愛人を秘書にして給与で損金を多めに出した、経費として使用した飲食代を多めに計上して経費を割増する、私用で訪れた旅行地を出張として経費精算する、今年も確定申告時期にこんな話を多く聞いた。「脱税」はれっきとした犯罪で、逃げおおせようにも心理的ストレスはとても大きい。疑惑だけでも社会的信用は落ちやすい。
コスい節税対策を行う経営者は後を絶たず
先週の16日(月)に確定申告の時期が終了した。
毎年のことであるが、今回の確定申告時も、脱税工作を行っている経営者の話を筆者は数多聞いた。
例えば、愛人を秘書にして給与で損金を多めに出した、経費として使用した飲食代を多めに計上して経費を割増する、私用で訪れた旅行地を出張として経費精算するなど、これらは「ルールに基づいた節税」ではなくて「ルールを脱した脱税」だ。
本当にコスい脱税で中長期に渡り税金を削減できるのだろうか。
国税庁は凄いので脱税はいつか絶対にバレる
答えはNoだ。
なぜなら、「脱税」はれっきとした犯罪で、国税庁は貴方がどのように脱税しているか、大体のことは把握しているからだ。
確かに、”政治家のように有名でない一般人であれば見つからないのでは”、”金額が少なければ脱税の範疇ではないのでは”と思いがちだが、事業主であったり会社の経営者であれば、大小規模を問わず特定の納税義務がありそれは意外なほど簡単に見つかってしまう。
国税庁は「経営者=犯人」と最初から貴方のことを見ている。国税庁に「性善説」という論理はない。
脱税の罰則は「5年以下の懲役」または「500万円以下の罰金」(併科有り)である。所得税、法人税などすべての税金を含む。そして支払うはずだった正規の税金はもちろん、高利な利子である延滞税と、脱税はたいていの場合税務署からの指摘で見つかるため、自首ではない場合の加算税も追加請求される。
加算税の中でも「重加算税」は40%前後割増して支払う必要があるという一番重い加算税だ。
税金の時効は7年と長いため、長期に渡り脱税を続けている場合は最大7年分までさかのぼり、本来の税金・延滞税・加算税を支払う必要がある。
また、脱税は麻薬のようなものだ。犯罪を犯すとその場で罪の意識が芽生えるものだが、脱税はすぐには見つからないので日を追うごとに罪を重ねてしまう傾向にある。脱税を隠すためのさらなる嘘も必要になる。
先ほど述べたコスい脱税を行っている経営者の方々も、嘘の塗り重ねが見えないうちに心理的な圧迫を与えているからこそ、他人に話したくなったのであろう。
ただし、脱税するなら他の人には絶対に話さないほうが良い。もし聞いた誰かが国税庁に話をリークしてしまえば、一発アウトで上記の追徴課税を食らうことになるからだ。
疑惑だけでも企業に与える悪影響は大きい
今年1月には、韓国の有名スターを輩出している芸能事務所が、売上の一部を申告していなかったとして数倍以上11億円の追徴課税が請求されていると脱税疑惑が報道された。
疑惑は解消されたが、ブラックなイメージはなかなか抜けない。
一旦疑惑を向けられると社会的信用は失墜する。制裁は追徴課税以外の見えないところでも大きいのだ。
脱税を考える時間があるのであれば、その分の売上アップ、経費削減・節税に取り組む方が、健康的で未来につながることを、今一度念頭に置いて日々の業務にあたろう。