シリア邦人殺害 GpiMapで世界のカントリー・リスクを全体把握しよう

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 過激派イスラム教組織「イスラム国」関係者とみられる人物が2月1日、人質として拘束していたジャーナリスト後藤健二さんと思われる男性を殺害したことが、日本に大きな衝撃を与えている。海外へ進出を検討しているなら、今回の事件を対岸の火事と考えず、カントリー・リスクを真剣に理解しよう。その際に役立つ「Gpi Map」を紹介する。

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邦人殺害 カントリー・リスクを思い返そう

 過激派イスラム教組織「イスラム国」関係者とみられる人物が2月1日、人質として拘束していたジャーナリスト後藤健二さんと思われる男性を殺害する動画を公開した。

 1月下旬の湯川遥菜さん殺害に続いて、湯川さんを救助するためシリアへ向かった後藤さんもあえなく殺害されるという痛ましい結果となったことは、ご家族の心中を思えば哀悼の意を評さずにはいられない。
 
 海外進出をもしあなたが検討しているなら、あなたは湯川さんや後藤さんの事件を遠い対岸の出来事として見てはいけない。
 
 なぜなら海外進出を行う際には、「対象国の政治・経済・社会環境の変化により、個別相手が持つリスクとは無関係に、従業員へ身体の害が加わったり、収益を損なう危険」と定義される「カントリー・リスク」が常につきまとうからだ。

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カントリー・リスクを可視化して把握しよう

 カントリー・リスクを把握するには、自社が進出を検討している個別の国や地域のみならず、世界から見たその国のリスク、連動性を俯瞰(ふかん)して把握する必要がある。
 
 そのときに有用なのが、世界地図を利用してカントリー・リスクを理解する方法だ。
 
 おすすめしたいのがGlobal Peace IndexというアメリカのNGOが運営するGpi Mapである。
 
節約社長
Gpi Mapトップページ
 
 このサイトの特徴は、世界164カ国を「Global Peace Index(国際的平和指数)」,「Terrorism Index(テロリスク指数)」といったリスク別に各国をランキング比較し、カラーマップ表示していることだ。

 一目瞭然に危険な地域がわかるほか、Gpi Mapには以下の優れた機能が備わっている。

1)カラーマップで時系列のリスク変遷を把握できる

 Gpi Mapでは、2007年から各国の平和度、テロリスクの変遷をカラーマップをスライドさせながら、理解することが可能だ。例えば、東欧や中東は2007年に比べて格段に国の安全度が低下していることが視覚で把握できる。

2)各国のカントリー・リスクの数値化根拠を説明してくれる

 特定の国をクリックすると、経済的、政治的、社会・治安といった豊富なカテゴリ別に、指数を導き出した根拠となる要因を、客観的な数字を根拠に提示してくれる。「この国にはこんなマイナス要因があるのか?」といった数字を知ることもできるので、勉強になる。

3)特定分野に絞り込んでリスク度合いをカラーマップ表記してくれる

 右横のカーソル「Specify factor(特定分野)」をクリックすると為替リスク、政治の安定性、警察の信頼性、など細かなカテゴリが出てくる。特定の項目で、自分が進出しようとしている国と他の国を比較することが可能だ。例えば「日本と◯◯ではCivil liberties(国民の自由度)はどれくらい違うのか?」ということを数値で比較可能だ。

4)カントリー・リスク(特にテロ)の最新ニュースをキュレーションしてくれる

 往々にして日本のニュースは、カントリー・リスク(特にテロ)については、報道姿勢が及び腰で、現地のリアルなニュースは入ってきにくい。Gpi Mapは、海外のニュースをキュレーションしてくれるコーナーがあるので、ぜひチェックすることをおすすめしたい。

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日本は国際的安全度1位 シリアは何位か?

 Gpi Mapは、評価数値を元に、国際的平和度ランキングも年ごとに発表している。安全度ベストテンは、1位アイスランド、2位デンマーク、3位カナダ、4位ニュージーランド、5位スイス、6位フィンランド、7位カナダ、8位日本、9位ベルギー、10位ノルウェーとなった。
 
 そして最下位は、奇しくも湯川さんと後藤さんが赴いた162位のシリアという結果である。
 
 海外へ行く際に背負うカントリー・リスクは、誰にも同様にふりかかかる。
 
 自分が海外へ向かうなら、どんなリスクと相対する必要があるかを、ビジネスの側面だけではなく、政治・経済・社会といった広い視点から考え、グローバルビジネスの世界へ繰りだそう。

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