フリーランスの中でも場所や時間に囚われず、自分のスタイルで働くノマドワーカーに近年注目が集まっています。しかし、自分で集客できないノマドワーカーは下請け仕事しか出来ず、仕事を全方位的に全て一人でやらねばなりません。お金を稼ぐというビジネス本来の趣旨から考えると、結局は小さくても強い組織を作る方向を目指したほうが得策と言えます。
ノマドワーカーって実際のところ稼げるの?
コワーキングスペースを使ったり、あるいは喫茶店… スターバックスとかにも結構いるんですが、ノートパソコンを持ちこんで、ノマド(遊牧民)的な働き方をやってらっしゃる方を、たまに皆さんも見かけませんか?
ここ何年くらいですかね…東京だと凄くノマド的な方が増えた感じがします。
歴史的にはまだ浅いんですけれども、要するにオフィスを飛び出して仕事をするという働き方をしていらっしゃる方達のことです。
今日は、そういう人たちって一体何やってんの?!実際のところ稼げるの?(笑)ということについてお話しようと思います。
ノマドで働ける人は基本的に技術があって優秀
ノマド的な働き方が継続できている人は、基本的に何らかの技術を持っている、優秀なのが普通でございます。
たとえば私も、ノマド的な働き方をする最低限の技術は持っているんですよ。
と言いますのも、私は講義ができます。それから教材の作成もできて、採点・添削もできる…
つまりですね、講師として一本立ちできる技術はしっかり持っています。
一応10年くらいやっていましたからね。
そういうのはしっかり持っているんですが、ただ私も勤め人でしたから、「集客」ができなかったんですね。
今は集客ができるようになって、技術もありますから、ノマド的な働き方で授業をして、エンドユーザーの方から直接お金をいただくというようなこともできるので、この働き方も一応は選択肢としてあるんですね。
自ら集客できないと下請けの仕事しかできない
ところが、この集客ができない場合はどんな技術があっても、結局は殆どの仕事が請負になっちゃうんですね。
請負っていうのはどんな状態かというと、エンドユーザーさんがお客さんにいない状態です。
請負じゃない、要するにエンドユーザーさんがいるノマドと言えば…ブロガーとか、それからユーチューバーとかくらいでしょうか。
そういう人たちは広告収入で食べていけるので、「請負じゃない」という点でちょっと特殊なんですよ。
ところが殆どのノマドさんは何らかの請負で、それも自分が何次請けなのかも分からないような人も多いんですよ。
「うちの上が取った仕事ではないよな?」みたいな。
そのさらに上がいたりとかするから、「オレは一体 何次請け?」っていう感じで請け負ってらっしゃるんですね。
自分一人で下請けから脱却するのは凄く難しい
つまり、ノマドさんの殆どは、1にも2にも自分たちが集客できないから請負業者になるわけですね。
ですから請負業者から脱却する、下請けとか孫請けから脱却するためには、取引先を増やしていく必要があります。
一応仕事の受け方は請負なんですけれども、取引先が増えると自分たちで仕事をコントロールできるようになりますからね。
ところがそこまで行くのが、すっごく難しいんですよ〜。
そこまで行くのに、独立開業のフリーランスと全く同じで仕事を断らない…っていうか、断れない時期があります。
自由にいろんな場所で仕事はできるんですけれど、基本的には請負なので、ある程度のキツい仕事も受けなければいけない。
「今回納期キツいわ〜」とか「やっすいな(笑)!!」とか思いながらも、断らない時期・断れない時期っていうのがあって、フリーランスと何ら変わらないわけですよね。
一人じゃキツイと気がついた人から組織を作っていく
ところが そのフリーランスを続けていって、何かで成功した人っていうのは、そのうち仕事を「断る時期」が必ずといって良いほどやってくるわけです。
ノマドを基準に考えると、ノマドじゃなくなれば仕事を断らざるをえないとかね、そういう時期がやってきて、実際フリーランスとしてやっても、仕事を断らない・断れない時期っていうのは 大体3年くらいはありますからね。
