春の社員離職に備え有給買い取り制度を設けよう

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 春は、部署替え、異動で環境の変化についていけない既存社員が離職しやすい季節だ。悩ましい問題が「離職する社員によるまとまった有給休暇の申請」だ。期初の退職とまとまった有給消化は会社に大ダメージとなるケースもある。社員にメリットがあり、引き継ぎや体制を整える時間を作る方策として「有給休暇」の買い取り制度を設けよう。

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春に会社をやめる社員は経営者へ負担大きい

 期末の3月に離職者が多いのには頷けるが、春(4月〜6月)も実は会社をやめる社員が多い季節であることをご存知だろうか?

 厚生労働省が発表した平成24年の時期別離職者数は、四半期別にみると、1~3月が206万人、4~6月が157万人、7~9月が155万人、10~12月が145万人という結果になっており、社員が春に離職しやすいことを示している。※1

 新入社員の離職はもちろん、期初で部署替えや異動で、環境の変化についていけない既存社員が離職しやすいことが、大きな理由としてあげられる。

 既存社員が期初に辞職する場合、経営者にとって悩ましい問題となるのが「離職する社員によるまとまった有給休暇の申請」である。

 残った有給をまとめて一気に取得申請することは、社員に対して法が認めている権利である。

 しかし、退職を理由に期初でいきなりまとまった有給消化を行使されると、新しい配置転換を行った場合、代替人材の登用、体制の変更、引き継ぎが円滑に進まない、など多くの問題が生じやすい。

 さぁこれからと力が入っているところに、不意打ちを食らわされるようなものだ。

 労働基準法では、勤続年数に応じて、1年間に最低10日間、最大20日間の有給休暇を付与することを義務付けている。有給休暇の権利は翌年度まで持ち越せるため、最大で持てる有給休暇日数は40日間である。

 つまり、最大40日間の有給休暇を持った社員が退職する場合は、週休2日の会社だと約2か月間を有給消化し退職するということになる。

 引き継ぎも出来ず、期初から会社の中が混乱することは、経営者として避けたい。

 更にまとまった有給消化を申請された場合、経営者には更にお金の負担もずっしりとのしかかる。

 有給休暇は給与の支払い義務が生じる休暇だからだ。有給を消化しその後退職日を迎える場合、退職日まで給与の支払い義務はあり、かつ社会保険料も生じている。

 社会保険料は会社に籍のある社員である以上は、必ず社員と折半した費用を会社が負担する必要がある。

 職場へは出社せず実質的に退職しているのに、退職日まで社会保険料の支払いが生じる。

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有給休暇の買取り制度を上手に活用しよう

 社員にもメリットを与え、有給消化中に生じる費用を最小限に抑え、引き継ぎや体制を整える時間を作る方策がある。

 「有給休暇の買取り」を活用する方法だ。

 有給休暇を買取ることは原則として認められていないものの、退職時に未消化となっている有給については、会社による買い取りが例外として認められている。

 買取り金額は退職者あとの話し合いの上決定するが、1日あたり5,000円から10,000万円程度が一般的である。

 退職にあたって大切なことは、退職者の希望に沿いながら、業務を円滑に進めるためにしっかり引き継ぎを行うことだ。

 円滑に進むべく引き継ぎを行うために必要と判断し、本人も了承してくれるなら、一部または全部の有給買取りを検討してみてほしい。

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職務規定に有給買取り交渉の規定を設けよう

 3月には、厚生労働省が企業に対して一定日数の有給消化を義務付ける方針を検討していることが報道された。大企業だけでなく中小企業を含めた全企業を対象として現在検討を進めている。

 有給休暇に関する取り扱い方については、国も企業も注目しており、ワークライフバランスを図る上で重要とされている。

 有給休暇の取得方法については職務規定に記載している企業が多いと思うが、在籍者や在職者だけを対象としたものだけではなく、退職者の有給取り扱いについても規定を設けることを検討し、例外措置として「有給消化の買い取り交渉を行える」旨を記載しておくことをおすすめする。

参照元

※1 厚生労働省「平成24年雇用動向調査結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/13-2/kekka.html

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