”AIの出現によって仕事が奪われる”という論調が現代社会の主流となっています。しかし、キミアキ先生はむしろ、『AIという用語を使う人の仕事は増える』と言います。果たして言葉の真意は?自動化の中でも特に大きなキーワードとなっているRPAの正体、自動化の歴史について触れながら、目の前にある大きなビジネスチャンスについて解説します。
AIの出現によって仕事が奪われる?それは無い。
”AIの出現によって仕事が奪われる系”の話がずっと前から進んでいますが、実はですね、AIで仕事が奪われるって言われている業界の人であっても、「そんなことはないだろう」なんて楽観的な方も結構いらっしゃるんですよ。
と言いますのも、我々はずっとパソコンやスマホの無い時代から、こういう分野に触れて色々とやって生きてきました。
最初は大型コンピュータから来て、今度はパソコンが出て来て、そして更にはインターネットや携帯電話が普及していったと。
そういう流れの中でも、なんやかんやと生き残って来ました。
だから私は今、技術革新が起こる過程にあっても、「これからもなんとか生き残っていけるだろう」と思っている1人なわけです。
自動化で流行りのキーワード「RPA」の正体
主な「消える職業」「なくなる仕事」これも色んなところで、ここ数年にかけて様々なところが煽っているわけなんですけれど、私の妻が経営しております税理士法人という仕事は…ほとんどがこれに該当しています(笑)!
”税務申告書代行者” そのもの自体がなくなると言われていますし、経理関係も給料計算もそういうものもぜ〜んぶ!全部なくなるんだよ〜、って言われている業界です。
私も実際、この業界でこれから、多くの事が自動化されると思っています。
今の日本における自動化というキーワードの中でも、特に今、”流行っている”のは『RPA』というやつなんですよ。
この『RPA』のイメージ図のロボくんね、見たことあるっていう方もいらっしゃると思うんですが、実際はロボットではありません。
ロボットといわれるプログラミングなんですけれど、これが何かというと、事実のみで言うと…っていうか逆にイメージで言うとね〜、いわゆる”ルーチーンワークのマクロ処理”っていうふうに考えたら良いです。
ですから、日頃みなさんが毎月毎月同じようにやっていること、毎日毎日同じようにやっているものを自動化しただけ、っていうふうに考えて良いんです。
この『RPA』がどうして流行っているかというと、プログラミングが非常に簡単だからです(笑)。
「RPAを使うことで、ルーチンワークに使っていた人数を今までの5分の1から4分の1くらい減らせますよ〜。」っていう感じで言われて、大企業などが「なら、やってみますか!」という感じで導入してニュースになってる〜、というのが今の流れです。
自動化の技術は一昔前から実は皆知っている
じゃあ、”言語が簡単”っていうけれど、そんなに簡単なの?って思うじゃないですか。
どれくらい簡単かというと小学生でも出来るくらい簡単です。
私の子どもたちが科学技術館っていう施設のプログラミング教室へたまに行くんですけれど、プログラミングが何も分からない状態で行っても、その日のうちにプログラミングでゲームが作れてしまうっていう『Scratch』という言語がありまして、それがベースなんです。
『Scratch』はせいぜい十数年前に、アメリカのマサチューセッツの研究所で作られた言語でございます。
本当に2時間あれば簡単にゲームが作れてしまいます。
論理的思考で「これがこうなった場合はこうなる」って指示を出せる言語なんですね。
例えば、これがぶつかった場合に爆発する、ぶつからなかった場合は先に進めるとか、ここまで来た場合はミサイルを発射するとかね、そういう事が『Scratch』を使って指示できるんです。
プログラミングの基礎が簡単な言語で学べるので、『Scratch』は今でも流行っています。
それからもう1つ。
実は中小企業で一昔前に結構流行った、Windowsの処理を自動化するという『UWSC』というプログラミングがあります。
私も10年前にUWSCの本を買っております。
これで結構な自動化をやったんです。この当時からWindowsの自動化なんてできたんですよ。
ですから、Windowsを使って仕事をしている場合、画像認識やなんかもできますから、ルーチーンに従って自動化できるっていうのは、実は10年も前から技術はあったんですね。
ところが、どうして今まで会社に自動化の技術を導入できなかったのか?というと、できなかったのではなく、やらなかったんですね。
やらなかっただけなんです(笑)!
なぜ今になって「自動化」「AI」と言い始めたのか?
経営者としてはとにかく自動化して、ミスの少ない作業をやりたくて!やりたくて…っていう無限の思いがありました!
でも、しょうがなかったんですよ。
これができなかった理由というのは、仕事のやり方を変えると、とにかく従業員の反発っていうのがハンパないんです!
結局「どうにかして元の状態に戻してやる!」っていう、そういうバイアス、力が働いて、どの会社さんもほとんどが、その自動化っていうのに失敗してきました。
ところがですよ!流れがここに来て大きく変わってきました。
どんなふうに変わってきたかと言うと、今、東京は人手不足です。空前絶後の完全な人手不足。
まともな人材は本当にね〜、もうどこに行ったのか分かんない!っていうくらい全然いません(笑)。
まともな人材がいなくなったことをチャンスと見て、全部自動化に切り替えてしまう。
こういう流れができてきているので、システム屋さんはシステムを導入して、そして保守契約をすれば結構儲かると思います。
そのくらい、従業員さんが入れ替わらないかぎりは実務に乗せることが難しかったんですけれど、今は人の入れ替わりを機に、どんどん自動化しようという流れがあります。
つまり、経営者にとっては大きなビジネスチャンスが生まれているわけです。
AIという「用語」を使えばむしろ仕事は増える
言葉の使い方は今流行りのAIで良いんですよ。
ただ、この仕組みはずっと前からあったんです。
たとえば、我々に近いAIはゲームの『ドラゴンクエスト4』。これまだ当時はファミコンソフトですね。
それが1990年の2月に発売になったわけですけれど、もうね〜自分たちの仲間と戦いながら、戦い方を覚えていく”AI”っていう感じで売り出されました。
そして実際かなり怪しかったんですけれど(笑)、面白いなと思ったのは”指示の出し方”なんですね。
ガンガンいこうぜ
みんながんばれ
いのちだいじに
じゅもんつかうな
いろいろやろうぜ
要するにみんなが色々学んでいくから、指示がどんどん”大雑把で良い”みたな感じになっていくんですね。
では経営者側から見たらどうかと言うと、「みんながんばれ」だけで基本的にやりたいんですよ、「みんな今日もよろしくッ」っていう感じでね。
もちろん全てをコンピュータ化はできませんから、まだ人手が残ります。
じゃあ人手が残る所はどうすれば良いのか?って。
今のやり方だったら必ず「見える化」しますね。
やるべき仕事をみんなが見える形でディスプレイに出していく。そういう形で仕事をするのが主流になっていく。
AIではないんですけれど、AIということにして(笑)、一種の学習型プログラムのようなフリをして、様々な分野で自動化が始まると思います。
そのくらい自動化によって、とにかくミスを減らしたい。
あとは人手不足をなんとか解消したい。これ本当にすごい需要があります。
これを本当にビジネスチャンスとして本気で取り組んで行けば、「AIによって仕事がなくなる」ってことは考えにくい。
そっちではなくて、上手いことAIを使って…いや「AIという用語を使って」、むしろ仕事はどんどん増えていくっていうこともあると思いますよ。