つくば市が業務効率化に向けRPA活用実験
市役所の業務には、単純で定型的な作業ではあるが、量が多いため多くの労働時間を費やしているものがあります。
特に確定申告時期の税務処理は、多くの時間外労働が担当課職員に課せられている状況にあります。
茨城県つくば市は、NTTデータ、クニエ、日本電子計算と共同で、これらの課題解決のためにRPAを活用することで「作業時間の短縮(効率化)」と「ミスの少ない正確で的確な処理」の効果を研究しました。
その結果が、非常に目覚ましいものであるため、ぜひ読者の皆様にも共有したいと思います。
RPA導入対象業務は約8割の時間削減を実現
税務手続き
つくば市の市民税課では、新規事業者登録や電子申告の印刷作業等の5業務にRPAを導入しました。
結果として、3カ月で約116時間の削減、年間換算で約330時間の削減見込み、という成果が出ています。
導入前に424時間44分を費やしていた業務が、導入後は88時間18分に圧縮できたため、削減率は79.2%、43.4日分の業務削減ができた計算となります。
市民窓口手続き
異動届受理通知業務にRPAを導入し、結果として、3カ月で約21時間の削減、年間換算で約71時間の削減見込みという成果が出ています。
導入前に85時間を費やしていたのに対して、導入後は14時間10分で業務を終えることが可能なため、削減率83.3%、9.1日削減換算となります。
実験結果を受けRPA導入の対象業務は拡大へ
つくば市の職員も、RPA導入によって業務効率化を実感しているようです。
「処理件数が年々増えていく一方で、対応できる職員数は限られており、RPAによって簡易な入力、確認作業が軽減できてとても助かった。」(市民税課)
「単純な事務作業にかける時間が他の業務に回せるようになるので、ぜひ早期導入を期待します。」(市民窓口課)
実際、つくば市の場合、市民税課業務全体の5%にRPAが適用できた場合、年間で約1,400時間の作業時間が削減でき、約370万円相当の時間外勤務手当が削減できる見込みです。
これらを踏まえ、つくば市は、市民税課・市民窓口課に加え、納税課・資産税課へのRPA導入を予定しており、来年度以降効果が見込まれる部署を対象に順次導入を行うと発表しています。
参考:【つくば市】自治体で全国初:RPAで働き方改革。対象業務で約8割の時間削減
写真:Wikipedia