大企業で特許公開が進むのはなぜか? パナソニックも

特許
スポンサーリンク

 パナソニックは3月23日、IoT関連の特許を無償で提供することを発表した。多くの大手企業で今注目されている経営手法「CSV(共通価値の創造)経営」の実現と言えよう。日本では古来より「先義後利」「三方良し」と言う言葉があったように、共存共栄が概念として浸透しやすい環境のため、グローバルビジネスを実現する上でCSV経営の実践には大きなメリットがある。

大企業が相次ぎ特許公開 パナソニックも

 パナソニックは3月23日、IoT関連の特許を無償で提供することを発表した。

 ”IoT”とは、パソコンや情報端末以外の情報やモノがインターネットに接続されていることを指す”モノのインターネット”という意味である。太陽光発電、ホームモニターシステムなどのアプリケーションにおけるソフトウェア技術を無償で提供するということだ。

 せっかく自社でノウハウを独占スべく特許を取得しているのに、と驚く方も多いと思うが、近年になり大手企業は特許を相次いで無償で公開している。

 トヨタは今年1月、虎の子技術のFCV(燃料電池車)に関する特許を公開した。

 また、自動車業界のアップルという呼び声も高い、アメリカ電気自動車メーカーのテスラモーターズもEV(電気自動車)関連特許を解放している。

今なぜ大企業は特許を次々と公開するのか?

 なぜ大企業は近年になって、積極的に特許を公開するようになったのだろうか?

 答えのヒントとなるのが、多くの大手企業で今注目されている「CSV経営」という概念だ。

 CSVとは「Creating Shared Value」という言葉の略で、日本語に訳すと「共通価値の創造」であり、ハーバード大学・経営大学院教授のマイケル・E・ポーターが中心となり提唱している概念である。

  一見利益にならないが公共に有益な分野への投資や情報開示を行ったり、社会的責任を果たそうとする動きを率先して担うことで、より多くのメンバー(消費者/ライバル企業/国・地域)に共感を得て市場参加してもらい、「共に社会のためになるビジネスを生み出していこう」というコンセプトの元、新たな市場を想像する経営手法が「CSV経営」と言えよう。

 特にIoT産業において特許公開が有効な理由は、市場規模が既に10兆円を超える中で、法的な規制や様々なインフラ整備(通信技術/周辺環境)が自社単体で行えないため、コストがまだまだ高く「バリューチェーンの最適化」が早期に求められているからだ。

 パナソニックの特許公開は、1)本来の競合へ市場参入を促し、市場共有により共に規模拡大することを目指し、2)市場規模を大きくすることで商品を安価なコストで消費者へ提供し、3)新たな産業を創出することで雇用と納税を拡大する行動、としてCSV経営のお手本ともいえる。

CSVの概念は古来より日本人の気質と合う

 近年新しい経営モデルとして注目されている「CSV経営」だが、名前が変わっただけで、日本では昔から行われている経営手法だ。

 実はパナソニックも、創始者松下幸之助が80年以上前にもラジオに関連する特許を無償で提供し、ラジオの普及に成功したという事例を持っている。

節約社長
ナショナルのラジオ※1Photo by (c)Tomo.Yun

 また中世から日本では、「先義後利/義を先にして利を後にする者は栄える(大丸の業祖・下村彦右衛門)」「三方良し/売手と買手が双方満足し、社会貢献できる商売(近江商人)」という言葉が重要視されていた。

 資源が少なく、国土の狭い島国であるがゆえに、「共存共栄」の精神がなければ、組織の拡大や事業の繁栄が妨げられやすい環境にあるため、CSVの概念が社会的に浸透しやすいのだ。

 グローバルの時代に、CSVの概念を理解する素地を持った日本の経営者にとって、世界へ打ち出すチャンスは益々大きくなるだろう。

特許
スポンサーリンク
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
編集部

起業、経営を応援するWEBマガジン編集部です。

編集部をフォローする
節約社長