起業時、ビジネスを成長させていく時、それぞれのタイミングで経営者は「資本金の適正額って幾らなんだろう?」という悩みを抱えます。
本稿では、キミアキ先生が日本企業の資本金分布を踏まえて、起業時、付き合う先が変わる時などタイミング毎に、適正な資本金の額や賢い増資タイミングを教えてくれます。
資本金は幾らが適正?日本企業の資本金分布図
今日は資本金っていくらにした方がいいの?というテーマでお話していきます。
資本金といっても、「設立時の資本金」と「商売をずっとやって行く時の資本金」っていうのは、色々と変わってくるんですよ。
1千万〜3千万はグッと減って12%です。
ここで足して95%ですから、つまり日本の会社の95%は資本金3千万以下ということです。
3千万〜5千万になると3%です。
ここで98%ですね。
そして5千万〜1億が1%。これで99%ですね。
じゃあ1億以上はっていうと、これ四捨五入すれば0%なんですよ。
ということで、資本金1億を超える会社っていうのは、すっっごく少ないんですね。
ほとんどが1千万円以下なんだ〜…ってことをざっくり掴まえておきましょう。
会社設立時の資本金は銀行借入を念頭に300〜500万円がベスト
まずは会社設立時です。
会社設立時の資本金で今1番多いのは100万円〜500万円、この辺りだと思います。
我々実務やっていまして、100万円以下は基本的にはお断りしているんです。
そうしないと100万円以下の所って1年もたない。やっぱり1年位はもってもらわないと困るのでね。
どうしても100万円以下で設立したいんだったら、申し訳ないですけれど、アドバイス料も全て有料にさせてもらっています。
100万円以上の資本金であれば、アドバイスは無料でやらせてもらっています。うちの顧問契約にも繋がりますからね。
うちの顧問先はこの100万円〜500万円辺りが会社の設立時には多くて、中でも300万円〜500万円位がかなり多くなっています。
銀行借入を考えている場合はね、しっかりお金を持っている分を銀行に入れておきましょう。
結局ね、設立時の資本金ってどういう風になるかっていうと、例えば、自分の口座に300万円入っていたとします。
そこから300万円引き出して、それからまた預けて、その通帳をコピーすればそれで登記通りますんで。
一瞬なんですよ。ですからとりあえずは自分の口座にお金を入れておくと。
法人相手に取引するなら資本金は多めに積もう
対個人ビジネス(BtoC)の場合
あとは商売する相手なんですけれど、対個人の場合。
ウチの周りは個人しかいない〜っていうなら、あまり資本金の額は関係が無いです。
ところが、対法人向けで商売をしようと思ったら、ほんっとに後から資本金の額というのが効いてきます。
対法人ビジネス(BtoB)の場合
法人相手に取引をするなら、資本金は積める時に積んでおかなきゃなりません。
というのは、法人は信用第一で大きな取引ができるんですが、その際にルールがありまして、帝国データバンクの評点が大きく左右します。
相手の資本金ていうのは、登記簿開けられればすぐ分かっちゃいます。
「こんな資本金300万のトコなんかと付き合えるかよ〜!」って感じでね。
とにかく対法人で商売を大きくしようと思うと、資本金はどんどんドンドン積めるだけ積んでおく!
うちは、資本金3千万〜5千万クラスのところが、対法人取引をかなり活発にやっている会社さんです。
そういう会社さんは、必ずと言って良いほど帝国データバンクの信用調査があるから、下手な節税なんかも出来ないんですよ。
どんどん利益を出して、どんどん税金を納めてってやっていかないと、評点が上がりませんからね。
法人相手のビジネスは帝国データバンクの評点を意識する
帝国データバンクの評点っていうのは、まずは51点を目指すんです。
そして我々が習った時は51点、66点、81点だったと思うんですけど、66なんてメッチャクチャ頭良くないと出来ない!
そんで81点なんて神経営ですね(笑)
81を超えた企業なんて、私も1社しか見たこと無いです!
その会社は貸せない不動産を本社にしてるんです。もうボロ不動産をね。
それで貸せる不動産は全部貸していて、株主は非上場でありながら1千社くらいかな?
全部法人なんですよ、相手が。要するに取引相手に全部株を持ってもらっているという会社さんでした。
ここまでくれば80点超えるのか〜!っていう本当に手堅い、ここは絶対お金を払ってくれる!っていうような会社さんでしたけれど、殆どの会社は、だいたい40点位いけば良い方です。
ですから51点取るのが如何に難しいかって話で、資本金もそんな少いんじゃあ、51点なんてほとほと取れないですよ。
立ち上げ当初のスモールビジネスは資本金を小さくするのもあり
ただし、今の時点で主にスモールビジネスをやっている場合は、消費税を2年間払わなくても良い方法があるので、資本金を小さめにして始めるのもありです。
特に消費税を支払わないのが大きくて、個人である程度儲かってきて法人成りしたときに、上手くいけば丸々2年間消費税を納めなくて良い。
その第1の条件が資本金の額なんです。
資本金の額は設立時、それから2年目の期首に両方共1千万未満、万単位で考えると999万円の資本金だったら条件を満たすんですね。
ですからスリーナインの資本金を見たら、「あぁ、これ消費税を2年間クリアするために、敢えて999万円にしたんだなぁ〜」と(笑)
それからもう1個条件が有ります。
2期目が始まる前の6ヶ月間で、売上・人件費 どちらかが1千万円以下。どちらかだけで良いんです。
ということは!売上が何千万円もあがっていたとしても、人件費を少なくしておけば良いんです。
人件費を1千万円以下にしておけば、2期目も消費税を払わなくて良いんですね。
ですから資本金基準と売上・人件費基準、この2つどちらかをクリアしておけば良いんです。
増資タイミングは2期目が始まったすぐがベスト
法人側と取引をするときに「こんな資本金では付き合えない!」って言われることが実際にあります。
うちのお客さんもそれでかなり増資していますからね。
ではどのタイミングで増資をすれば良いかというと、消費税のことを考えると2期目の期首で資本金基準が決まりますから、1日ずらして一気に増資して5千万円くらい増資する。
そういうことが可能なんですね。
ですから、対法人取引を活発にやっていきたいなら、そのためには資本金を積んでおかないといけない。
増資をしなくてはいけない、っていう時には2期目が始まった後に増資をする。
こういうのが1番良いタイミングだと思います。
こういう感じで、良い会社というのは、「増資⇒増資⇒お金が有ったら増資⇒そしてまた増資!」という感じで、会社らしい会社となっていきますからね。個人の経営との違いというのを知っておいた方が良いと思います。
※本稿は2014年12月に撮影された動画を文字起こしした記事であり、制度取り決めは2014年12月時点のものであることをご了承ください。