独立したけれど結局は前職の下請けなわけで…
会社を辞めて独立したAさんという人がいました。
勢いで会社を作ったは良いものの、明確に仕事となるのは前職の社長が作ってくれた営業代理の仕事だけというのが今の状況。
もちろん自分の商品・サービスを作って販売を手がけていきますが、現実的に考えると初年度はこの仕事でしか数字が作れなさそうです。
これまでの実績で考えると売上は年間2,000万円、歩合は30%の600万円目標です。
この場合、
- 1)代理店として契約し、2,000万円の売上をそのまま計上
- 2)代理店として契約し、歩合の600万円を売上として計上
どちらのほうが会社にお金を残したり、税金対策で有利になるでしょうか?
営業代理の下請けは売上そのままとフィのみどちらを売上計上するのがオトク?
本件の場合、お金の勘定だけで考えるのではなく、「Aさんが今後会社をどうしたいか」で考える必要があります。
単純に税金面だけを考えた場合は、歩合の600万円を売上とする契約としたほうが、消費税の基準である1,000万円を超えませんので、1~2年目では差は出ないものの、3年目以降有利になります。
これらを元に節税のみで考えるなら歩合を収入とする契約をおすすめします。
一方、もしAさんが「借金もしてガンガン会社を大きくしていくぜ!」という野心を持っていたような場合、融資を受けるときは売上規模も評価のひとつになります。
将来の会社規模拡大、金融機関からの資金調達を目指すなら、代理店契約をして売上を2,000万円にしてしまったほうが、第三者から見た評価は高くなるでしょう。
お金が一番なんだがお金だけじゃないワケで…
これらのことを踏まえると、商売は10中8,9上手くいきませんから、基本的には「小さく始める」ことをおすすめします。
ただ、このようなビジネスのはじめ方には落とし穴があります。
以前の会社からであれ、違う会社からであれ、歩合をもらう契約だと名実ともに完全な下請けとなり、歩合をもらう会社との間に覆しようのない上下関係ができてしまいます。
また、今回の選択とはまったく関係ありませんが、売上を一社に依存するのは経営的に大変危険(元請け会社が経営の危機に陥ったり、関係が悪化したりして切られると売上がゼロになる)なので、その仕事をこなしつつ早急に別の売上を作ることも大切です。
ビジネスは入り口が肝心ですから、目先の実入りや節税のことだけで決断するのは避けましょう。