ロングリーチファンドがUCCから「珈琲館」事業を買収
UCCから「珈琲館」事業をロングリーチグループが数十億円(金額非公表)で買収すると報道されています。また、全国で美容室を約270店舗運営するAgu(アグ)をCLSAキャピタルパートナーズが100億円で買収するとされています。
昨年も今回ご紹介したケースと同じように、事業会社ではなく投資ファンドによるM&Aが次々と発表されました。
というのも、ここ数年、景気の浮揚と株価の上昇により、投資ファンドは資金集めに成功する一方で、「投資先がない」という状況に陥っていることが多いようです。
このため、ファンドマネーが投資を加速させており、結果として、買収金額が高騰していると感じている買い手も増えています。
前回の記事「バフェットが米国企業のM&A価格高すぎ!とコメントしたが日本企業はどうよ?」でもお伝えしたように、M&Aの過熱感は否めません。
ロングリーチなどの投資ファンドはなぜM&Aを止めない?
それでは、なぜ投資ファンドは事業会社が高い、と感じる投資をやっているのでしょうか。
その理由は、多くの場合、おそらく買収後に企業を上場させて、上場益を取ることを考えているからです。
2013年からの5年で、日経平均株価がほぼ倍増している地合いの良さも、これを後押しします。
対して、事業会社は投資の意思決定を行う際に、買収した事業への投下費用を、ビジネスで回収できるか否かで必ず考えます。
たとえば100億円の投資をしたら、買収した事業のキャッシュ・フローを計算した上で、何年で回収できるのかを考えます。
一方でファンドはその企業を上場させ、上場益をとることを目的としていることが多いです。
上場時には、一般的に株価はかなり高くなる傾向にありますので、そこで利ざやを稼ぐことになります。
売却すれば「お役御免」ということで、彼らの目的は果たされるわけです。
投資ファンドの評判を気にするより投資家自身が賢くなるべき
難しい議論はあえて避けますが、事業会社が高い、と考える案件を上場させれば株価が高く付く、というのは危険な状態です。
何も知らない一般投資家が損をして、投資ファンドが儲かるという図式も珍しくありません。
これを防ぐには投資家が賢くなる必要があります。
投資ファンドの評判を気にしても仕方がありません。
投資ファンドは顧客から預かった資金を、リスクを取って企業に投資して、合法的に上場させてキャピタルゲインを得るわけです。
これらの背景は必ず開示されますので、私どもとしては、適正に情報を把握し、投資するか否かを懸命に判断する必要があります。