武田薬品の7兆円買収劇を助ける3兆円のつなぎ融資
武田が7兆円でシャイヤーを買収するにあたり、3兆円をつなぎ融資するということです。
つなぎ融資の引き受け手は、モルガン・スタンレーと三井住友銀行、それから三菱UFJ銀行の3社です。
つなぎ融資とは、キャッシュフローに影響を与えないよう、自社資産を担保に、当面の必要資金を一時的に借りる形態の資金調達です。
この資金調達は、3社にどれくらいの利益を合計でもたらすのでしょうか?
買収が関係者にもたらす収益は凄まじく大きい
3兆円の融資にかかる利息が仮に1%だったとして、年間300億円の利息が発生します。
つなぎ融資で、最長1年間の期限ということですが、記事によると長期資金への移行の際にも、これらの金融機関が動くようで、ここでも多額のアレジメントフィーを稼ぐでしょう。
参考リンク:武田薬に3兆円超のつなぎ融資 JPモルガンとSMBC・MUFGが折半
返済期間が長引けば、彼らが稼ぐ利息の合計は、桁が1桁変わり千億単位となる可能性もあります。
また、そもそも本件のアドバイザーはFeeが1%だとして、7兆円の1%で700億円を受け取ることができます。
弁護士、会計士のデューデリジェンスでも相当の費用がかかっているはずで、買収が決まったことで周りはザクザク儲かるはずです。
武田に求められる買収金額の算定根拠となる事業計画
しかし、買収した武田からすると、これからがスタート。買収した企業を無謀、と批判するのは簡単ですが、私は結果を残してほしいと思います。
仮にこの買収を評価するとすれば、買収後どのように稼いで、どのように買収資金を回収するのか、明確に知りたいです。
これだけ桁外れな金額の買収を上場企業、つまり、社会性のある企業が行う時には、どうしても買収金額のベースとなった事業計画の公表が欲しいところ。
以前に寄稿した記事でも、この件についてはお伝えします。
参考リンク:シャイアーを7兆円で買収も株価下落の武田薬品 投資家のために必要な制度
この情報がないと評価の仕様がありません。
買収は対象企業の将来を買っていると私は考えているので、具体的にどんな数値効果をもたらす買い物なのかがはっきりしない現状では、武田薬品に対する評価がとても難しい状況です。