補助金は原則的に返済が不要で、融資のように利子がつかず、担保も保証人も必要のない、優れた資金調達手段です。しかし、補助金も無条件で給付されるものではないため、注意点を念頭に置いておかなければ事故が起こりやすくなります。そこで本稿は、補助金を申請する前に気をつけたい5つのポイントをご紹介したいと思います。
補助金の申請時はメリットだけでなく注意点にも留意しよう
補助金は原則的に返済が不要で、融資のように利子がつかず、担保も保証人も必要のない、優れた資金調達手段です。
創業時の企業にとって資金調達の手段として「創業補助金」があったり、大規模な投資をしたい企業にとって最大で数千万単位の「ものづくり補助金」があったりと、様々な用途で政府は補助金を用意しています。
ただし、これらの恩恵を受けるためには、気をつけなければならない様々な注意点があります。
国が簡単に補助金を支給してくれると思ったら大間違い。
補助金は補助金の申請をした後に、まずは採択があり、この時点で給付がほとんど決まります。
ただし、その後も交付決定、補助事業実施、確定検査と手続きを経て、補助金受給に至りますが、その手続きの過程で不備があり、補助金の受給を受けられないケースが多発しています。
そこで本稿は、補助金を申請する前に気をつけたい5つの注意点をご紹介したいと思います。
補助金を申請する前に気をつけるべき5つのポイント
1)必ず対象経費を確認する
補助金ごとに補助の対象となる経費は細かく規定されています。
単純に費用項目だけで判断をせずに、自社の経費が補助対象になるか、場合によっては事務局に問い合わせたうえで確認をしましょう。
2)スケジュールと資金繰りに注意する
補助金は交付決定という手続き以後でなければ、対象となる経費の発注をすることが出来ません。
事前に発注をした経費は補助対象として認められませんので注意しましょう。
また、補助金は経費を補助するという性格上、後払いになります。
先に出費が出ますので、資金繰りが間に合わない会社については、金融機関等の支援を受けられるように相談を行っておきましょう。
3)開発系補助金は収益化の時期に注意
開発費用を補助するタイプの補助金は、開発フェーズであることが補助金支給の前提となっています。
場合によっては、補助金受給までに収益が上がったために、補助金を受けられなくなります。
特に大型補助金として有名な『ものづくり補助金』ではこの事故が多発しています。
必ず注意しましょう。
4)補助金の確定報告はキングファイル一冊分と膨大
補助金は交付決定を経て補助事業を行いますが、事業が完了した後に確定報告を行い、補助金の受給に至ります。
確定報告では補助事業としてどのようなことを行ったのか、事細かな報告をすると共に、証拠となる資料を大量に提出します。
その量は膨大で、キングファイル一冊分となることがしばしばです。
また、その資料のルールが非常に細かく、勝手な資料を提出しますと、訂正対応が求められ、これが補助金の期限に間に合わないと、折角合格していた補助金の受給を受けられないことがあります。
補助金は採択が決まった後に合格者向けの説明会等が開催されますので、説明会には必ず参加するとともに、事前の心構えが非常に大事です。
細かい作業が苦手な社長は、正直補助金は向かないと思います。
5)補助金受給後も5年間のモニタリングが必要
補助金は基本的に受給後も、5年程度のモニタリング期間があります。
この期間内に一定額以上の利益が発生すると収益納付といって、補助金を一部返還しなければならないケースがあります。
実は役員報酬等で利益を抑えるだけで収益納付は回避できるのですが、上場を目指すような会社であったり、利益を抑えられない会社に補助金は向いておりません。
経営者自らが主体的に知識を習得する必要あり
いかがだったでしょうか?
ここまでを見ると、補助金の申請を行って給付を得るのって大変だなぁ…と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、冒頭でお伝えしたように、補助金には有り余るメリットが存在します。
確かに補助金の専門家を雇えば、ある程度の支援は行ってくれますが、事故を起こさずスムーズに給付を受けるためには、経営者の方が「自ら積極的に給付を受けたい補助金について知識を習得する」ことが重要です。
ぜひ、上記であげた注意点を踏まえ、主体的に補助金申請に取り組むことをお勧めいたします。