはっきりしない、またリスクが決して低い買収ではないため、個人のリスクで買収を決めているという側面もあるはずです。
さらにこれだけの成功者からすれば、メディアの凋落に対して自分たちでなんとかしたいという気持ちもあるのではないかと思います。
実質的には本業も相当な多忙でしょうから、なかなか経営自体に時間も避けないのではないかとは思います。
新聞社が買収される理由【資産・人材の活用】
また、アメリカで言えばバズフィード、日本で言えば弁護士ドットコムのように、新聞社で記者を務めていた人間の人脈や、編集力を活かして大幅な利益を出すIT企業も増えています。
新聞を届けるために必要な幅広い物流網の獲得も一つのメリットと言えるでしょう。
ただし、いずれもどこまで自社の中核事業とマッチするかは未知数、ならば個人で買収するのも一つの手と考えるかもしれません。
読者からすると、個人に支配されているメディアの信憑性を心配する方もいらっしゃるでしょうが、私はまったく心配していません。
オーナーの力を利用して自分勝手な報道ばかりしていれば、読者が誰も相手にしなくなるはずだからです。
たとえば、ワシントン・ポストは、かつて政府に公然と対抗して、読者からの圧倒的な支持を得ました。
この姿勢を買収された各社が買収された後も維持し、読者がニュースをきちんと見極められているなら、古い業界だからこそ新しい変革が起きる可能性があります。