三越伊勢丹グループが、スーパーマーケット部門の「クイーンズ伊勢丹」を売却することが先週報じられました。決定した売却先は、三菱系の丸の内キャピタルというファンドです。なぜ今回の売却先が投資ファンドとなったのか?その理由から、投資ファンドが果たす役割の1つをご紹介しましょう。
既に春先から出回っていたクイーンズ伊勢丹の身売り話
三越伊勢丹グループが、スーパーマーケット部門の「クイーンズ伊勢丹」を売却することが先週報じられました。
小売業界の関係者筋にヒアリングしたところ、既に今年の春先から同社の身売り話が出回っており、あとは「どこがどんな目的で買収するのか?」ということが争点だったようです。
今回決定した売却先は、三菱系の丸の内キャピタルというファンドです。
同社は成城石井を買収し、ローソンに転売した実績があるということで、業績回復のために実績のある同社を売却先に選択したということです。
投資ファンドの丸の内キャピタルがクイーンズ伊勢丹の売却先となった理由
では、今回の売却先としてなぜ投資ファンドが選択されたのでしょうか?
投資ファンドに事業を売却する主要な理由の1つに、「しがらみのない第三者にリストラを委託する」目的があります。
古い会社ほど経営陣がその会社出身であることが多く、リストラを躊躇する傾向があります。やはり、そこは人間としての情が湧くもの。
とはいえ、クイーンズ伊勢丹は既に5期連続の赤字。単体の会社なら3期連続の赤字で危険水域と言われますが、同社の内情も既に待ったなしだったのでしょう。
三越伊勢丹も自社で業績回復を目指すとなると時間がかかると判断し、外部の第三者に力を借りざるを得なかったのだと思います。
三菱系強し。丸の内キャピタルの手腕に注目。
もちろん、三菱系の丸の内キャピタルがいい加減なことをするはずはなく、再就職支援などのケアもきっちりやりつつ、ということになると思います。
人員整理、取引先の整理などに取り組み、短期間での業績回復を目指す可能性が高いのではないのでしょうか。
丸の内キャピタルは三菱系であり、彼らのバックボーンとなる三菱東京UFJ銀行及び三菱商事は、豊富な情報網と取引先を持ちます。
彼らの黒子役として動く丸の内キャピタルの手腕に注目です。
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