私達はときにアイデアベースで「世界を変えるかもしれない」凄い発見に出会うことがあります。この際によくあるのが、アイデアを特許で守ろうとする行動です。しかし、特許になるアイデアと商品化できる技術は必ずしも一致するものではないため、無駄骨となる場合があります。特許は形があってはじめて、有効活用が可能な武器となります。
「アイデア」を特許で守ろうとする人は多い
「このアイデアは凄い!特許を取っておかないと!」と意気込む社長さんを多く見ますが、大抵の場合は「無駄骨を折るのでは?」と心配することが多いものです。
なぜかというと、「商品開発と知的財産活用とのリンク」は、なかなかやろうと思ってもできないことだからです。
「商品化できる技術」と「特許になるアイデア」は一致しません。
限りある企業資産の中で、特許をどうせ取るならば、有効性の高い特許を取得したいもの。
どうせ特許を取るならば、どのようなタイミングが良いのでしょうか?
特許を取っても形に出来ないなら意味が無い
世の中では、ありとあらゆるアイデアが特許を取得しています。
最近発表されたiPhone7は特許の塊を持ち歩いているようなものですし、面白い事例だとアマゾンの「ワンクリック注文システム」なんかも特許が取られています。
さて、例え話です。
もしも私が、「月面に故人の姿を記録したDVDとスピーカーを搭載し、DVDで再生した動画を電波で故人の実家へ送信する」というアイデアを思いついたとします。
実現すれば、宇宙葬の新しいカタチとなるかもしれないですよね。
アイデアを特許出願ができるよう、詳細に具体化すれば、(他に公知技術がなければ)確かに特許になる可能性はあります。
しかし、これを実用化するためには、
- このアイデアにはどれくらいの市場があるのか?
- ターゲットは誰か?
- 価格設定はいくらにすれば良いのか?
- 本当に実用化できるのか?
といった具合に、クリアしなければならないハードルが数多く存在します。
更に、上記のような壮大なアイデアだと、実用化できるのは特許が消滅した後になるかもしれません。
つまり、特許をはじめとする知的財産も「活用し、企業が成長するためのツール」として考えれば、現時点でこの特許は持っていてもあまり意味がない可能性が高い、ということになります。
形が無い知的財産は単なる「自己満足」である
知的財産は、それが商品やサービスという「形」になってこそ意味があるのです。
形がない知的財産は、きつい言い方かもしれませんが単なる「自己満足」であり、世の中の役に立つアイデア・技術とは成り得ていないのです。
特許を取るならアイデアベースではなく、多くの人に役立つものとして「形」が出来てからをお勧めします。
そのために、知的財産を商品化とセットで考えることが重要です。