そこから断る時期に行くにはね〜、実は「気づき」があるんですよ。
「一人でやっていくってめちゃくちゃ大変だな!」って。
一人でお金を稼ぐってむちゃくちゃ大変だって気がついて、こういう気づきがある人がちょっとした組織を作っていく。
実は元々ノマドだったんだけれど今は4人でやってる!とか結構あるんですよ。
勇者・戦士・魔法使い・僧侶を一人でやれるか?という話
この4人をドラゴンクエストの鉄板なパーティーで考えてみましょう。
まずは勇者。志があって、「判断」ではなく「決断」しなくてはいけません。
社長の役目ですね。
それから戦士系は、技術・製造。
ここがしっかりしていなければいけません。
それから魔法使いは集客・営業。
「範囲攻撃〜!」そういう感じね。
それから回復役の僧侶が経理・広報。
きちんと入金確認をして支払いもちゃんとやってね。
そして今はこの広報がね、かなりウェイトを占めてきていまして、常に自分たちが今何をやっていて、どういうところに向かって行っているのかっていうのをずっと発表し続けていくっていうね。
これベンチャー企業はどこもやっているんですけれども、この広報の部分がかなりのウェイトを占めてきたんですね。
これノマドさんは、全部一人でやらなきゃいけないんですよ?!
こんなこと一人でできるわけ無いじゃんっていう話なんですよ(笑)。
少人数でも優秀な人材を配置した組織を作る
ですから気がついた人から順に、小さくても良いから組織を作りたがるようになっていきます。
この時に大事なのが、ドラクエの鉄板パーティーを組むのと同じで、各役割に優秀な人材を配置することです。
やっぱり小さくても良いから、ある程度の組織を作った方が良いんじゃないかと。
これはスポーツのチームにも考え方が似ているんです。
例えばバスケは5人、バレーボールなら6人、野球なら9人、それからサッカーなら11人でやるじゃないですか。
あのチームを作るときに寄せ集めでいいのか、それともいつも一緒に練習しているメンバーでチーム作った方がいいのかって言われたらね、そりゃあね、ノマドばっかり寄せ集めて戦えるかってだけの話なんですよ。
実際に我々はお金を稼いで、世の中に対して良い商品・サービスを提供して、その対価を換金しているわけなんですけれども、一人だとすっごく稼ぎにくいんです。
やはり数人でチームを組む方が稼ぎやすくて、稼いだものを分配すれば良いだけであって、まぁ中小零細企業は掛け持ちが多いんですけれど、こんだけの役割を一人でなんてできないですって。
出来ない社員より安く働くのは悔しくない?!
ですからノマドっていうのは憧れの仕事のスタイルではあるけれど、お金を稼ぐっていう立場からすると、やっぱりチームを組んで稼いだ方が遥かに楽です。
というのも、元々フリーランスとして仕事をもらうときに、その仕事の発注側が自分達で正社員を抱えているのであれば、正社員よりも圧倒的優秀なフリーランスにしか仕事を発注しないんですよ。
正社員さんっていうのは中小零細企業に限って言えば、新しいこと、それから難しいことから基本的に逃げる習性があるんです(笑)。
「ど〜にかして上司の機嫌を損ねないようにこの仕事から逃げなきゃいけない」っていう習性が働いて、そしていつの間にか外注の優秀なフリーランスの方に仕事が回って来るんです。
来るんですけどけど!それってね、いわゆる正社員さんが取るより、ぐっと少ない額しか取れないんですよ。
つまり新しいことや難しいことができる素晴らしい能力があるのに、仕事から逃げた正社員より低い報酬しかもらえないということです。
ですから、このノマドっていうものの辛さは、1人でやると如何にお金を稼ぎにくいかを感じた時に、まざまざと知らされるんじゃないかなって思います。
こうやって考えていくと、「俺はノマドでずっとやっていく」という選択肢は完全にぶっ飛んでいくわけでございます。
世の中って本当に厳しくて、やっぱり少なくても良いから、ある程度のチームを持っていないとキツいっすよ。